「大腸内視鏡検査を受けるべき理由」をご存知ですか? 辛さを軽減するコツを医師が解説

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大腸内視鏡検査は「つらいもの」という印象を持つ方もいると思いますが、実は検査のつらさを軽減する方法もいくつかあるようです。また、この検査は大腸がんの早期発見のためには必要不可欠であるだけでなく、その他の疾患を発見する場合もある大変有用な検査です。大腸内視鏡検査はどのような検査なのか、メリットやつらさを軽減するコツなどについて、つくば消化器・内視鏡クリニック院長の鈴木英雄先生に解説していただきました。

監修医師:
鈴木 英雄(つくば消化器・内視鏡クリニック)

1994年筑波大学医学専門学群(現・医学群医学類)卒業。専門は消化器内科、医学教育。2003年に株式会社メディシス設立に携わる。2006年テキサス大学M.D. Andersonがんセンター客員助手。2021年筑波大学附属病院つくば予防医学研究センター部長、病院教授。2023年7月につくば消化器・内視鏡クリニックを開院し現職。医学博士。日本消化器病学会専門医・指導医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医、日本消化管学会胃腸科専門医・指導医、日本消化器がん検診学会認定医・総合認定医、日本ヘリコバクター学会ピロリ菌感染症認定医など。

大腸内視鏡検査の基本

編集部

大腸内視鏡検査とは、どのような検査なのでしょうか?

鈴木先生

内視鏡を肛門から挿入し、大腸に病気や異常がないか調べる検査です。検査前に大腸をきれいにするため、下剤を使用して腸内を洗浄します。個人差はありますが、検査時間は10~30分ほどです。

編集部

大腸内視鏡検査で見つかる疾患にはどのようなものがありますか?

鈴木先生

大腸がんやポリープ、炎症性腸疾患、憩室疾患など大腸のあらゆる疾患が見つかります。ポリープが発見された場合はその場で切除することもできます。

編集部

大腸内視鏡検査の最大のメリットを教えてください。

鈴木先生

大腸内視鏡検査は「検査と同時にポリープ切除などの治療もその場でおこなえること」が最大のメリットです。大腸がんは、ポリープ(腺腫)が数年の経過で進行して形成されることが多いと言われています。欧米からは5mm以下であってもすべての腺腫を内視鏡的に切除することで大腸がん発生が7~9割抑制できること、大腸がん死亡を約5割抑制できることが報告されています。

大腸内視鏡検査は「つらい検査」なのか?

編集部

大腸内視鏡検査を受ける際の流れについて教えてください。入院は必要ですか?

鈴木先生

大腸内視鏡検査は通常日帰りでおこなわれ、入院は必要ありません。大腸内視鏡検査を受ける際の一般的な流れについて説明します。

事前準備

キノコ類、海藻類、葉物の野菜、果物の種など消化の悪い食べ物は、検査時まで残ってしまう可能性がありますので2日程前からなるべく控えてください。検査の前日は医療機関で出される検査食を食べ、残渣を少なくします。前日夜に軽い下剤、当日朝に腸管洗浄液を服用し、腸をきれいにします。水のような便になったら準備完了です。当日は検査が終わるまで食事はできませんが、水は飲むことができます。内服薬を服用している方は医療機関の指示に従ってください。

検査当日

医療機関を受診し、検査着に着替えて待機します。検査に呼ばれたら検査台の上に左下またはあおむけで寝るように指示があります。鎮痙剤を注射して腸の動きを抑え、挿入・観察しやすくします。鎮静剤や鎮痛剤の注射をおこなうこともあります。

検査中

医師は内視鏡を直腸肛門から挿入し、大腸内を観察します。検査中に異常が見つかった場合、医師は生検したり、ポリープを切除したりすることがあります。

検査後

内視鏡検査が終了し着替えた後、医師から説明があります。鎮静剤を使った方は薬が抜けるまで待機します。

会計・外来予約

会計をおこない、終了です。生検やポリープを切除した場合は、その結果説明のための次回の外来予約を取ります。

編集部

「大腸内視鏡検査はつらそう」という印象を持っている人も多いと思いますが、つらい検査なのでしょうか?

