(C) 2024 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.  IMAX(R) is a registered trademark of IMAX Corporation.  Dolby Cinema is a registered trademark of Dolby Laboratories.

写真拡大

カルト的人気を誇る『マッドマックス』シリーズ最新作がついに公開を迎えた。前作『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015)で初登場を果たしたフュリオサの知られざる前日譚。愛する母親を殺されたフュリオサは、暴君ディメンタス将軍への復讐を果たすべく、ひとり過酷な旅に出ていく。

『怒りのデス・ロード』とは毛色の異なる追跡劇が描かれた物語は、のちに勇敢な大隊長となるフュリオサの壮絶な人生を映し出した。そのエンディングでは、『怒りのデス・ロード』につながる彼女の人間性を反映するような、思いがけない展開が訪れた。『マッドマックス』9年ぶりの最新作にして、フュリオサの前日譚。ジョージ・ミラー監督は、再び蘇らせた『マッドマックス』シリーズを今後どのようにして続けていくつもりなのか。

この記事には、『マッドマックス:フュリオサ』のネタバレが含まれています。

この記事には、『マッドマックス:フュリオサ』のネタバレが含まれています。

(C)2023 Warner Bros.Ent. All Rights Reserved 『マッドマックス:フュリオサ』エンディング解説

『マッドマックス:フュリオサ』では、荒野・ウェイストランドを舞台に、幼くして母親を殺されたフュリオサの復讐劇が展開された。復讐の相手は当然ながら母親を殺した暴君・ディメンタス将軍(クリス・ヘムズワース)。もう1人の暴君イモータン・ジョーの縄張りであるシタデルで口のきけない少年労働者として潜入しながら、復讐の機会を狙っていた。

1度目のチャンスが訪れたのは、イモータン軍に警護隊長として雇われていた戦士・ジャックと結託して弾薬畑を訪れた時。ジャックとともに“緑の地”へ戻る前、弾薬畑を占拠しようと試みるディメンタスと対峙したフュリオサは、遠く離れた場所から銃を放ち仕留めようとするが、上手くいかず。その後、ひとりウォー・タンクでディメンタスの元へ突っ込んでいったジャックを助け逃亡したフュリオサだったが、ディメンタスと彼の部下に追いつかれてしまい、捕らわれてしまう。鎖で繋がれたフュリオサは隙を狙い、片腕を残してその場から逃走。復讐に失敗するも、なんとか命だけは助かった。

(C) 2024 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved. IMAX(R) is a registered trademark of IMAX Corporation. Dolby Cinema is a registered trademark of Dolby Laboratories.

フュリオサはシタデルに連れ戻され、死の淵から回復。するとまもなく、イモータン軍とディメンタス軍による40日戦争が開戦する。この間、腕を失ったフュリオサは義手を自ら作り、ボロボロの車を手に入れ、2度目の復讐へ乗り出す。戦争の末に劣勢となったディメンタスは生き残った部下と逃走を図るも、怒りに燃えたフュリオサはこれを逃さない。三手に分かれた敵を1人ずつ仕留め、ついにディメンタスに追いついた。

無防備のディメンタスの前に立ちはだかったフュリオサは、「私のことを覚えているか。15年前、ある女性がいただろう」と問う。記憶を思い出せないでいたディメンタスだが、ようやく目の前の女戦士が、かつて「リトルD」と呼んでいた養子の少女であることを察した。「お前が来るのを待っていたんだ」というディメンタス、「お前は壮大にやれるか?」と意味深に問う。最終的にフュリオサがディメンタスに与える罰として選んだのは、思いがけないものだった。

(C) 2024 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.
IMAXR is a registered trademark of IMAX Corporation.
Dolby Cinema is a registered trademark of Dolby Laboratories.

スクリーン上ではディメンタスが後ろから頭を撃ち抜かれる姿や、車に繋がれ走らされる姿、磔にされる姿など、あり得た死のシナリオが映し出されるが、ヒストリー・マンの語るところによれば、フュリオサはディメンタスの半身を地に埋め、かつて母親から受け継いだ種を植えることにしたのだった。ディメンタスは息こそしていたようだが、文字通り“植物状態”となり、長年の悪事の報いを受けたのだった。

その後、エンディングではフュリオサがシタデルに閉じ込められていた花嫁たちを連れ出す姿が映し出される。『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の本編映像もダイジェスト的に登場し、ファンの知るイモータン・ジョーとの壮大な追跡劇の物語へと繋がっていくことになった。

