「マイ・デーモン」より
 - Netflixシリーズ「マイ・デーモン」独占配信中

写真拡大

 現在Netflixで「マイ・デーモン」と「Sweet Home −俺と世界の絶望−」シーズン2の2本の作品が配信中のソン・ガン。全く違うタイプの作品だが、両作とも好調だ。2024年3月までには入隊することが決まっている彼の魅力をまとめてみた。(文・前田かおり)

 1994年生まれのソン・ガンは、『タイタニック』のレオナルド・ディカプリオに憧れて俳優の道を目指し、2017年のドラマ「カノジョは嘘を愛しすぎてる」でデビューを飾った。Netflixオリジナルシリーズ「恋するアプリ Love Alarm」(2019)では186cmの高身長に甘いマスク、モデル出身で海外留学から帰国した男子高校生という役どころを演じて注目を集め、シーズン2(2021)が作られる人気作に。同作を皮切りに以後、Netflixシリーズ作品で次々とヒットを連発し、“Netflixの息子”というニックネームでも呼ばれるようになる。

 ソン・ガンが凄いのは、作品ごとに全く違うジャンルやキャラクターに挑み、その度にポテンシャルの高さを見せてきていることだ。SFホラー「Sweet Home −俺と世界の絶望−」(2020)では天涯孤独になった男子高校生がサバイバルしていく役どころを熱演し、ヒューマンドラマの「ナビレラ−それでも蝶は舞う−」(2021)ではバレエダンサーに挑戦。かと思えば、「わかっていても」(2021)ではハン・ソヒ演じる女子学生ナビを惑わす男子学生ジェオンという天性の色男になり、「気象庁の人々:社内恋愛は予測不能 ?!」(2022)では一転して、パク・ミニョン演じる年上の上司に一途になる年下男子を可愛く演じた。

 若手トップスターの中でも、振れ幅の広さと演技力の高さで絶賛されるソン・ガン。爆発的な人気も誇り、現在、公式Instagramのフォロワー数は1,850万人を超え、名実ともに韓国を代表する俳優に成長している。そんな彼の主演作、2作品が配信とあって大きな注目を集めている。

 まず、2023年11月24日から 配信が始まった「マイ・デーモン」は完全無欠の悪魔と、財閥令嬢との契約結婚から始まるファンタジー・ラブコメディー。ソン・ガン演じるチョン・グウォンは生きることに絶望した人間を救う代わりに魂を取引することによって、永遠の命を得てきた。だが、財閥令嬢のト・ドヒと出会い、殺人鬼に襲われた彼女を救った際に悪魔としての力を失ってしまう。一方、財閥内には敵だらけで周囲の誰も信じることができない上に、謎の殺人鬼に命を狙われているドヒは自分のボディガードにならないかと取引を持ちかける。ドヒの手を握ると悪魔の力が戻ることに気づいたグウォンは彼女のボディガードに。一緒に過ごす時間が増える中で、ドヒの素顔を知ったグウォンは次第に惹かれ、彼女の命を守るために契約結婚することになる……。

 ソン・ガンの美形ぶりを、少女漫画の世界から飛び出してきたようなイケメン=“マンチンナム”とも呼ぶが、本作では韓服姿で登場するオープニングからゾクゾクするような悪魔を体現し、キメまくる。実は演じるために10kgほど減量、撮影時は64〜65kgの体重でグウォン役に臨んだそうだ。おかげでほっそりとした頬がさらにシャープに見え、色白、美肌の彼からは人間離れした凄みが感じられるほど。その一方で、ちらりと覗く胸筋といい、パキパキに割れた腹筋といい、甘いマスクとは対照的な筋肉美がたまらなくセクシーだ。

 共演しているのは、「雲が描いた月明り」(2016)「コンビニのセッピョル」(2020)などで知られるキム・ユジョン。子役出身で「太陽を抱く月」(2012)での可憐な姿が印象的だった彼女もすっかり大人。本作ではプライドが高い上に毒舌家の財閥令嬢ドヒを好演。勘違いで始まったグウォンとの初対面での会話劇からコメディエンヌぶりを発揮するユジョンの演技を、ソン・ガンはさらりと受ける。2人の相性も抜群だ。

 悪魔と悪魔のようなヒロインの恋愛模様の行方、しかも、演じるのが美男美女カップルだけに見ているだけで目の保養にもなる。とくに、契約結婚してからのシーンはラブコメ好きにはたまらないほどロマンチック。甘いキスシーンは凄すぎて、思わず言葉を失ってしまう……。ソン・ガンのファンはもちろんだが、そうじゃない人にもぜひ勧めたい、必見のキスシーン! もっとも、物語はロマンスだけでなく、ドヒを執拗に狙う殺人鬼や財閥内の複雑な人間模様などサスペンス要素も満載、またドウォン自身にも悪魔としての危機も迫り、最後まで飽きさせない。脚本は現代の俺様シェフが朝鮮時代の王后に憑依するという奇想天外な時代劇ラブコメ「哲仁王后(チョルインワンフ) 〜俺がクイーン!?〜」で共同脚本を手掛けたチェ・アイルだけに、期待も上がる。

 そして、もう一本、「Sweet Home −俺と世界の絶望−」は人気ウェブコミックを原作にしたSFホラー。ある日突然、残忍な怪物に姿を変えた人間たちに、“グリーンホーム”という古びたマンションに暮らす住人たちが生き残りをかけて立ち向かっていくという物語で、ソン・ガンは闘いに巻き込まれる高校生ヒョンスに。自らも感染してしまうが、怪物化せずに超人的な力で仲間たちに頼られる存在に成長していく。

 12月1日から配信されたシーズン2は舞台はグリーンホームから外の世界へ。住民たちは軍によって安全キャンプに移送されるが、そこには新たな怪物や怪しげな人間たちも出現、より苛烈で凄まじい闘いが繰り広げられる。一方、ヒョンスは、ワクチンの研究を進めているパムソム特殊災難基地へと連れて行かれ、自分は人間か怪物かと悩み、葛藤することになる。

 キャラクターも増え、闘いも格段にパワーアップ。「マイ・デーモン」のラブストーリー仕様の美しいソン・ガンとは違って、全身血まみれ泥まみれ。シーズン1ではまだ華奢だったが、今シーズンは激しいアクションをこなすために、体重を増やし、マッチョな身体でハードなアクションをこなしている。ソン・ガンにとってはこのシーズン2が兵役前の最後の作品。ただし、今夏配信予定のシーズン3にもしっかり出演している。

 両極な2作品で視聴者を魅了するソン・ガン。この冬は“ソン・ガン祭り”と銘打って彼の魅力に浸ってみてはいかがだろうか。