鈴木先生

大腸内視鏡検査のつらさは「検査前の下剤によるもの」と「挿入中の不快感」に分けられます。不快感を完全にゼロにすることはできないかもしれませんが、軽減する方法はいくつかありますので、医師や看護師に相談してみることをお勧めします。

編集部

大腸内視鏡検査のつらさを軽減するにはどのような方法がありますか? 麻酔を使うことをお願いしても大丈夫でしょうか?

鈴木先生

つらさを軽減する方法を「検査前の下剤」によるものと「内視鏡挿入中の不快感」に分けて説明します。「検査前の下剤」については、検査前の下剤は2リットルと量が多い、美味しくないと言った課題がありましたが、最近はいろいろな種類の腸管洗浄剤が出ています。モビプレップは1.5リットルで腸がきれいになり梅のような味です。マグコロールPは 1.8リットル飲む必要がありますが、スポーツドリンクのような飲みやすい味です。サルプレップは当日に薬液720mlに水1.5リットルを飲み、レモン味です。ピコプレップは、前夜と当日に150ml+透明な飲み物1250mlを服用し、オレンジ味です。ビジクリアは50錠の錠剤で水またはお茶2リットルで飲むので、味の心配はありません。

編集部

「内視鏡挿入中の不快感」についても教えてください。

鈴木先生

「内視鏡挿入中の不快感」については、内視鏡を挿入する際に、痛みや不快感を感じることがあります。個人差がありますが、鎮静剤で眠った状態にしたり、鎮痛剤を使ったりすることで痛みを和らげることができます。鎮静剤を使うと車の運転ができませんのでご注意ください。また、検査の際に二酸化炭素を使うとお腹の張りが軽減されますので、使えるかどうか事前に確認すると良いと思います。

大腸内視鏡検査を受けるための準備

編集部

大腸内視鏡検査を受けるためには、どのような病院を選ぶと良いのでしょうか?

鈴木先生

消化器内科や胃腸内科を標榜している医療機関が良いと思います。日本消化器内視鏡学会専門医資格を有している、もしくは内視鏡経験の豊富なドクターがいる施設ですと安心です。これらの情報はHPなどで確認できます。腸管洗浄剤を事前に飲みますので、自宅からの距離や時間も考慮する必要があります。

編集部

大腸内視鏡検査の費用はどのくらいですか?保険適用でできるのでしょうか?

鈴木先生

大腸内視鏡検査は通常、医療保険の対象となります。3割負担の場合、内視鏡検査だけだと約7000円、生検もおこなうと約1万1000円、ポリープ切除までおこなうと約2万~3万5000円です。ポリープを切除し、民間の医療保険に入っていると「内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術」として手術給付金がおります。生検だけでは支払対象外ですので、診療明細書等で確認してください。

編集部

大腸内視鏡検査は、どのくらいの頻度で受ける必要がありますか?

鈴木先生

日本消化器内視鏡学会の「大腸内視鏡スクリーニングとサーベイランスガイドライン」によると、ポリープを認めない場合は年1回の定期的な便潜血検査、2個以内のポリープを切除した場合は3~5年後、3~9個のポリープを切除した後は3年後、10個以上や悪性の場合は1年後におこなうことが提案されています。潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患を患っている場合は毎年、または2年毎のフォローアップが必要ですので、医師と相談して決める必要があります。

編集部まとめ

大腸内視鏡検査の最大のメリットは検査と同時にポリープ切除などの治療もできる点であると教えていただきました。近年、不快感を感じる下剤の味は改善されつつあり、内視鏡挿入の際は鎮静剤や鎮痛剤の使用で不快感を軽減できる可能性があるとのことでした。さらに、病院の選び方や検査費用についても詳しく教えて頂きました。本稿が読者の皆様にとって、大腸内視鏡検査について知り、大腸がん予防を知るきっかけとなりましたら幸いです。

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