J1リーグ第1節  町田 1(1-0)1 G大阪
15:03キックオフ 町田GIONスタジアム 入場者数13,506人
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試合の立ち上がり、町田はまるで何年もJ1で戦っているかのように自信たっぷりのプレーを見せた。フィジカルを生かしたスピード、攻守の切り替えでG大阪を戸惑わせる。そのままの流れで17分、PKを得ると鈴木準弥が力強く決めて先制した。

このPKの場面は、微妙な判定になった。その直前にG大阪のダワンが足を踏まれて倒れてたが、そのこぼれ球を岸本武流が拾う。岸本はボールをキープしつつ後ろを向いたときにダワンを見つけてプレーを切ろうとした。だがそれとほぼ変わらないタイミングで町田が岸本からボールを奪い、前線のナ・サンホへ。ナ・サンホがクロスを上げると、これがDFの手に当たりVAR介入の結果、PKとなった。

清水勇人レフェリーは迷う場面だったはずだ。もし岸本がボールを奪われた時点で笛を吹いていたら、町田が抗議していただろう。その場面がPKに結びついてしまったのはまた別の話なのだ。もちろんハンドを取られたG大阪が不満を抱くのは当然だと言えるだろう。幸いだったのは清水主審がそんなG大阪の抗議に冷静に対応し、誰にも警告が出なかったことだった。

ともあれこの1点で守備に自信のある町田は念願の先制点を手に入れた。ところがこの虎の子が逆に町田を追い込んでいく。

前半こそ町田のペースで進んだものの、後半G大阪はしっかり立て直してきた。一方の町田は前半のような積極性が消え、次第に守りに入っていく。1点をリードしていることが失点への恐れを生んでいた。そんな中で60分、仙頭啓矢が退場となる。そこからの町田は守備一辺倒になった。

これがJ2リーグだったら、もしかすると守り切れたかもしれない。だがJ1は各クラブに個人でゴールをこじ開けられる選手がいる。G大阪で言えば宇佐美貴史が筆頭で、84分、町田が耐えきれずゴール前で与えたFKを難なく決めて試合を振り出しに戻した。

後半アディショナルタイムに入ってもG大阪の猛攻が続く。だが谷晃生の素晴らしい守りを中心に町田は耐え抜き、J1初試合で勝点1を得ることができた。町田は前半のように、J1でも怖れず挑めば十分圧倒できるという部分と、後半のJ1リーグの恐ろしさという部分と、両方の経験と教訓を得たはずだ。

この日のMVPはGK谷。前半2回、後半2回の決定機を防いだプレーが特に目立った。それだけ町田が苦しかったということなのだが、試合後、明るい表情の選手が多かったのは、手応えもつかめたということなのだろう。

森雅史(もり・まさふみ)
佐賀県有田町生まれ、久留米大学附設高校、上智大学出身。多くのサッカー誌編集に関わり、2009年本格的に独立。日本代表の取材で海外に毎年飛んでおり、2011年にはフリーランスのジャーナリストとしては1人だけ朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の日本戦取材を許された。Jリーグ公認の登録フリーランス記者、日本蹴球合同会社代表。2019年11月より有料WEBマガジン「森マガ」をスタート