岡山県警察本部(写真:時事通信)

 一瞬冗談なのかと思うほどの情けないニュースが飛び込んできた。万引きを取り締まる「万引きGメン」の男が逮捕されたのだ。

 4月17日配信の「KSBニュース」によると、60代の男は16日、自身が保安員として勤務する岡山市のスーパーで、排水口洗浄剤1パック(250円)を盗んだ疑いがもたれている。勤務中に洗浄剤を自分のショルダーバッグに入れたところを店長が防犯カメラで確認し、警察に通報したという。

 この事件に対しSNSのコメントは、総ツッコミ状態だ。

《ミイラ取りがミイラになったね》

万引きGメンが万引きでコントですかね》

万引きGメンを監視する万引きGメンがいると》

万引き爺メンやん》

 万引きGメンといえば、万引き犯を取り締まる存在。店舗側もGメンに信頼を寄せている。

 それを象徴するのが、13日に滋賀県で起きた事件。滋賀県警近江八幡署が、70代の女性をいなり寿司1パック(300円相当)を万引きしたとして窃盗容疑で逮捕したが、誤認逮捕を認め、3日後に女性を釈放したことが話題になったばかりだ。

 この件で本誌は、同署副署長を電話で取材。やりとりは次の通り。

本誌:売り場でいなりずしパックをカバンに入れるのを目撃した、という通報ではないのですね?

副署長:そうですね。通報自体は「万引きした女性が今店内にいます」ですね。

本誌:それで、署員が駆け付けて、防犯カメラの映像を確認したところ、女性が食品売り場で商品を手に取ったり、何かをカバンに入れる様子が映っていたのを確認したと?

副署長:逮捕前には、そこまでは確認はできていないんですけども。

本誌:逮捕前はどういう状況だったのですか?

副署長:逮捕前はですね、女性の動きを目撃していた店舗の関係者から事情聴取しまして。

本誌:それは万引きGメンの方?

副署長:ちょっとそれは…。店舗の関係者ということで。ま、一般の方ではないということです。それで、その話を聴いたのと女性のカバンの中にお店で売っている商品が入っていたという状況から、で、店の関係者の方の話も万引きと疑うに足りると判断できるような状況であったので、それで逮捕したということです。

 つまり、逮捕前に防犯カメラの映像を確認せず、万引きGメンの証言などを頼りに逮捕に踏み切っていたのだ。

 一方、岡山市の事件は異なる。スーパーの店長は、男の行動を防犯カメラで確認している。社会部記者が言う。

「滋賀県警のケースは、事前に防犯カメラの映像を確認せず、万引きGメンの証言などに頼り、失敗しました。が、岡山県警は、慎重に防犯カメラの映像を確認してから逮捕しています。捜査能力の差と言われても、滋賀県警は反論できないでしょう」

 男は容疑を認めているといい、誤認逮捕ではないようだ。