井上尚弥戦は日本開催? ネリの代理人が山中慎介戦の“過ち”に言及「彼の責任でもあるが、ペナルティーは行き過ぎだった」

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井上との対戦を熱望するネリ。しかし、決戦の実現には懸念材料も……。(C) (C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext、(C)Getty Images

 日本が生んだ“怪物”との決戦を叶えられるか。WBCで指名挑戦権を持つ元世界2階級制覇王者のルイス・ネリ(メキシコ)に熱視線が注がれている。

 実力はたしかに証明してきた。昨年2月にアザト・ホバニシャン(アルメニア)を、7月にフローイラン・サルダール(フィリピン)をそれぞれTKOで撃破したネリは、大一番への準備を着々と進めてきた。

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 周知の通り、井上尚弥は昨年12月26日に行われたタパレスとの同級4団体統一12回戦で圧勝。昨年11月のWBC年次総会で指名挑戦者となったネリにとっては、倒さなくてならない相手と言える。

 一部報道では、5月に東京ドームでの開催が予定されているとも報じられているが、いまだ交渉の行方は不透明なままとなっている。そうしたなかで、ネリ陣営は「打倒・怪物」に焦点を絞っている。メキシコ紙『La Jornada』の取材に応じた代理人のギジェルモ・ブリトー氏は「詳細が決まっていないだけで、交渉はすでにかなり進んでいる」と断言。「誰もイノウエへの賛辞を惜しまないし、それに値するだと思うが、これは向こうにとっても絶好の機会だ。なぜなら、これまでイノウエは注目されていなかったからだ」と豪語する。

 もっとも、対戦合意に向けては小さくない問題もある。それはネリが過去に犯した蛮行に対する懸念だ。

 ネリは2017年と18年にWBC世界バンタム級タイトルマッチで山中慎介氏と2度対戦した際に、ドーピング違反と体重超過が判明。日本ボクシングコミッション(JBC)から日本国内における活動停止処分が下され、事実上の永久追放となっている。

 ただ、条件付きで処分が解除される方針が認められれば、日本開催が実現する可能性もある。交渉役を担っているブリトー氏は、「この試合は非常に大きな期待を集めている。だから、彼らは制裁を解除して、イノウエとネリを戦えるようにするだろう」と強調している。

「たしかにあの問題は彼の責任でもあるが、ペナルティーは行き過ぎだった。今は高いレベルの試合ができているから、アジアで再びチャレンジができるように処分は解除されると思う」

 さらに「イノウエはノニト・ドネアというエリート・ファイターとしか対戦していないが、他のファイターは、いずれも彼(井上)のクオリティーをはるかに下回っている」と語るブリトー氏は「ネリとの対戦は全く違うものになる」と断じた。

「ネリは素晴らしいキャリアを築いてきたし、同じ階級のベストな選手たちと幾度も戦ってきた。パンテーラ(ネリの愛称)はやる気満々だよ。彼はすでに『イノウエが倒れるか、俺が倒して先にリングを去るか』だと言っている」

 挑発気味に対戦に向けた機運を高めているネリ陣営。果たして、彼らは念願だったという井上とのマッチアップを果たせるだろうか。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]