東京のほぼ真ん中「日野市」の住宅事情は? 豊かな自然でファミリーにおすすめの街
「東京のへそ」ともいわれる日野市は、浅川や多摩川の清流と豊かな森に恵まれた自然豊かな場所です。新選組ゆかりの地であり、高幡不動尊金剛寺や多摩動物公園などがある街としても知られています。JR中央線・京王線で新宿と結ばれ、高度成長期以降に住宅地として発展してきました。今回は、日野市の魅力と住宅事情について紹介します。
多摩川や浅川の清流と自然に恵まれた場所
日野市は都心から西に35キロメートル、東京都のほぼ真ん中に位置する総面積27.55平方キロメートルの街です。市の北部に多摩川、中央部に浅川が流れ、豊かな自然に恵まれています。甲州街道や川崎街道が通る日野市は、宿場町としても発展してきました。また、土方歳三が生まれ育った地であり、新選組のふるさととしても知られています。新選組ゆかりの日野宿本陣があるほか、例年の5月には「ひの新選組まつり」も開催されています。
日野市は、昭和に入ってから大企業が進出し工業地としても成長。戦後は旧日本住宅公団による1958年完成の多摩平団地など、大規模団地が建設され住宅都市としても発展。1963年には人口が5万人を超え、東京都12番目の市として日野市が誕生しました。
その後、1969年には百草団地、1971年に高幡台団地の入居が始まりました。この頃から日野市の人口は大きく伸びていきます。2000年には、多摩都市モノレール線の多摩センター駅~立川北駅間が開通。程久保駅や万願寺駅、甲州街道駅などが誕生し地域内での移動がさらにスムーズになりました。
2024年1月1日時点で人口18万7,494人、世帯数9万3,257世帯を誇るベッドタウンとして成長しています。
【日野市のデータ】
総面積…27.55平方キロメートル
人口…18万7,494人
世帯数…9万3,257世帯
※2024年1月1日時点
豊かな自然環境に加え、都心へもスムーズなアクセス
日野市が実施した令和4年度市民意識調査によれば、「日野の暮らしやすさ」について、「住みやすい」と答えた人は32.0%。「どちらかといえば住みやすい」と答えた人は55.5%で、「住みにくい」と答えた人は1.4%、「どちらかといえば住みにくい」と答えた人は8.5%となっており、住みやすいと感じている人が9割近くを占めています。
同じ調査で、日野の良いところとして上位に挙げられているのが「自然環境が良い」68.0%、「買い物など生活が便利」32.8%、「通勤や通学に便利」26.2%、「道路や街並みなどの生活環境が良い」20.8%、「ごみの減量化やリサイクルなど環境対策が充実している」19.6%。調査は、自然豊かで暮らしやすい街であることを示しています。
まず、日野市の交通を見ていきましょう。日野市には、JR中央線、京王線、多摩都市モノレール線の3路線が通っており、JR中央線では日野駅と豊田駅が日野市に立地します。豊田駅からは、八王子駅へ1駅、日野駅からは立川駅へ1駅と商業業務施設が集まる八王子駅・立川駅へ短時間でアクセスできます。
京王線は、利用客の多い高幡不動駅に加え、百草園駅、南平駅、平山城址公園駅があります。JR中央線、京王線ともに副都心である新宿を経由し都心へとスムーズに結びます。JR中央線利用で、日野駅から新宿駅へ40分台、京王線利用で高幡不動駅から新宿駅へも40分台でアクセス可能です。
多摩都市モノレール線には、高幡不動駅に加え、甲州街道駅、万願寺駅、程久保駅、多摩動物公園駅が設けられました。多摩都市モノレール線沿線には、大学などの教育施設も多く、学生の下宿先としても沿線の街が選ばれています。また、市内を国道20号線(甲州街道)が通り八王子方面と府中・新宿方面が結ばれており、中央自動車道の国立府中インターチェンジへのアクセスも良好です。
