「鉄欠乏性貧血」とは?症状・原因についても解説!

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足がムズムズするとき、身体はどんなサインを発している?Medical DOC監修医が主な原因や考えられる病気・何科へ受診すべきか・対処法などを解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

監修医師:
小正 晃裕(医師)

京都大学医学部卒業。循環器内科・臨床不整脈を専門とし、これまで関西電力病院、京都大学医学部附属病院などで勤務。主にカテーテルアブレーション、不整脈デバイス診療に従事。現在は大手企業の専属産業医、複数クリニックで内科外来業務に従事しながら医療DX推進に向けて複数事業を運営中。日本内科学会認定内科医、日本循環器学会認定循環器専門医、日本不整脈心電学会認定不整脈専門医、日本医師会認定産業医。

「足がムズムズする」症状で考えられる病気と対処法

足がムズムズする、変な感覚を感じて足を動かしたくなったり触りたくなったりする、といった症状を自覚したことはないでしょうか。
これらの症状は気のせいではなく、れっきとした病気であることが珍しくありません。
以下で考えられる病気について解説いたします。

足がムズムズする症状で考えられる原因と対処法

足がムズムズする症状で代表的な疾患は、むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)です。
この病気の詳細については後述しますが、休息時や夕方~夜間にかけて、脚にむずむずした感覚、不快感を自覚します。また、痛みや痺れ、むず痒さとして自覚するなど、症状のバリエーションが多い疾患です。これらの症状が足を動かすと軽減するため、歩き回る、足をバタバタする、マッサージするなど、何かしら足を動かしたい衝動が強くなるのが特徴的です。
ご自身でできる対応は、睡眠時間の確保、適度な運動、カフェインやアルコールの摂取を控えること、鉄分を積極的に摂取することなどです。
受診すべき診療科は脳神経内科です。緊急性はありませんので日中に受診してください。

座っている時に足がムズムズする症状で考えられる原因と対処法

座っている時に足がムズムズする場合も、先述のレストレスレッグス症候群の可能性が考えられますが、それ以外では末梢神経障害も考えられます。末梢神経障害に至る原因はさまざまですが、ここでは糖尿病に伴う末梢神経障害について解説します。
詳細は糖尿病の項で記載しておりますが、糖尿病の合併症である神経障害から足の感覚異常をきたすと、むずむずした異常感覚として現れる場合があります。
この場合、受診すべきは糖尿病内科です。末梢神経障害に至っている場合、糖尿病の病状はかなり悪いことがほとんどですので、早急な治療が必要です。救急受診をするほどではありませんが、できるだけ早い日程で受診してください。

妊娠中に足がムズムズする症状で考えられる原因と対処法

妊娠中に足がむずむずする症状の場合も、レストレスレッグス症候群の可能性が考えられます。妊娠をきっかけに発症することがあり、出産後には大多数の方の症状は消失するのですが、しばらくして再発するという経過を辿るパターンもあります。
対応に関しては先述の通りです。症状が改善しない場合は脳神経内科や婦人科などで相談されることをお勧めします。

寝る時に足がムズムズする症状で考えられる原因と対処法

寝る時に足がムズムズする、という症状はむずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)の典型的な例です。睡眠のために床に入っても、脚を動かしたくなるためなかなか寝付けず、不眠を合併するケースが散見されます。寝付けないだけでなく、睡眠中も脚が動いてしまって途中で起きてしまう中途覚醒も起こり、総じて睡眠時間が確保できないパターンもあります。
不眠症に対して睡眠導入剤を処方されているという方で、背景にレストレスレッグス症候群があるという場合もあります。その場合はこの症候群を治療することで、不眠も改善する場合があります。
脳神経内科に加えて、睡眠外来を設けている病院を受診することもお勧めです。

常に足がムズムズする症状で考えられる原因と対処法

常に脚がムズムズする場合、多発性硬化症の可能性が考えられます。多発性硬化症の詳細は後述しますが、端的にいうと自己免疫によって神経線維の髄鞘という部分が障害される疾患です。
特徴的な症状として、

視界がぼやける、物が二重に見える

しびれ、痛み、熱感、冷感、あるいはむずむず感などの感覚障害

手足に力が入らない、手足がつっぱる、スムーズに動けない、呂律困難、飲み込みが難しいなどの運動障害

などさまざまな症状が見られます。
ご自身でできる対処法はないので、早めに専門医の診察を受けて早期に治療を開始することが重要です。専門科は脳神経内科です。緊急性はありませんが早めの日程で受診しましょう。

