「腰痛」になりやすい人の特徴はご存じですか? 原因や予防法も解説!
腰痛は日本人の国民病とも言われています。しかし、同じような生活を送っていても、腰痛になりやすい人となりにくい人がいるのも事実です。一体、「腰痛になりやすい人」にはどのような特徴があるのでしょうか。今回は腰痛になりやすい人の特徴や原因について、「にしはち鍼灸整骨院」の金井先生に解説していただきました。
監修柔道整復師:
金井 修(にしはち鍼灸整骨院)
東京医療専門学校卒業。その後、計15年間都内の整骨院に勤務し経験を積む。2005年、東京都八王子市に「にしはち鍼灸整骨院」を開院。柔道整復師。鍼灸師。
腰痛の原因とは?
編集部
腰痛の原因はなんですか?
金井先生
腰痛の原因は多岐にわたります。腰椎椎間板ヘルニアや腰椎椎間関節症などの疾患が原因になっていることもありますし、外傷が原因のこともあります。しかし、ほとんどの場合は原因不明とされているのです。
編集部
原因不明とはどういうことでしょうか?
金井先生
原因不明の腰痛を「非特異的腰痛」と言いますが、これには日常の行動が大きく関係していると考えられています。
編集部
どのような行動が原因となっているのですか?
金井先生
過度に筋肉を動かすことが挙げられます。筋肉を激しく使うと筋肉は緊張し、いわゆる筋肉痛の状態を引き起こします。激しく腰の筋肉を使うスポーツをしたり、重いものを持ったりしたときには、過度に筋肉が緊張するため、腰痛を引き起こしてしまうのです。
編集部
そのほかには?
金井先生
反対に運動不足など、筋肉を動かさないことが原因で腰痛を引き起こすこともあります。運動不足で体幹や腰を支える筋力が弱くなると、正しい姿勢を保持することができません。そのため、腰痛につながってしまいます。
編集部
様々な要素が考えられるのですね。
金井先生
そうですね。そのほか、日常的な習慣や癖などによって体のバランスが悪くなることも腰痛の原因となります。加えて、体が左右どちらかに傾いていたり、骨盤が後傾または前傾していたりすることも腰痛につながります。
編集部
体のアンバランスも腰痛につながるのですね。
金井先生
特にデスクワークの人などで猫背気味の場合は骨盤が後傾しやすく、また、股関節の外旋筋群が硬くなります。そうすると股関節の安定性が損なわれ、腰に負担がかかるようになり、腰痛を引き起こしやすいとされています。
腰痛になりやすい人の生活習慣を詳しく解説
編集部
激しく動かしても、動かさなくてもダメということですね。
金井先生
はい。これらのうち、特に腰痛の原因として多いのは、日常的な悪い姿勢です。日頃から猫背などの姿勢でデスクワークを続けていることも、腰や背中の筋肉が緊張し、腰痛の原因となります。
編集部
デスクワークの人に腰痛が多いのはそのためですね。
金井先生
はい。一般的に「立っているときよりも座っているときの方が、腰にかかる負担は1.4倍も大きい」と言われています。
編集部
そのほかに、腰痛を引き起こしやすい職業はありますか?
金井先生
腰に負担をかけることから、重労働の人、店頭販売員、運送業者、引越し業者、長距離ドライバー、介護職などが腰痛になりやすいとされています。このような職業の場合には、腰を適宜ほぐしたりストレッチをしたりして、筋肉の疲労を解消することが必要です。
編集部
腰痛を引き起こさないため、日常生活で気をつけることはありますか?
金井先生
「椅子に座ったときに足を組む」「横座りをする」「片足に重心をかけて立つ」「寝転んでテレビを見る」などの習慣も腰痛を悪化させるので、気をつけましょう。また、同じ姿勢を長く続けることを避け、随時体を動かす習慣をつけてくださいね。
編集部
そのほかに気をつけることはありますか?
金井先生
冷えは血行不良の原因となり、腰痛を引き起こします。特に女性は下半身が冷えやすいので、体を温めることを意識しましょう。
編集部
同じ腰痛でも、「反らすと痛い」「前屈みになると痛い」など、色々あります。
金井先生
それは腰痛の原因による違いが関係していると考えられます。例えば、腰を反らすと痛い場合には、運動不足のために腹筋が弱いために反り腰になっていることが多いですね。特に女性に多くみられます。
編集部
前屈みになると痛いという場合は?
