「尿の異常」の原因はご存じですか? 対処法や“注意したい腎臓の病気”も医師が解説!
「尿の色や泡立ちが気になる……」もしかしたら、尿の異常の裏には疾患が隠れているかもしれません。どのような疾患が考えられるのか、また、どのような診察や治療がおこなわれるのかなどを、「所沢いそのクリニック」の磯野先生に解説していただきました。
≫「一度だけ血尿が出た」を放置してはダメ! どんな病気のサイン?監修医師:
磯野 誠(所沢いそのクリニック)
防衛医科大学校卒業。その後、デュッセルドルフ大学泌尿器科、恵佑会札幌病院泌尿器科、我孫子東邦病院泌尿器科などで経験を積む。2023年、埼玉県所沢市に「所沢いそのクリニック」を開院。老若男女問わず元気で豊かな生活を送れるよう、一人ひとりに最適な医療を提供する。医学博士。日本泌尿器科学会専門医・指導医。
尿の色・臭い・泡立ちが気になる…尿の異常は腎臓や膀胱の病気のサイン? おしっこの異常に多い原因は?
編集部
尿の色や臭いが気になるときがあります。どんな原因が考えられるのでしょうか?
磯野先生
尿の色や臭いは、健康のバロメーターでもあります。食事の内容や水分摂取量、服用している薬、運動量でも変化しますが、もしかしたら腎臓や膀胱の疾患が隠れているのかもしれません。
編集部
本来、どのような尿の状態が健康的なのですか?
磯野先生
健康な人の尿は、淡黄色から淡黄褐色です。これは、尿中に含まれる「ウロビリン」という物質の色です。また、健康な人の尿はあまり臭くなく、軽いアンモニア臭がします。
編集部
では、色や臭いが気になる場合というのは、何か原因があるということですね。
磯野先生
はい。また、色や臭いだけでなく、泡立ちにも注目が必要です。そのほか、量がいつもより増えたり減ったりしているのも、疾患が隠れているサインかもしれません。
膀胱炎・タンパク尿・腎臓病・がんなど、尿の異常で気をつけたい病気を泌尿器科医が解説
編集部
尿に異常がみられるとき、どんな病気が考えられるのですか?
磯野先生
代表的なのは「膀胱炎」です。膀胱炎とは文字通り、膀胱に炎症が起きることです。膀胱炎を発症すると尿の色が白く濁ったり、強いアンモニア臭がしたり、排尿するときの違和感や痛みなどの症状が出たりします。
編集部
ほかにはどんな疾患が多いのですか?
磯野先生
タンパク尿もよくみられる症状です。通常よりも多くのタンパク質が尿中に排泄されたもののことを指します。タンパク尿が起きると尿が泡立つ、尿に細かい泡が立つなどの症状がみられることがあります。
編集部
そのほかには?
磯野先生
赤色やピンクの尿が出たときには、尿が排泄されるまでの過程のどこかで出血が起きています。この場合には膀胱炎、尿管結石・腎臓結石、膀胱がん、前立腺炎などが考えられます。一方で、白く濁っている場合には、尿路感染症などの疑いがあります。
編集部
様々な病気が考えられるのですね。
磯野先生
はい。その中でも、特に気をつけたいのはがんです。例えば、膀胱がん、尿管がん、前立腺がんでも血尿が出ることがあります。特に膀胱がんの場合、血尿は重要なサインなので、症状がみられたら早めに専門医を受診しましょう。
尿の異常があったとき、泌尿器科ではどんな診察・検査をする? 受けられる治療は?
編集部
泌尿器科では、どのような検査をおこなうのですか?
磯野先生
症状や疑われる疾患によって異なりますが、一般的にはまず尿検査をおこないます。膀胱炎が疑われる場合には正確な診断と適切な治療のため、追加で尿培養検査などもします。
編集部
尿培養検査とはなんですか?
磯野先生
尿培養検査は、尿中の細菌の種類や抗菌薬に対する感受性(どの抗菌薬が効いて、どの抗菌薬が効かないか)を調べる検査です。膀胱炎と診断された場合には、抗菌薬による内服治療をおこないます。
編集部
そのほかには、どのような検査があるのですか?
磯野先生
がんが疑われる場合には尿細胞診、超音波検査、CT検査、膀胱鏡検査などをおこないます。尿細胞診とは、尿にがん細胞が含まれていないか調べる検査です。超音波検査では、膀胱や腎臓に腫瘍があるか、大きさに異常がないか、結石がないかなどがわかります。
編集部
膀胱鏡検査とはなんですか?
磯野先生
膀胱の中を観察する内視鏡検査です。膀胱鏡検査では、胃カメラ検査や大腸カメラ検査と同じように膀胱の内部に内視鏡を挿入し、直接目で観察します。これによって小さな早期がんを発見できる可能性が高まります。
編集部
様々な検査があるのですね。
磯野先生
はい。特に腎臓の疾患は、何らかの自覚症状が出たときには進行していることも多いので、定期的に検査を受けて病気を早期に発見することが非常に重要です。尿に違和感を覚えたら、早めに専門医を受診しましょう。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
磯野先生
尿の色や臭い、頻度の変化、排尿時の痛み、泡立ち、血尿など、尿に関する異常は、私たちの体の健康状態を示すサインであることが多いのです。これらの症状は、感染症、炎症、腎臓や膀胱の疾患など、様々な原因によるものである可能性があります。放置していると、症状が悪化したり、治療が困難になったりする可能性もあるので、早期発見・早期治療がとても重要です。何かしらの違和感や症状を自覚している人は、泌尿器科にご相談ください。私たち専門家がしっかりとサポートし、最適な治療を提案します。ご自身の体を大切にして、一歩を踏み出してみることが大切です。
編集部まとめ
「尿の異常で泌尿器科を受診するのは恥ずかしい」と感じることもあるかもしれません。特に女性はそうした恥ずかしさから受診を敬遠しがちです。しかし、どんな疾患も早期に発見すれば治療も軽いもので済む場合が多くなります。尿に異常があったときは自己判断せず、早めに専門の医療機関を受診するようにしましょう。
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