デメリットばかりじゃない! 敬遠されがちなマンションの「1階」物件、5つのメリットを不動産のプロが伝授
マンションやアパートといった集合住宅の賃貸物件では、高層階の人気が高い一方で、「1階」が敬遠されがちな傾向にあります。その理由として「防犯性やプライバシー性が低い」「眺望が悪い」といったことが挙げられることが多く、ネガティブなイメージが強いようですが、中には“1階ならでは”のメリットから、「あえて選ぶ」人も少なからずいるようです。
「1階の物件」が選択肢になるかもしれない、意外なメリットや魅力とはどのようなものなのでしょうか。不動産鑑定士・宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士の竹内英二さんに聞きました。
「専用庭」がある物件も存在
Q.そもそも、なぜ集合住宅の「1階」の物件は“不人気”“敬遠されがち”なのでしょうか。
竹内さん「1階は日照条件が悪く、日中、部屋に日が差し込む時間が短いです。特に、周辺に高い建物がある地域では、家の中が暗くなりやすいです。湿気も多く、押し入れの中の布団などに、すぐにカビが生えてしまうこともあります。
道路の歩行者から見られてしまう物件も多く、プライバシーを保ちにくい点も要因でしょう。留守か否かもすぐに判別されてしまいます。泥棒も侵入しやすいことから、セキュリティーが著しく低いといえます。
また、バルコニーのない物件が多く、洗濯物が外に干しにくいです。低層階は虫が飛行できる高さであるため、虫も侵入しやすいといえると思います」
Q.一方で、「1階」ならではのメリット、魅力も存在するのでしょうか。
竹内さん「1階ならではといえるメリットとしては、次の5点が挙げられます」
【家賃が安い】
1階は総じて人気がないことから、賃貸需要が弱いです。よって、家賃も低く設定されています。
【下階の足音を気にしなくて済む】
1階は下階に住戸がないため、足音を気にしなくて済みます。小さなお子さんがいる家庭は、下階に迷惑をかけてしまうことを気にして1階を選ぶケースもあります。
【地震時にすぐ逃げられる】
1階の物件は、地震が起きた際、すぐに外へ逃げられるというメリットがあります。マンションで居住中に大地震を経験した人の中には、1階を選ぶ人もいます。
【物件によっては専用庭がある】
物件によっては、1階住戸の人が独占的に使用できる専用庭がある物件も存在します。専用庭があれば、集合住宅であるにもかかわらず、庭のある生活を楽しむことができます。
【家に出入りしやすい】
1階は、階段やエレベーターを使わずにたどり着けるため、出入りがしやすいです。大きな荷物や重たい荷物も、家に出し入れしやすいといえます。
Q.1階の物件を「あえて選ぶ」際にチェックしておいた方がよいポイント、注意点とは。
竹内さん「『日照時間』と『湿気』の2点は確認しておきたいところです。1階の部屋は、午後3時ごろには暗くなっている可能性があるので、午後3時過ぎに物件を見に行くのがよいでしょう。また、風通しの悪い部屋があると、湿気によるカビが発生しやすいです。現地では、窓を開けると風が抜けるかなどを確認することをお勧めします」