「社員の教育研修にお金をかける企業」トップ100

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(写真:Kazpon/PIXTA)

近年、人的資本投資・経営への注目が高まっている。働き手不足の深刻化という現実的な問題も相まって、「人材育成」は企業にとってより一層重要な経営課題となっている。

では実際にどのくらい企業は社員教育にお金をかけているのか。今回は『CSR企業総覧(雇用・人材活用編)』2024年版掲載の「従業員1人当たりの年間教育研修費用」を基に、上位100社のランキングを作成した。

対象は2022年度の同金額を開示している718社。一部の企業で教育研修費の定義が異なる場合がある。今回から参考情報として「従業員1人当たりの教育研修時間」も掲載している。

1位の三井物産は年間50万円


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上位10位には大手商社が並んだ。トップは三井物産の50万円。特定分野の高度な専門性を評価する複線型人事制度「Expertバンド」や、50歳以上の総合職を対象に研修費用を補助する「リスキル費用補助制度」を導入している。

2位は三菱商事(教育研修費用は44.5万円、以下同)。同社は従業員の自律的な学習を支援するオンライン学習プラットフォームを導入。2022年度の視聴実績は1人当たり年10.4時間以上に上る。

以下、商社では4位に伊藤忠商事(39.6万円)、8位に住友商事(35万円)が続く。

そのほかの業種では、空運・海運も上位だ。6位のANAホールディングスは39.3万円。同時間も105.6時間と長い。グループ内の人材公募制度やFA制度を導入し、学びを生かす機会の充実にも取り組む。11位に商船三井(27.2万円)、15位に日本郵船(23.5万円)がランクインしている。

情報・通信業も上位に目立つ。7位の野村総合研究所は38.4万円。国内外での留学制度を整備し、年5~10人の選抜メンバーを海外MBAトップ校などに派遣留学させるなど、人材育成に積極的だ。14位に日鉄ソリューションズ(24.1万円)、18位に日立ソリューションズ(22.4万円)が続く。

教育研修費の全体平均は約6.3万円

全体の平均は約6.3万円であるため、上位企業は教育研修費用に多くのお金をかけていることがわかる。各社とも専門性が高い人材の育成やリカレント教育、グローバル人材の育成などに力を入れているようだ。

もっとも教育研修費については、範囲や定義などでまだまだ議論がある。各企業で社員の教育研修に必要とされる内容は異なるうえ、社内研修施設の建設費、海外研修や留学中の生活費や渡航費、個人的な研修費などを研修費用としてどこまで含めるかも検討が必要だ。また、ITなどを活用して効率的に施策を展開している場合は、金額が少なくとも費用対効果の面でプラスに評価できる。

いずれにせよ、人的資本経営がうたわれる中で、本指標の重要度が高まっていくのは間違いない。本ランキングの上位企業は人材育成に積極的に取り組んでいるといっていいだろう。

1〜50位


51〜100位


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(山谷 明良 : 東洋経済データ事業局)