ハイセンスジャパンは、1台で動画配信サービスを楽しめ、スマホ画面をワイヤレスで表示できる機能なども盛り込んだ液晶テレビ「A4N」シリーズを4月上旬に発売する。注目は32型「32A4N」がフルHD解像度のADSパネルを採用している点で、これを含む3サイズで展開する。価格はオープンプライス、32型機の店頭予想価格は37,800円前後。

液晶テレビ「A4N」シリーズ。左から24型、32型、40型

32型機では珍しく、フルHD解像度のADSパネルを搭載した「32A4N」

■A4Nシリーズの店頭予想価格

40型「40A4N」(フルHD/VAパネル):44,800円前後

32型「32A4N」(フルHD/ADSパネル):37,800円前後

24型「24A4N」(HD/VAパネル):29,800円前後

40型「40A4N」

24型「24A4N」

ハイセンスでは、いわゆる2K液晶テレビ(HDまたはフルHD解像度のパネルを搭載した機種)については、ネット動画機能付きの「A40H」や、ネット動画機能を省いた「A30H」、「A30K」といった複数シリーズを展開してきたが、2024年モデルではこれらを新しい「A4N」シリーズに一本化。グローバルでのテレビ出荷台数世界第2位(Omdia調べ、2023年)という同社の量産効果を活かし、底堅い需要のある2Kテレビにイマドキの付加価値を付け、スマートテレビとして展開していく戦略だ。

そんなA4Nシリーズのなかでも注目なのが、32型という比較的コンパクトなサイズ感の「32A4N」。

2K液晶テレビで小型な部類に入る24〜32型機は、低コストなHD解像度/1,366×768ドットのパネルを採用していることが多い。そのため放送波はともかく、ネット動画などもスペックダウンされた画面で試聴することを強いられるのが現状だ。

その点、32A4NはフルHD/1,920×1,080ドットなので、HDパネル機よりも画質面で有利。さらに低反射ADSパネルを採用することで、斜めから見ても見やすい画質を追求しており、VAパネル機と見比べてみても、実際の視野角の数値(上下左右178度で共通)以上に見やすい仕上がりになっていることを実感できる。

32型「32A4N」

短時間ながら新機種でサンプル映像や録画番組などを視聴してみたところ、後述の新しい映像エンジンと組み合わせたこともあって、2Kテレビながら高品位な映像を楽しめた。安価な液晶テレビでは黒浮き(暗い映像なのに明るく浮かび上がってしまう)しやすいシーンも、しっかり黒が締まって見える。

さらに、フルHDパネルの32型機は細かい文字も読みやすく、テキスト表示が多いゲームを楽しんだり、PCとつないで作業するモニター代わりとして使ったりしても実力を発揮してくれそうだと感じた。

4Kまでは必要ないが、2K機でもネット動画やテレビを手軽にいい画質で楽しみたいという人だけでなく、これからひとり暮らしを始める若年層、自室にもう1台コンパクトなテレビが欲しい、といったパーソナルユースにも適している。

ちなみに今回、サウンド面まではじっくり体験できていないが、A4Nシリーズには音響最適補正技術「Eilex PRISM」などの技術を投入。高音から低音まですべての音声帯域を整え、キレイで聞きやすい音に補正するというVIRフィルターも新たに投入するなど、音質面にも配慮した設計を採用している。

なお3機種はパネルの方式・解像度やスピーカー出力、消費電力などに違いがあるが、それ以外のネット機能や基本機能、チューナー数、入出力端子の数は共通だ。



従来の「A40H」からの進化点のひとつが、同じハイセンスグループ傘下のTVS REGZAと共同開発した新しい映像エンジン「HI-VIEWエンジン 2K」への刷新(A40Hは独自の「NEOエンジン2Ksmart」)。テレビに入力された信号やコンテンツを自動的に認識し、それに合わせて最適な画質処理を施す機能を備えており、設定メニュー画面もREGZAブランドでおなじみのUI(ユーザーインタフェース)が採り入れられている。



画質関連の進化点としては、非常に細かいことだが、部屋の明るさに合わせて画面の明るさなどを自動調整する「環境光センサー」機能のカスタマイズにも対応。手動で微調整できるようになった点が見逃せない。自動調整は便利だが、もう少し明るく(あるいは暗く)したい……と感じた場合、画面に表示されるトーンカーブを見ながら、付属のリモコンを使って設定を追い込めるようになった。

「環境光センサー」機能のカスタマイズに対応し、詳細設定メニューを用意

そのリモコンも、ハイセンスの4Kテレビと同じBluetooth式のものにリニューアル。テレビのある方向に向けなくても使えるようになった。下部に配置したVODダイレクトボタンは、A40Hでは6種類だったのが、A4Nでは12種類と2倍に増加。使いたいサービスを手間なくすばやくつかえるようになった。また、中央のマイクボタンを押すと「VIDAA Voice」が立ち上がり、音声でテレビを操作できるようになる。

A40Hシリーズのリモコン(左)とA4Nシリーズのリモコン(右)。VODダイレクトボタンやマイクボタンの追加といった分かりやすい改善に加え、ボタンの文字表記を見やすくするといった細かなブラッシュアップも図っている

付属リモコンの裏面にドット状の滑り止め加工や、SIAA(抗菌製品技術協議会)の基準を満たした表面の抗菌加工を施した

多彩なネット動画アプリをプリインストールしているのも特徴で、YouTubeやNetflix、Prime Video、Disney+、U-NEXT、ABEMAなどのコンテンツを単体で視聴できる。A40Hよりも利用できるサービスが増えており、新たに「DAZN」、「FIFA+」、「NHKプラス」、「TVer」、「WOWOWオンデマンド」、「FOD」、「Apple TV」を加えた19のサービスに対応している。



ハイセンスの4Kテレビと同様のスマートフォン連携機能を、2KテレビのA4Nにも搭載。スマホの画面をテレビ画面に映し出す「スクリーンシェア」では、AppleのAirPlay 2に対応し、対応するiPhone/iPadのコンテンツをそのままテレビに表示できる。また、Androidスマホなどから静止画や動画などをテレビでキャスト再生するAnyview Castも利用できる。Android TVやGoogle TVをシステムに採用した安価なテレビやプロジェクターではAirPlay2をサポートしていないことが多く、A4Nの強みのひとつとも言えるだろう。



そのほか、スマートホーム機能として「Works with Alexa」と「Works with Apple Home」をサポート。ネットワークを介してAmazonのAlexa対応機器や、Apple製品とA4Nシリーズを連携させられる。ネットワークはEthernet端子×1を搭載するほか、IEEE 802.11ac/a/b/g/n準拠の無線LANも内蔵する。

チューナーは地上/BS/110度CSデジタル×2を搭載し、別売の外付けUSB HDDに裏番組録画できる。同一ネットワーク内にあるホームサーバー(ハイセンス製の対応テレビ)へアクセスして、USB HDDなどに録画した番組をA4Nで視聴する「Anyviewクライアント」機能も装備している。

HDMI 2.1入力を2系統装備し、このうちHDMI入力2のみeARC/ARC対応。低遅延なゲームモードを備えており、入力機器からの情報に連動して低遅延モードと高画質モードを自動的に切り換えるALLM(Auto Low Latency Mode)にも対応する。このほか、ワイヤレスヘッドホンでテレビの音声を聴けるBluetooth機能も備える。

フルHDのA4Nシリーズと、4KのA6Kシリーズのスペック比較。A4Nシリーズはパーソナルユースに適した2Kテレビではあるが、上位のA6Kシリーズ譲りの機能強化が随所に見られる