【疑問】冷夏や暖冬の傾向、どうして事前に分かるの? 気象予報士に聞いて分かった「予測の出し方」
天気予報では季節の変わり目などを前に、「冷夏」や「暖冬」といった傾向が予測として伝えられることがあります。このような予測について、「どうしてかなり前から分かるんだろう」「どんな情報をもとにしているの?」と気になったことはありませんか。なぜ、「冷夏」や「暖冬」の予測を出すことができるのか、気象予報士のきりたんさんに教えていただきました。
海洋の動向によって予測
Q.「冷夏」や「暖冬」の予測は、どのような情報をもとにして行っているのですか。
きりたんさん「冷夏や暖冬の傾向は、数年単位で影響が現れる『エルニーニョ現象』や『ラニーニャ現象』など、海洋の動向などをもとに予測が行われています。風の強さや海面温度の変化などによって、来年はこの地域が暑くなる、反対にこちらの地域では寒くなりそう…といった予測を出しています。
気象会社によっては『季節予報』と呼ばれる長期予報を発表しており、3カ月後などシーズンごとの気温や降水量などのデータ予測を実施しています」
Q.「冷夏」や「暖冬」以外に、事前状況から分かる予測を立てられるものはありますか。
きりたんさん「やはり、気温の傾向は重要な指標になりますよね。『平年よりも暑くなりそうなのか、寒くなりそうなのか』という予測をもとに、暖冬や冷夏と表現するからです。また、日射量や降水量、冬であれば積雪量でも大まかな予測が立てられると思います。
ただ、長期予報では『◯月◯日は晴れ、次の日は雨』といった、日にちごとに予報をずらっと並べるような予測ではなく、『この1カ月間は平年と比較すると晴れの日が多くなるだろう』というような、その期間全体の大まかな傾向を予測する方式になります。皆さんが普段目にする天気予報とは、アプローチの方法が少し違うんですよね」
Q.ずばり、こういった予測の的中率はどのぐらいなのでしょうか。
きりたんさん「予測の難易度は、大気の状態や環境などさまざまな要素が積み重なって変化しますから、『◯%は絶対に予測が当たります!』という実証はできません。
そして、やはり予測が長期間にわたるほど的中させるのが難しくなることは間違いありません。気象庁では予報の結果とその内容の出現率を比較したグラフを発表していますが、3カ月予報よりも1カ月予報の方が、平均気温・降水量ともに高い的中率を誇っていることが分かります」
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昨今はニュースでも「エルニーニョ現象」などのワードがよく聞かれるようになりましたが、今、地球の反対側で起こっている出来事が、次の年には日本の気候に大きな影響を及ぼすことも少なくないのだとか。改めて、地球全体が気候変動の影響を受けていることが分かりますね。