令和4年度市民意識調査で多くの人が挙げたように、市内に多摩川や浅川が流れ、台地や丘陵部に森が残る豊かな自然も日野市の魅力です。浅川の南は起伏に富んだ多摩丘陵で、樹林地や湧水もあります。浅川の北側は台地で、住宅地と工業地が中心です。浅川と多摩川沿いの沖積低地は、住宅地と農地が広がっています。かつてに比べ農地は減少しているものの、都市農業が今も営まれています。市内には、JA東京みなみの農産物直売所である「みなみの恵み」などがあり、地元周辺で取れた新鮮な野菜などを購入できます。
多摩動物公園などさまざまな公園があるのも日野市の魅力です。多摩動物公園は、豊かな自然を残した動物園。おりのかわりに壕(ほり)で仕切った放養形式で展示。約300種の動物が飼育されています。小学生以下、都内在住・在学の中学生は無料。一般の人の年間パスポートは、2,400円(2023年12月時点)です。
南平丘陵公園は、多摩丘陵の地形と樹林をそのまま利用した公園。起伏に富んだ地形の中に、広場などが整備されています。
豊田駅から徒歩約10分の場所にある黒川清流公園は、豊富な湧き水と雑木林の斜面地を利用した、緑と清流を満喫できる人気の公園。自然観察ができるほか、子どもの水遊びなども可能。園内には、木立に囲まれた散策路もあり地域の憩いのスポットになっています。
京王百草園は、多摩丘陵の一角にたたずむ江戸時代に再建された寺の庭が継承された日野市の史跡・名勝。約500本もの梅の木があり、開花の季節には鮮やかな花が庭園を彩ります。「江戸名所図会」などにも紹介された場所で、徳冨蘆花や若山牧水らの著名人も訪れた場所です。
街なかにも公園が整備されており、日野市役所の近くにある日野中央公園や野球グラウンドが併設された万願寺中央公園など、子どものための遊具が備わった公園が市内各所に点在します。子どもが遊べる場所が多い点は、多くの住宅団地が建設され、宅地を中心とした開発も進められた日野市の魅力といえるでしょう。
駅周辺に商業施設が充実! 生活環境の良い暮らしやすい街
日野市内で中核となっている街は、JR中央線の日野駅、豊田駅と京王線高幡不動駅を中心に広がっています。駅周辺には商業ビルが立ち並ぶほか、買い物施設も充実しています。
なかでも、豊田駅には大型商業施設イオンモール多摩平の森が2014年11月にオープン。イオン多摩平の森店が入るほか、約110もの専門店が入っています。書店やインテリア、ファッションなど多彩なお店が入るほか、フードコートも設けられ飲食店も豊富。3階にはキッズパークやこどものひろばも用意され、家族連れでゆっくりと楽しむことができます。
高幡不動駅には京王高幡ショッピングセンターが駅と直結。京王線の橋上駅舎化に伴いつくられた施設で、多摩都市モノレール線高幡不動駅とも結ばれています。京王ストアが入るほか、書店やドラッグストア、金融機関、レストランなどがあり、ワンストップで買い物や食事を済ませられます。
日野駅は、いなげや、イオンフードスタイル、コープみらいなどのスーパーが駅周辺に点在。毎日の買い物ニーズにも十分対応できます。商業集積度合いは駅によって異なりますが、スーパーなどの生活関連施設があるのは住宅地として発展してきた日野市の魅力といえるでしょう。
また、前述の市民意識調査では2割を超える人が日野の良いところとして「道路や街並みなどの生活環境が良い」を挙げています。豊田駅が最寄り駅となる多摩平や旭が丘をはじめ、多くの住宅地が土地区画整理事業で整備されています。豊田駅の南側の豊田南地区では、現在も土地区画整理事業が進行中で、区画整理された駅前街区ではマンション分譲も行われています。道路や公園が整備された暮らしやすい場所が多いのも日野市で暮らす魅力でしょう。
駅徒歩圏で3,000万円台前半で買える新築戸建ても
日野市は、利用客数の多い日野駅、豊田駅、高幡不動駅を除くと戸建て住宅中心の街が目立ちます。この3駅を除けば、日野市全体では新築戸建て分譲が中心となり価格もリーズナブルです。日野駅、豊田駅、高幡不動駅の徒歩圏エリアは人気もあり、新築戸建ても相応の予算が必要ですが、それ以外の街では3,000万円台前半など低価格帯の分譲戸建ても見受けられます。