この記事には、『マッドマックス:フュリオサ』のネタバレが含まれています。

『マッドマックス:フュリオサ』でメガホンを取ったのは、これまでの前4作を手がけてきたジョージ・ミラー監督。約9年ぶりのシリーズ帰還を果たしたミラー監督によれば、『フュリオサ』で描かれた物語は『怒りのデス・ロード』が製作された時点でものだ。しかしミラー監督、『マッドマックス』がまさかここまで続くとは1979年に公開された第1作の時点では想像もできなかったという。米では、第1作当時の心境をこう振り返る。

「1作目で私たちには、道路を閉鎖したり建物を借りたり、エキストラを雇ったりする余裕がないほどでした。だから、舞台も現代のメルボルンから未来へ変えなければいけませんでしたし、廃虚や砂漠で撮影しなければいけなかった。でもそれが、物語を寓話的で普遍的なものにしてくれました。まさに必要に迫られて生まれたものです。あれは幸運の事故でしたね。」

(C) 2024 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved. IMAX(R) is a registered trademark of IMAX Corporation. Dolby Cinema is a registered trademark of Dolby Laboratories.

それから『怒りのデス・ロード』までの続編シリーズ3作では、マックス・ロカタンスキーという男の物語が描かれたが、ミラー監督はここにきて主人公を女性戦士のフュリオサに変える決断をした。その背景には、ミラー監督自身の母親からの影響が大きかったという。米とのインタビューでは、こんな子ども時代を振り返っている。

「4年ほど前に母を亡くしたんです。彼女は本当に偉大な人で、幸運にも100年も生きることができました。1920年生まれの女性で、大規模な社会的動乱から第二次世界大戦まで、20世紀に起こったことの多くを経験しました。彼女には3人の弟がいて、その全員が高等教育を受けました。家父長的な家柄だったので、彼女だけは洋服屋になることしか許されなかったんです。でも、彼女は弟たちの誰よりも賢かった。障害にぶつかりながらも、彼女は偉大な叡智と尊敬を得ることができた。私はそれを見てきたんです。子どもながらにその葛藤を認識することができたんですよ。」

(C) 2024 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved. IMAX(R) is a registered trademark of IMAX Corporation. Dolby Cinema is a registered trademark of Dolby Laboratories.

そうした実体験を胸に抱きながら、『フュリオサ』の脚本を書き上げたのだというミラー監督。こうした想いを踏まえれば、フュリオサがディメンタス将軍への復讐として同じ方法を選ばなかったのも、時に横暴な男社会で生き残る中で培ってきた“偉大な叡智”のおかげであったのではないかとも思える。

ミラー監督は『マッドマックス』シリーズを継続させることに前向きで、アイデアもすでにある。一つは、フュリオサの物語だ。英では、その内容の一部を明かしている。

「フュリオサが(『怒りのデス・ロード』の)最後にシタデルに登り、荒野に迷い込んだマックスに別れを告げるのを見たとき、私はよくこう考えたものです。革命家の多くが陥る罠に彼女は陥るのだろうか?と。昨日の英雄が明日の暴君になるというのは、ストーリーテリングでは古典的なことですからね」。

つまりは『怒りのデス・ロード』のその後の物語ということだろう。ミラー監督は、メル・ギブソン版『マッドマックス』シリーズを継続する意思はないことを明言しており、『怒りのデス・ロード』に始まる物語を続ける意向を示している。「(昔については)どうすることもできません」とミラー監督。「もしいまだにその過程に好奇心を抱いているのならば、あなたは過去を振り返っているのではない。未来に向かっているんです。だから私はまだ続けているんです」と『マッドマックス』を語り続ける理由を米に説明する。

(C) 2024 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.
IMAXR is a registered trademark of IMAX Corporation.
Dolby Cinema is a registered trademark of Dolby Laboratories.

またミラー監督には、トム・ハーディが『怒りのデス・ロード』で演じたマックスを主人公とする物語のアイデアもあるという。その内容は『怒りのデス・ロード』よりも前のマックスを描くもの。「私たちは物語を“マックス・イン・ザ・ウェイストランド”と呼んでいて、彼をキャラクターとして形成するようになるものです」と。

今後、『マッドマックス』継続のための指標の一つとなるのは『フュリオサ』の興行成績だ。米公開から2週目を迎えた現時点で世界興収717万ドルを記録しており、本調子はこれからというところ。日本でも熱狂的な支持を誇る本シリーズ、興収記録の今後の伸びに期待したい。

『マッドマックス:フュリオサ』は公開中。

Source:,,,

The post first appeared on .