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TeslaやSpaceXで知られるイーロン・マスク氏が率いる脳直結コンピューターNueralink(ニューラリンク)。

今年1月に、初となる“人間での脳チップ埋め込み手術”が行なわれました。手術は成功、被験者は無事回復中とマスク氏自ら語っていましたが、研究はさらにその先へ。

ついに、思考のみでマウスを操作することに成功しました。

頭で考えるだけ

Xの音声チャット機能スペースを使ったインタビューに、マスク氏が登場。被験者の様子について語りました。

「順調に進んでいる。被験者も完全回復したようで、マウスの操作ができている。考えるだけで、スクリーン上のマウスを動かした」

思考のみの操作として、できるだけ多くのボタンを押すというタスクを被験者と取り組んでいることも明かされました。このタスクには、頭で考えるだけで、カーソルを動かし、クリック&ドラッグするという操作が含まれます。

ただ、今回のスペースでのマスク氏の発言は、「ニューラリンクによる正式発表」にはあらず。マスク氏自身も「ここで大きな発表をするつもりはないが…」と前置きしており、正式なプロジェクト進捗発表が期待されています。

脳チップの製品名は「テレパシー」

人間が思考だけでコンピューターとやりとりすることをミッションに掲げるニューラリンク。まずは、身体麻痺がある人をサポートする技術として開発されています。

「スティーヴン・ホーキングが高速タイピストやオークショニアよりもスピーディにコミュニケーションができたら…、それがゴールだ」

と、今年1月にマスク氏がXにポストしています。初製品は「テレパシー」になる予定。

ニューラリンクが設立されたのは2016年。脳直結インターフェースの開発の事業内容を発表したのが2019年。2023年初夏に初となる人体実験の承認が米国食品医薬品局からおり、9月には被験者を募集。2024年1月末、無事手術が成功したと発表されました。

承認が降りてから急速に前進しているニューラリンクですが、批判の声もあがっています。

生命倫理学リサーチを行なうシンクタンクThe Hastings Centerは、

「生きている人間の頭を開き端末を埋め込むという、過去に類のない新たな人類の研究は、閉ざされた場所で行なうべきではない」

とし、情報公開が十分ではないとニューラリンクを厳しく批判しています。