ある物事に没頭していた人が心身の疲労で一気に意欲を失ってしまう燃え尽き症候群は、さまざまな業界で働く人において深刻な問題となっています。ノルウェー科学技術大学(NTNU)の心理学者であるレオン・デ・ビア氏らの研究チームが、493人の成人から収集したデータを基に、燃え尽き症候群のリスクを測定できるツール「燃え尽き症候群評価ツール(BAT)」を開発しました。

The psychometric properties of the Burnout Assessment Tool in Norway: A thorough investigation into construct‐relevant multidimensionality - De Beer - Scandinavian Journal of Psychology - Wiley Online Library

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/sjop.12996



BAT scale scorer

https://theburnout.app/

Scientists Developed A Tool To Reveal Who's at Risk of Burnout, And It's Free : ScienceAlert

https://www.sciencealert.com/scientists-developed-a-tool-to-reveal-whos-at-risk-of-burnout-and-its-free

Burnout: identifying people at risk

https://norwegianscitechnews.com/2024/02/burnout-identifying-people-at-risk/

燃え尽き症候群は社会的な問題となっており、ビア氏は「ノルウェーで働く社会人のうち、約13%が燃え尽き症候群のリスクが高いことがわかっています」と報告しています。しかし、燃え尽き症候群のリスクがある人を特定するための、臨床と研究の両分野で使用できる詳細な測定ツールや国際基準はこれまで開発されていませんでした。

ビア氏によると、燃え尽き症候群のリスクが高い人は、早期に対処しないと、燃え尽き症候群が長期間にわたって持続する可能性があるとのこと。

そこで、ビア氏らの研究チームは調査を行った493人のデータに基づいて、燃え尽き症候群のリスクを測定できるツールであるBATを開発しました。

BATでは、自身の燃え尽き症候群のリスクを客観的に確認できるほか、オーストリア、ベルギー、フィンランド、ドイツ、日本、オランダに住む労働者の平均スコアと自身のスコアを比較することも可能です。

BATを利用するには、以下のリンクをクリックします。

BAT scale scorer

https://theburnout.app/



「Calculate your score」のタブをクリックし、「Begin」をクリック。



「仕事中、精神的に疲れることがある」「仕事では全てのことに多大な努力が必要だと思う」などの設問に「Never(まったくない)」「Rarely(めったにない)」「Sometimes(ときどき)」「Often(しばしば)」「Always(常に)」の5つから選んで回答していきます。最後まで回答したら「Next」をクリック。



2ページ目も同様に回答し、「Next」をクリック。



3ページ目も同様。



4ページ目では年齢や居住国を尋ねられるほか、研究のために回答の共有を許可するかどうか尋ねられます。上から自身の年齢を入力し、オーストリア、ベルギー、フィンランド、ドイツ、日本、オランダの中から居住国を選択します。データ共有の選択まで完了したら「Next」をクリック。



しばらく待つと2つの結果が表示されます。「Standardized results」は、日本における自身の燃え尽き症候群のリスクを示したものです。結果は5つの項目で分けられ、上から「全体的な燃え尽き症候群のリスク」「認知機能障害のリスク」「精神的距離感のリスク」「感情障害のリスク」「過度な疲労のリスク」です。このスコアが高ければ高いほど、燃え尽き症候群のリスクが高いというわけです。



下のグラフは国別平均と自身のスコアを比較したものです。



なお、研究チームのNTNUの心理学者であるマリット・クリステンセン氏は「このツールは燃え尽き症候群のリスクを示すだけで、正式な診断や医学的アドバイスを提供することはありません。仕事関連のストレスが心配な方は、適切な医療機関を受診して相談することをおすすめします」と述べています。