バイエルン時代のグアルディオラ監督(左)とゲルラント氏(右) photo/Getty Images

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バイエルン・ミュンヘンがトーマス・トゥヘル前監督に代わる新たな指揮官としてバーンリーのヴァンサン・コンパニ監督を招聘したことは、同クラブのサポーターだけでなく多くの人々にとってサプライズ人事だった。

果たしてコンパニに欧州屈指のビッグクラブの指揮官が務まるのか。そうした疑問が消えない中、2021年5月まで20年近くにわたってバイエルンの下部組織やトップチームでコーチを務めた現U21ドイツ代表コーチのヘルマン・ゲルラント氏は、バイエルンの会員向け雑誌『51』の取材に応じてバイエルンの指揮官に求められるものについて以下のように語っている。

「フットボールに全てを捧げていることが大事で、さらには人としての寛大さや情熱、誠実さも必要だ。指揮官にそういったものが備わっている場合のみ、選手達は火の中でも走り抜けようとする。私は、多くの優れた監督の近くで働けたことを嬉しく思っているよ」

また、ヘルラント氏は特に印象に残った監督として、ルイス・ファンハール氏と現在はマンチェスター・シティで指揮を執っているジョゼップ・グアルディオラ監督の名前を挙げている。

「ファンハールは私にとって骨の折れる存在だった。しかし、彼はバイエルンの歴史の中で非常に重要な役割を果たした。彼が来る前と後で全てが変わった。彼は、ボールが足元へ正確に来るまでパス練習をずっとやらせた。そうすることで選手達は速いパスを出したり、そのパスをしっかりとコントロールできるようになった。それは夢のような光景だったよ。ファンハールは全てのレベルをワンランク引き上げた」

「ペップ(グアルディオラ)は天才だった。たとえ3-0でリードしている試合であっても、彼には新しいアイディアがあった。『ここはディフェンダーを途中交代で入れるべきだ』と私が思っている時にペップは逆にアタッカーを投入し、数分後にそれが正しい決断なのが明らかになったということもあった」

ファンハール氏やグアルディオラ監督といった歴代の一流監督と比較される環境は、38歳の青年指揮官コンパニにとって難しいものであることは間違いない。まずは、このプレッシャーとうまく付き合えるかどうかが成功のカギを握っているのかもしれない。