2024年6月6日からアメリカのマンハッタンで開催されるトライベッカ映画祭で、OpenAIの動画生成AIである「Sora」を用いて制作された短編映画が上映されることが明らかになりました。

Tribeca Festival to Debut Short Films Made Using OpenAI

https://www.hollywoodreporter.com/business/business-news/tribeca-festival-short-films-made-openai-1235912280/



Tribeca to Screen AI-Generated Short Films Created by OpenAI's Sora

https://www.indiewire.com/news/festivals/tribeca-ai-generated-short-films-sora-shorts-1235010911/

The Tribeca Film Festival will debut a bunch of short films made by AI

https://www.engadget.com/the-tribeca-film-festival-will-debut-a-bunch-of-short-films-made-by-ai-181534064.html

OpenAIの動画生成AIであるSoraを用いて制作された5本の短編映画が、トライベッカ映画祭で上映されることが明らかになりました。これらの短編映画はテキストプロンプトから動画を生成することができるSoraを用いて制作されたもので、トライベッカ映画祭でSoraを用いた映画が上映されるのは今回が初めてです。

なお、OpenAIはハリウッドの映画スタジオやメディア幹部、タレントエージェンシーと会合し、Soraを映画制作に使うよう売り込んでいることが報じられていました。

OpenAIがハリウッドにムービー生成AI「Sora」を売り込んでいると報道される - GIGAZINE



Soraはまだ一般公開されていない動画生成AIです。そのためAI映画制作者にとってもSoraを用いて映画を制作することは全く新しい体験であると言えます。OpenAIは5人の映画監督にSoraのアーリーアクセス権限を提供しており、映画監督は2023年に全米監督協会(DGA)・全米脚本家組合(WGA)・映画俳優組合・米テレビ・ラジオ芸術家連盟(SAG-AFTRA)と交渉したAIに関する映画制作条件に同意することが求められたそうです。

トライベッカ映画祭で上映されるSora製の短編映画のひとつを制作したのが、サンダンス映画祭で審査員大賞を受賞した「Nanny」のニキャトゥ・ジュス監督。この他、ボニー・ディスケポロ氏、エリー・フォンビ氏、レザ・シクソ・サファイ氏、ミカエラ・テルナスキー=ホランド氏がSoraを用いて短編映画を制作しています。

トライベッカ映画祭の主催者であるトライベッカ・エンタープライズの共同創設者兼CEOのジェーン・ローゼンタール氏は、「トライベッカ映画祭は、物語が変化を促すという基本的信念に基づいて開催されています。人間は繁栄し、この素晴らしくも壊れた世界を理解するための物語を必要としています」「これらの物語は、長編映画、没入型体験、芸術作品、またはAI生成の短編映画として私たちにもたらされることがあります。この非常にクリエイティブなグループが何を思いつくのか楽しみでなりません」とコメントしています。

OpenAIの最高執行責任者であるブラッド・ライトキャップ氏は「これらの映画制作者がSoraを使ってクリエイティビティを拡張している様子を見ることは素晴らしいことです。彼らの作品がトライベッカ映画祭で上映されることを光栄に思います」「我々は彼らの短編映画に興奮しており、Soraをすべてのクリエイターにとってより良いツールにするための方法を知りたいと考えています」と述べました。



既存の動画生成AIでは6〜8秒ほどの短い動画しか生成することができません。しかし、Soraは最大60秒の動画を生成することが可能とのこと。また、独特なカメラの動きや、他者と対話できる被写体と独特な背景キャラクター、周囲の状況に対する強い感覚、同じシーンを異なる背景から見る機能、別の瞬間にイベントをトリガーする機能など、さまざまな機能を備えています。ただし、会話を可能にする音声はなく、性行為や暴力に関する動画を生成することは禁止されています。

なお、Soraを用いて制作された5本の短編映画は現地時間の2024年6月15日にトライベッカ映画祭で上映予定。上映後には制作を担当した5人の映画監督によるトークセッションも予定されているとのことです。