2023年、神奈川県で起きた還付金詐欺事件の「出し子」グループのリーダーと現金の回収役とみられる暴力団員ら2人が警察に逮捕されました。暴力団員が絡んだ還付金詐欺グループの摘発は、静岡県内では初めてです。

電子計算機使用詐欺と組織犯罪処罰法違反などの疑いで逮捕されたのは、六代目山口組六代目清水一家組員の男(32)と男(40)の2人です。

2人は、特殊詐欺グループの一員として2023年11月21日、「かけ子」グループのメンバーが神奈川県内の60代の男性宅に区役所職員を騙り、「旦那さんと奥さんに所得税の還付金があります」などと近くの金融機関に誘い出し、「(ATMの)操作方法を教えます」などとうそを言って、男性の口座から2人が管理する口座に約50万円を振り込み送金させ、その金を静岡県沼津市内のコンビニエンスストアにあるATMで現金約50万円を払い出し、盗んだ疑いが持たれています。32歳の組員が、「出し子」グループのリーダー、40歳の組員が現金の回収役とみられています。

事件は、2023年10月、静岡県御殿場市内で起きた還付金詐欺事件の「出し子」として、清掃業の男(39)が逮捕されたことで発覚。この男は、今回逮捕された2人から指示を受けた「出し子」グループの実行犯の1人とみられ、2023年11月の事件でも現金を引き出した実行犯とみて、近く追送検する方針です。

暴力団員2人が絡む「出し子」グループによる還付金詐欺被害が20の府県で確認され、被害額合わせて約3,000万円にものぼるとみられます。警察は不正に得た金が暴力団の資金源として流れていたとみて、捜査しています。

【警察が明らかにしている特殊詐欺グループによる還付金詐欺の手口】

警察によりますと、一連の還付金詐欺事件では、次のような手口で現金がだまし取られたということです。

①かけ子グループのメンバーが、区役所職員を騙り 「旦那さんと奥さんに所得税の還付金があります」 「手続きの書類を送っているのですが、返信がありませんでした」 「後ほど銀行のものから連絡がいきます」などと電話

②その後、金融機関の職員を名乗る別のメンバーがあらためて電話 「銀行に来れば、本日中に手続きができます」 「(ATMの)操作方法を教えますので、最寄りの銀行に行き、付いたら電話してください」などと金融機関に誘い出す

③その後、電話でうその(ATM)操作方法を教え、出し子グループが管理する口座に送金させる

捜査関係者によりますと、一連の還付金詐欺事件では、「かけ子」グループによる最初の電話から送金、現金の払い出しまでにかかった時間はわずか1日と短く、「かけ子」グループが被害者を焦らせ、気づいた時には「出し子」グループに現金が引き出されていたということです。