体調悪化後、長時間の外出が難しい。「最後に美容院に行ったのは2年前」と語る

写真拡大

夫婦喧嘩でつい八つ当たりしたり、塾通いを強制したり――親の言動が、子どもの将来に悪影響を及ぼす可能性がある。幼少期の“トラウマ”が引き起こす「第4の発達障害」があるのだ。実態を追った。
◆彼の幼少期の話を聞いたことがきっかけで…

「朝、目が覚めると体が鉛のように重い。歯を磨くという行為も意味不明に“怖い” と感じて、磨き始めるまでに2時間かかります」。そう話すのは、都内メーカーに勤務する鴨目沙耶さん(仮名・32歳)。

「3年前までは仕事も問題なくこなし、私生活でも結婚を視野に入れた彼氏と4年前から同棲するなど、順風満帆な生活を送っていました。ですが、彼の幼少期の話を聞いたことがきっかけで不調が目立ち始めたんです」

◆無理やり塾通いをさせられた幼少期

実は鴨目さんは大学卒業後、過度に教育熱心な両親から逃れるために実家を出て、一人暮らしを始めている。

「彼の家もとても教育熱心で、悪い成績を取ると執拗に責められたそうです。私も『地元の国立に入れないヤツはクズだ』と言われたり、小学4年生のころから行きたくないのに無理やり塾通いをさせられたりと、境遇がとても似ていました。でも、自分の中では過去のこととして清算したつもりだったのに……」

◆理由もわからず怒りが込み上げる

だが、本人が自覚するよりもトラウマによる症状は深刻なものだった。

「母から『早く結婚しろ』とLINEが頻繁に届く時期で、それも体調悪化の原因だったかもしれません。理由もわからず怒りが湧いて奇声を上げてしまったり、『死ね!』と暴言を吐いたりするようになりました。

眠りも浅くなり、彼の些細なひと言で激昂したりと、性格まで変わってしまったようでした。内科に行っても異常なしと言われ、途方に暮れました」

◆診断は「複雑性PTSD

その後、状況を見かねたパートナーが精神科に同行し、そこで鴨目さんはトラウマ関連疾患である「複雑性PTSD」と診断された。

「今は些細なことがきっかけで、幼少期の怒りや恐怖が再現される状況。回復までの道のりは遠いですね」

鴨目さんの両親が残した傷はあまりに深い。

取材・文/SPA!第4の発達障害取材班

―[見落とされた[第4の発達障害]]―