【かつお節の裏ワザ】「かつお節」は2種類ある!?“お吸い物”を作るならどっちがいい?専門家が解説!

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普段、何気なく使っているかつお節ですが、実はかつお節には2種類あるのだそう。かつお節にまつわる話を伝えていたのは2023年7月2日放送のTOKYO FMのラジオ番組『apollostation Drive Discovery PRESS』にゲスト出演していた、かつお食堂の店主・永松真依さん。かつお節の製法によって「かつお削り節」と「かつお枯れ節削り節」に分類され、もちろん味が違うのだそう。これは気になる~。2種類のかつお節でだしを取って味わってみました。

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ラジオ番組でかつお節を解説していたのは「かつお食堂」の店主・永松真依さん

TOKYO FMで2023年7月2日に放送していた『apollostation Drive Discovery PRESS』にゲスト出演していたのが、東京都渋谷区にある「かつお食堂」の店主である永松真依さん。

かつお節をこよなく愛することから、かつおちゃんと呼ばれているほどで、かつお節伝道師という肩書きもお持ちです。かつお節に興味を抱くようになったのは、かつお節を削るおばあさまの姿に魅了されたからだとか。

全国のかつお節の産地を訪れてかつお節にまつわる取材を重ね、「かつお食堂」を営む傍ら、各地での公演や食育などのイベントを通じて手削りのかつお節の普及や魅力を伝えています。

そんなかつお節伝道師の永松さんは、ラジオ番組でかつお節には2種類あると語っていました。

スーパーに並んでいるかつお節を何気なく購入していた筆者。2種類あるとはどういうこと?いつも使っているかつお節は何?と疑問がたくさん浮かびました。

製法の違いで「かつお削り節」と「かつお枯れ節削り節」に分かれる


画像出典:Photo AC

まずは簡単にかつお節の作り方を紹介します。3枚に卸したカツオを4等分に切り、せいろに並べて釜の中で煮ます。煮ることで殺菌でき、身に火が通ることで燻製したときに乾燥しやすくなるそうです。

煮終えたカツオは丁寧に骨を抜き、再びせいろに乗せて時間をかけてじっくりと燻製し、カツオの水分を抜いていきます。燻製が終わったら涼しい場所で冷まして水分をしっかりと飛ばします。これで「荒節(あらぶし)」が完成。

「荒節」を削ったものが「かつお削り節」と呼ばれています。


画像出典:Photo AC

一方、「荒節」にカビ菌を付着させて作られるかつお節も。カビ菌の付着と天日干しを繰り返すことで「荒節」の水分吸収と脂肪分の分解が進み、かつお節の雑味が消えて上品な味わいになるそうです。カビ菌を付けて作られたかつお節は「かつお枯れ節削り節」と呼ばれています。

削ってしまえば同じように見えるかつお節ですが、実は製法の違いによって「かつお削り節」と「かつお枯れ節削り節」の2種類に分かれるのです。

「かつお削り節」と「かつお枯れ節削り節」の味の違いを検証!



かつお節伝道師の永松さんによると、一般的にカビ付けされていない「かつお削り節」は魚のパンチが効いただしに、カビ付けされた「かつお枯れ節削り節」は香りが際立った澄んだだしになると紹介していました。

かつおだしは和食のおいしさを支える重要なもの。2種類のかつお節を用意して味の違いを確かめてみます。

【かつお節のまま味比べ】



左:かつお削り節、右:かつお枯れ節けずり節

左の花かつおと書かれている方が「かつお削り節」、右が「かつお枯れ節削り節」です。今回購入した「かつお枯れ節削り節」は薄削りタイプのため、細かい形状になっていました。

まずは袋から取り出したかつお節を香ってみると、左の「かつお削り節」はかつお節らしい強い香りがしますが、右の「かつお枯れ節削り節」はうっすらとしかかつおの香りを感じず、とても繊細な印象です。

次は少し味わってみます。左の「かつお削り節」はかつおの旨味が強く、いつものかつお節という味わいに対し、右の「かつお枯れ節削り節」はとってもまろやかな味わい。かつお節でもこんなに違うの⁉とはっきりと分かるくらいの違いがありました。



【だしを取って、お吸い物とみそ汁で味比べ】


左:かつお削り節、右:かつお枯れ節削り節

次はかつおだしを作って味わってみます。水150mlにかつお節5gという分量で「かつお削り節」と「かつお枯れ節削り節」のだしを取りました。


左:「かつお削り節」でとっただし、右:「かつお枯れ節削り節」でとっただし

お湯150mlにかつお節5gを加えて1分30秒加熱して作ったそれぞれのだしがこちらです。同じ条件でだしを取りましたが、だしの色に明確な違いが出ましたよ。



「かつお削り節」でとっただしはかつおの味が濃く出ていて力強い味わい。かつおだしというのがすぐに伝わりました。



先ほどのだしにみそを小さじ1/2杯弱を溶いてみそ汁にしてみると、とってもおいしいみそ汁に。だしの状態で味わった時はかつおの力強さを感じましたが、みそと合わさると深い旨味が出て、とてもおいしくなりました♪

次は「かつお枯れ節削り節」でとっただしを味わってみます。



「かつお枯れ節削り節」でとっただしはとってもまろやか。塩やしょうゆを加えなくてもこのままお吸い物として十分なくらいのおいしさです♪



「かつお枯れ節けずり節」でとっただしにもみそを小さじ1/2杯弱を溶いて、みそ汁にしてみました。味わってみると、とっても上品でまろやかなみそ汁に仕上がりましたよ。同じみそを同量加えましたが、こちらは角が無い丸みのある味わいで高級感のあるおいしさです。

みそ汁にするとそれぞれのだしの良さが際立ち、どちらも甲乙つけがたいおいしいみそ汁になりました♪

2種類のかつお節をブレンドすれば好みの味のかつおだしを作れる♪



かつお節伝道師の永松さんはラジオ番組で、かつおの味が出やすいのが「かつお削り節」で、みそ汁や煮物、そばつゆに使われることが多いのが特徴。「かつお枯れ節削り節」はお吸い物などの繊細な料理を作る時に向いていると紹介していました。

さらに、かつお節は好きなように使って料理出来るのが魅力なので、2種類のかつお節をブレンドして使うのもおすすめだと語っていました。

今回「かつお節削り節」と「かつお枯れ節削り節」のだしとみそ汁を味わってみて、製法の違いでこれほどまでに味わいに差があるのかと驚きました。

筆者は薄味が好きなので「かつお枯れ節削り節」の方が好みでしたが、みそ汁にした時には「かつお節削り節」の方が深みが出ておいしいと感じました。

かつお節は奥深い!と感じた今回の味比べ。かつお節を極めたら料理の腕前がぐんと上がりそうです♪興味のある方はかつお節のパッケージを確認し、2種類のかつお節を用意して味比べしてみてくださいね。

かつお節の製法 参考サイト
https://www.kobayashi-foods.co.jp/washoku-no-umami/how-to-make-dried-bonito