新築マンションの供給物件数は限られていますが、多摩平の森の大規模マンションや豊田駅前の区画整理地内での分譲が行われています。分譲価格は、駅近立地でも3LDKタイプで5,000万円台から。生活の利便性を求めるのであれば、豊田駅などの駅近マンションを検討するとよいでしょう。中古マンションストックも多く、70平方メートル超の3LDKタイプが3,000万円台から検討可能。予算重視なら中古マンションと新築戸建てを検討してみてはいかがでしょうか。
次に日野市の筆者おすすめの街を紹介します。
買い物に便利でマンション分譲も活発な豊田駅
一つ目は、豊田駅です。JR中央線沿線の豊田駅は、1901年開業の歴史ある駅。JR東日本の車両基地があり、始発電車もあります。
多摩平や旭が丘といった住宅地が整備され、東京都立大学の日野キャンパスも立地します。駅前には商業ビルが立つほか、2014年には大型商業施設のイオンモール多摩平の森が開業するなど、利便性の高さも魅力です。
街は、JR中央線を挟んで南北に高低差があります。北口側にある多摩平などの住宅地は、高台に位置。黒川清流公園などの自然も残されています。一方南口側の豊田南地区は土地区画整理事業が進行中で、新築マンションの分譲が行われています。南には浅川の清流があり、川沿いには公園も整備されています。浅川周辺は比較的フラットな地勢で戸建て住宅が立ち並び、高層建物が少なくのどかな印象です。
豊田駅周辺では、駅南口の区画整理地内や北口側の既成市街地内でマンション分譲が行われているほか、多摩平の森で大規模マンションの分譲も行われています。生活利便性の高い街ですが、新築マンションの3LDKタイプは5,000万円台で購入可能。新築戸建ての分譲も活発で、豊田駅の徒歩圏で5,000万円台での分譲が中心。新築マンションと新築戸建てを比較検討するのもよいでしょう。3LDK以上の間取りが多く、買い物にも便利な街で子育てファミリーにおすすめです。
高幡不動尊のある高幡不動駅は、飲食店など多彩なお店がそろう街
二つ目のおすすめの街は、高幡不動駅です。高幡不動駅の魅力は、京王線、多摩都市モノレール線が利用できる多摩地区内での交通アクセス。豊田駅や日野駅など、日野市内の駅へのバスアクセスも良好です。多摩都市モノレール線の沿線には、中央大学などの大学のキャンパスもあります。また、浅川や多摩動物公園などの豊かな自然が身近にあるのも高幡不動駅の魅力です。
高幡不動尊は、平安期からの古刹(こさつ)で関東三大不動尊の一つ。土方歳三の菩提寺(ぼだいじ)でもあり、銅像も置かれています。元日は、多くの初詣客でにぎわうほか、節分には豆撒式・だるま市、5月にはひの新選組まつりが行われ、6月からのあじさいまつりも有名です。
観光客の参拝もあり、参道には飲食、食品、医薬品、ファッションなど多彩なお店が並びます。街はコンパクトですが、多摩都市モノレール線沿線の大学に通う学生の下宿などもあり、街に多様性があるのも魅力といえます。
高幡不動駅周辺の住宅事情は、新築マンション分譲は限られており中古マンション流通が主流です。築年数の浅い中古マンションストックは少ないですが、築20年程度の3LDKタイプが3,000万円台で手が届き、値ごろ感があります。新築戸建ては、敷地面積の広い戸建てが多く、駅徒歩圏では4,000万円台から5,000万円台中心となっています。予算重視で検討するなら中古マンションがおすすめです。
水害などのリスクは事前にチェックを
宅地を中心にコンパクトに発展した街が多く暮らしやすい日野市ですが、多摩川や浅川が流れる場所でもあり、水害リスクは留意したいポイントです。日野市では洪水ハザードマップを公開しています。高台エリアは危険度が低くなっていますので、よく確認しましょう。
大規模マンションの分譲などもあり2023年の日野市の人口は増加トレンドにありました。ファミリー層の流入が続けば、これから街はさらに活性化するのではないでしょうか。豊かな自然と暮らしやすい住環境は日野市の魅力。オフタイムに自然と触れ合いたい家族におすすめです。
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