SK HynixがTSMCとの提携を発表、2026年に量産予定の次世代HBM4チップと高度なチップパッケージング技術の開発へ
2024年4月19日、韓国の半導体サプライヤー「SK Hynix」が台湾の半導体ファウンドリ大手のTSMCと提携を結び、次世代高帯域幅メモリ(HBM)向けチップの製造や高度なチップパッケージング技術の開発で協力すると発表しました。
SK hynix Partners With TSMC to Strengthen HBM Leadership
https://news.skhynix.com/sk-hynix-partners-with-tsmc-to-strengthen-hbm-technological-leadership/
SK Hynix and TSMC Team Up for HBM4 Development
https://www.anandtech.com/show/21362/sk-hynix-and-tsmc-team-up-for-hbm4-memory-advancements
SK Hynix partners with TSMC to develop advanced AI chips - Nikkei Asia
https://asia.nikkei.com/Business/Technology/SK-Hynix-partners-with-TSMC-to-develop-advanced-AI-chips
SK hynix joins with TSMC to produce High Bandwidth Memory 4
http://www.theinvestor.co.kr/view.php?ud=20240419050608
HBMとは、従来のメモリチップと異なり、処理速度が非常に高速で、ジェネレーティブAIを用いたコンピューティング技術に不可欠な存在です。SK HynixはこのHBM市場の約50%のシェアを占めています。また、世界の先端チップの約92%を生産するTSMCはHBMチップとGPUの効率的な連携を可能にする高度なパッケージング技術を開発しています。それぞれ両社はAIチップ市場のリーダーであるNVIDIAの主要サプライヤーを務めています。
これまでSK HinixはNVIDIAに対し、HBM3チップを供給しており、2024年にはより高度なHBM3eチップが出荷される予定です。今回の提携によりSK HynixとTSMCは共同で、2026年量産予定の第6世代HBMである「HBM4」の開発を進めることになります。SK Hynixの社長兼AIインフラ責任者であるジャスティン・キム氏は「TSMCとの強力なパートナーシップにより、顧客とのオープンなコラボレーションの取り組みを加速し、業界最高の性能を発揮するHBM4の開発に期待しています」と述べています。
また、SK HynixとTSMCはパッケージング技術分野でのパートナーシップ契約も締結しており、TSMCのパッケージングプロセス技術「CoWoS」をSK HynixのHBMに最適化するための技術開発も進められます。
SK HynixとTSMCが提携することで、HBM4ではTSMCの高度なロジックプロセス技術を用いて、既存の空間的制約がある中でも追加機能やI/Oピンを詰め込むためのベースダイを構築できるようになります。また、性能と電力効率に対する顧客の幅広い要求を満たすことが可能になるとのこと。TSMCのケビン・チャンCOOは「TSMCとSK Hynixは、長年にわたって強力なパートナーシップを築いてきました。両社は、最先端のロジックとHBMを統合し、世界をリードするAIソリューションを構築します。次世代のHBM4を見据えて、私たちは引き続き緊密に連携し、最高の統合ソリューションをユーザーに提供できるでしょう」との展望を語りました。
プライスウォーターハウスクーパースハイテク産業研究センターのチップアナリスト兼ディレクターであるアレン・チェン氏は「TSMCは最先端のAIチップ開発に取り組む多くの顧客を抱えているため、SK HinyxがTSMCとの協力関係を深めることは賢明な動きです。SK Hynixがさらなるパートナーシップを確保することに成功すれば、同社のHBMを利用する顧客はさらに増加するでしょう」と分析しています。
HBM分野では、市場シェア第2位のSamsungも業務を拡大しており、2024年2月には独自のHBM3eチップを開発したことを発表しており、NVIDIAは「SamsungのHBMチップを自社製品で使用するための認定を受けています」と報告しました。
転送速度1280GB/sで容量36GBの超高速メモリ「HBM3E 12H」をSamsungが発表、AIの学習の高速化と推論の並列実行数増加が可能 - GIGAZINE