すぐに病院へ行くべき「足がムズムズする」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

足指の変色がある場合は、形成外科へ

脚がムズムズするという感覚に加えて、足の指が紫や黒色に変色している場合を指します。このような場合、糖尿病をお持ちの方はその進行によって組織が壊死している(腐っている)状態が考えられます。
このような場合は糖尿病コントロールに加えて、早急な外科治療が必要になるケースが多いです。すぐに病院を受診しましょう。

受診・予防の目安となる「足がムズムズする」症状のセルフチェック法

足がムズムズする以外に不眠症状がある場合

足がムズムズする以外に視覚異常がある場合

足がムズムズする以外にふらつき症状がある場合

「足がムズムズする」症状が特徴的な病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「足がムズムズする」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

不安脚症候群

不安脚症候群(ふあんきゃくしょうこうぐん)は、後述するレストレスレッグス症候群(Restless Legs Syndrome:RLS)の日本語での呼称です。むずむず脚症候群とも言います。どちらも同じ状態を指しています。
この症候群は、主に休息時に脚に生じる不快感や動かしたくなる衝動が特徴です。不快感はさまざまで、むずむずする、引っ張られる、ピリピリするなどと表現されることがあります。また、これらの症状は足を動かしたり、動き回ったりすることで一時的に緩和されることが一般的です。
症状の原因やメカニズムは完全には解明されていませんが、遺伝的要因、鉄分の不足、妊娠、一部の薬剤など(抗精神病薬、抗ヒスタミン薬、抗うつ薬)が関連していると考えられています。治療は、生活習慣の改善、鉄分の補給、薬物療法などによって行われます。
受診すべき診療科は脳神経内科です。また睡眠外来を行っている病院を受診することも効果的です。
緊急性はありませんので日中に受診しましょう。

糖尿病

糖尿病とは、血中に取り込まれた過剰な糖分のせいで全身の血管がダメージを受けてしまう病気です。その影響は、細く弱い血管から出現します。
足先の血管は心臓から遠いため血流が不足しやすく、そこに糖尿病も加わると簡単に血流が不足した状態(虚血状態)になります。
この糖尿病の重大な合併症として糖尿病足病変というものがあります。具体的にいうと、脚の組織が血流不足に陥り、神経組織も虚血によって機能が障害され、痺れや異常感覚、感覚の鈍さが出現します。
最も注意しないといけないのは痛みを感じなくなることで、靴擦れなどのちょっとした傷が悪化して、気づいた頃には足を切断しないといけない、という事態にもなりかねません。
まず受診すべきは糖尿病内科です。足に異常を感じる前から入念に足先は観察しておくようにしましょう。黒く変色している場合はすでにその部分は腐っていることが多く、早急な治療が必要です。できるだけ早く医療機関を受診してください。

多発性硬化症

多発性硬化症(Multiple Sclerosis:MS)は、中枢神経系に影響を与える自己免疫疾患です。この病気は脳、脊髄、視神経の神経線維の保護層である髄鞘を損傷します。その結果、神経伝達が妨げられ、さまざまな神経学的症状が引き起こされます。
特徴的な症状は、視覚障害、感覚障害、運動障害、平衡障害、失調、振戦(手足が震える)、排尿障害、性機能障害など多岐にわたります。
発症の原因は明確には判明していませんが、自己免疫が関与しているのではないかと考えられています。また遺伝的要因や環境因子(高緯度地域に発症が多い)、喫煙、EB ウイルス感染、ビタミンD不足、肥満などさまざまな要因が同定されています。
多発性硬化症の治療は、症状の管理、発作の抑制、病気の進行抑制に焦点を当てます。急性期の治療ではステロイドパルス療法(ステロイド大量点滴静注療法)や血液浄化療法が行われます。他には再発予防薬として、インターフェロンβ注射薬(ベタフェロン及びアボネックス)、フィンゴリモド(イムセラ又はジレニア)、ナタリズマブ(タイサブリ)、グラチラマー酢酸塩(コパキソン)などがあります。
受診すべき診療科は脳神経内科です。これまで解説したような症状が長期間続いたり、なかなか改善しない場合は、一度受診して相談してみましょう。

