MLB復帰を望むも“無風状態” バウアーの獲得にメジャー球団が前向きじゃない理由「負うべきリスクとは思えない」

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DeNAで圧巻の投球を披露したバウアー。しかし、米球界内での評価は手厳しい。(C)KentaHARADA/CoCoKARAnext

 メジャー復帰の想いは実るのか。新年早々、元サイ・ヤング賞投手の去就が話題となった。今オフにDeNAからフリーエージェントとなったトレバー・バウアーだ。

 いまだ実力に衰えは見えない。21年に私生活での知人女性への振る舞いがDV禁止規定違反と判断され、メジャーリーグ機構から324試合の長期の出場停止処分(その後、処分は194試合に短縮)を受けたバウアー。その厳重処分も影響し、23年シーズンはDeNAに電撃加入。19先発で2桁勝利(10勝)を記録し、防御率2.76、WHIP1.15、QS率78.95%と堂々たるスタッツをマークした。

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 シーズン終了後にDeNAとの単年契約が終了した32歳の怪腕は、「アメリカで野球をプレーすることが、今の目標だ」(米放送局『FOX News』の番組「America’s Newsroom」での本人談)と母国復帰を模索してきた。実際、彼の代理人は、X(旧ツイッター)などで、メジャー球団と話し合いを重ねていると公言。買い手探しに奔走している。

 ただ、本人も「僕は間違いを犯した。やるべきでなかったことをしていた」と認めるように、バウアーの規律の乱れに懸念を示す球団は少なくない。先述の処分を含め、いまだ米球界では「問題児」のレッテルを拭えていないのである。

 もちろん、ブレイク・スネルやジョーダン・モンゴメリー、今永昇太など今オフのFA市場で「人気銘柄」とされている選手の去就が定まっていない影響は多分にある。しかし、バウアーを取り巻く現状はやはり厳しい。

 米日刊紙『The Dallas Morning News』でRangers番を務めるエバン・グラント記者は、現地時間1月5日に米放送局『FOX News』の番組「America’s Newsroom」で「責任を負っている」と猛省したバウアーについて「以前とは明らかに口調も、態度も、異なっている」と指摘。そのうえで、「バウアーにはフィールドの内外でリスクが大きすぎる」と断じた。

 無論、20年にサイ・ヤング賞に輝いた実績はグラント記者も「費用対効果は高いだろう」と認めている。しかし、「かつて打ち込まれた際にマウンドからセンター方向のボールを投げ捨てたこともある男が、ヤング(レンジャーズGM)の標榜する『良いチームメイト』に当てはまるとは思えない」とし、こう続けている。

「昨シーズンにレンジャーズが、様々な問題を抱えていた(アロルディス・)チャップマンを獲得したことは周知の事実だ。だが、バウアー獲得で生じる潜在的な問題は、現実的な利益を上回るにはあまりにも大きすぎる。また、球団内部でバウアー獲得に関する噂も聞いたことはない。もしかしたら、いま、彼が行っている“謝罪活動”が、世論を変えるきっかけになるかもしれないが、少なくともワールドチャンピオンが負うべきリスクとは思えない」

 総じて厳しい論調が続いているバウアーのメジャー復帰。来月から始まる春季キャンプに向け、各球団の補強も大詰めを迎えるなか、日本で異彩を放った助っ人の去就はいかなる結末を見るだろうか。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]