金井先生
これは背筋が弱い人に起きることが多い腰痛で、普段から猫背気味の人や、デスクワークの人に多い症状です。細かく説明すると、背骨の骨(椎骨)の間にあり、骨と骨がぶつかるときの衝撃を吸収している椎間板に問題があって、神経が圧迫されていることが原因です。
編集部
腰痛といっても、色々な痛み方があるのですね。
金井先生
そのほか、多裂筋という背骨についている筋肉が衰えると背骨を安定させることが難しくなり、腰痛につながります。また、猫背の人の場合は常に筋肉が引っ張られて緊張状態になるため、柔軟性が低下し、姿勢を変えると痛みが生じるということが起こります。
編集部
腰痛の出方で原因を推測できるのですね。
金井先生
はい。筋肉の使いすぎで腰痛が起きる場合には、痛い場所をピンポイントで特定しやすいという特徴があります。この場合には筋肉を休ませたり、痛む部位をマッサージしたりすることが効果的です。
腰痛を改善するには?
編集部
腰痛を改善するには、どうしたらいいのでしょうか?
金井先生
まずは自分の腰痛の原因を理解し、それに適した施術をおこなうことが必要です。例えば、背筋や腹筋が弱いことで腰痛になっている場合には、それぞれ必要な筋肉を鍛えるトレーニングをするとともに、ストレッチをして硬くなっている筋肉をほぐすといいでしょう。特にトレーニングでは腹筋や背筋を鍛えるだけでなく、体幹を鍛えて姿勢を安定させることも重要です。
編集部
そのほかには?
金井先生
座ったときに足を組む習慣があるなど、腰痛を引き起こしやすい生活習慣がある場合にはそれらを改めることが必要です。ただし、生活習慣は長年の蓄積によるものなので、簡単に変えるのは難しいかもしれません。その場合には、マッサージや運動療法など複数の施術を組み合わせることで、症状の改善が期待できると思います。
編集部
痛み止めを服用するのはどうですか?
金井先生
どうしても痛みが続く場合には鎮痛消炎の効果がある薬を使用するのもいいかもしれませんが、もしかしたら整形外科的な疾患や、婦人科系、消化器系などの疾患が隠れているかもしれません。しばらく腰痛がひかない場合には、念のため、医療機関を受診しましょう。
編集部
湿布にも温湿布と冷湿布がありますが、どうやって使い分けたらいいでしょうか?
金井先生
一般的に、痛みが生じて48時間以内は冷湿布を使って患部を冷やすようにしましょう。その後は温湿布を使って血行を良くしてください。
編集部
特に危険な痛みはありますか?
金井先生
注意してほしいのは「夜間痛」です。一般的に腰痛は活動しているときに痛みが生じますが、寝ているときに痛みが生じるのは、何か怖い病気が隠れているのかもしれません。「寝汗をかく」「寝ていられないほど腰が痛む」などの症状がみられたら、早めに医療機関を受診しましょう。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
金井先生
姿勢の悪さや仕事での負担などが腰痛の原因となることが多く、一般に、腰痛の80%が原因不明の非特異的腰痛とされています。もし長く腰痛に悩んでいる場合には、ご自分の姿勢や筋肉の硬さなどを整骨院で診てもらうことをおすすめします。例えば当院では、患者さんの全身を撮影し、左右や前後のバランスをチェックし、体のどこに重心が乗っているのか、どこに負担がかかっているのかなどを確認して、どの筋肉にアプローチをすればいいのかを検討します。ご自身では真っすぐ立ったり歩いたりしているつもりでも、意外とバランスが崩れることも多いので、腰痛に悩んでいる人はぜひ整骨院にご相談ください。
編集部まとめ
湿布や一時的なマッサージなどで腰痛を凌いでいる人も多いと思います。しかし、根本的に解決したいなら、原因をしっかり理解することが必要です。一度、整骨院で姿勢や筋肉のバランスをチェックしてもらうといいかもしれません。
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