鉄欠乏性貧血

鉄欠乏性貧血は、体内の鉄分が不足することによって引き起こされる貧血の一種です。鉄は赤血球の主要な成分であるヘモグロビンの生成に必要なミネラルで、ヘモグロビンは体内の酸素運搬を担っています。鉄が不足すると、ヘモグロビンの生成が十分に行われず、酸素運搬能力が低下します。これが貧血の状態を引き起こします。
鉄欠乏性貧血の症状には、疲労感、息切れ、頭痛、めまい、冷え性、肌の色が青白くなる、などがあります。また、この貧血は先述のレストレスレッグス症候群(RLS)と関連があるとされています。
鉄欠乏性貧血そのものの症状から足がむずむずする、というよりはRLSを併発して同じ症状が生じることが多いです。
鉄欠乏性貧血の治療には、食事の改善や鉄剤の補給が含まれます。
ご自身でできる対策としては鉄分を多く含む食品(肉類、豆類、ほうれん草など)を積極的に摂取することです。また鉄剤の内服も効果的です。一般内科で構いませんので、病院で血液検査を受け、鉄欠乏が指摘された場合は、医師の指示のもと治療を行いましょう。

レストレスレッグス症候群

レストレスレッグス症候群(RLS)は、不快な感覚と運動の衝動が特徴的な神経系の疾患です。前述の通り日本語に訳したものが不安脚症候群になります。
この症候群の特徴は、上述の異常感覚と足を動かすと症状が軽減する点です。そのため、足をさすったり、歩き回ったり、脚をマッサージしたくなります。これが夕方~夜間にかけて出現することが多いため、しばしば不眠を伴うことがあります。
原因は完全には解明されていませんが、遺伝的要因、鉄分不足(鉄欠乏性貧血)、妊娠中、腎不全、糖尿病、高血圧症、狭心症・心筋梗塞、心房細動、脳卒中、リウマチ性疾患、肝臓病、過敏性腸症候群、炎症性腸疾患、パーキンソン病、片頭痛、うつ病、統合失調症、舌痛症などの関与も考えられています。
治療には、生活習慣の改善(適切な睡眠、適度な運動、カフェインやアルコールの摂取を控えるなど)、鉄分補給、薬物療法(ドーパミン製剤や抗けいれん薬など)があります。
症状が日常生活に影響を及ぼす場合は、病院で相談することが重要です。緊急性はありませんが、日常生活の質に影響してきますので、早めの日程で受診しましょう。

「足がムズムズする」症状の正しい対処法は?

これまでご紹介した疾患のうち、ご自身での対処法で効果が見込まれやすいのはレストレスレッグス症候群です。十分な睡眠と適度な運動習慣に加えて、鉄分を多く含んだ食事摂取を心がけましょう。また明確な関連は示されていないものの、カフェインやアルコールの摂取を控えることは予防法として推奨されています。
市販薬で症状を改善させるものや、ツボといったものは明らかになっていません。
上記の生活習慣を心がけるとともに、症状が続く場合は専門の医療機関で診断・治療を受けることが重要です。

「足がムズムズする」症状についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「足がムズムズする」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

足がムズムズしてじっとしていられない時はどうすれば良いですか?

小正 晃裕 医師

睡眠や運動、鉄分を多く含んだ食事摂取をなどを意識した生活を過ごしても症状が続く場合は、専門の医療機関で相談してください。

足がムズムズするときは何科に行けば良いですか?

小正 晃裕 医師

脳神経内科の受診をお勧めします。

まとめ足がムズムズする症状が気になる時は脳神経内科で相談!

今回は足がムズムズする症状に着目して解説いたしました。自己判断が難しいケースも多いので、少し生活習慣に気をつけても改善しないのであれば、早めに医師の診察を受けましょう。

「足がムズムズする」症状で考えられる病気

「足がムズムズする」から医師が考えられる病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

脳神経系の病気

レストレスレッグス症候群

多発性硬化症

内科系の病気

糖尿病鉄欠乏性貧血

足がムズムズする症状と関連する病気は上記が挙げられます。診断には専門医による診察が重要ですので、症状が続く場合は一度医療機関で相談してください。

「足がムズムズする」に似ている症状・関連する症状

「足がムズムズする」と関連している、似ている症状は2個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

寝ていると足を動かしたくなる

足が痺れる

「足がムズムズする」以外に上記の症状が見られる場合もむずむず脚症候群や多発性硬化症などの可能性が考えられます。症状が長引く場合は、一度病院を受診しましょう。

【参考文献】
・日本糖尿病学会糖尿病診療ガイドライン2019
・多発性硬化症・視神経脊髄炎スペクトラム障害診療ガイドライン 2023
・多発性硬化症サポートナビ