米放送局が井上尚弥のフェザー級転向を大胆予測! 24年のさらなる進化を展望「Sバンタム級には魅力的な選択肢がない」
タパレスを圧倒し、あっという間にスーパーバンタム級の全ベルトを手にした井上。その規格外の強さには、反響が相次いでいる。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext
これ以上にない形で23年を締めくくった。昨年12月26日に行われたボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一戦12回戦で、WBA&IBF王者マーロン・タパレス(フィリピン)に10回1分2秒KO勝ちを収めたWBC&WBO王者・井上尚弥(大橋)だ。
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下馬評通りに“怪物”は「フィリピンの悪夢」(タパレスの愛称)を払拭した。4回に猛ラッシュでダウンを奪った井上は、10回に粘るタパレスに対し、見事なワンツーの流れから強烈な右ストレートを炸裂。この強打をガードの上から浴びたフィリピン人王者は膝から崩れ落ち、10カウントが鳴った。
史上2人目となる2階級での4団体統一を成し遂げた井上は、自身への世界的な声価を高めた。試合後に各国メディアが下したパウンド・フォー・パウンドでも、彼の名は当たり前のように上位2位以内に食い込んでいる。
そんなワールドクラスのタレントとしての矜持を発揮する30歳の日本人には、24年もさらなる飛躍が期待される。米スポーツ専門局『CBS Sports』は、今年のボクシング界の動きを予想する特集記事内で「ナオヤ・イノウエはフェザー級を制覇する」と断言。世界5階級制覇王者となるという大胆な展望を記している。
もっとも、当の井上はタパレス戦後に「来年、再来年とまたこの階級でもっと強い姿を見せられるように精進していきたい」と明言。当面の間は「適正階級だと思っている」というスーパーバンタム級での活動に重きを置く意向を示している。しかし、同局は「スーパーバンタム級で文句なしの成績を残したイノウエが、どこまで成功を収められるかというクエスチョンを抱くのは当然だ」と指摘。1つ上のフェザー級挑戦の可能性を論じた。
「いまやイノウエには、ライト級王者ガーボンダ・デービスを対峙させるべきという荒唐無稽なアイデアまで飛び出している。108ポンドでキャリアをスタートさせたイノウエにとって、135ポンドに挑戦するのはあまりにもハードルが高すぎる。しかし、フェザー級に転向する可能性がないわけではない。ルイス・ネリやムロジョン・アフマダリエフとの対戦で血が騒がない限り、彼にとってスーパーバンタム級には魅力的な選択肢がない」
さらに同局は「イノウエがフェザー級でタイトルを獲るということ以上に、エキサイティングなマッチメークはあるだろうか?」とも指摘。そのうえで「彼はフェザー級には進めるはずだ」と年内での転級を推奨した。
以前から「階級を上げるのは慎重にならないといけない」と階級上げに冷静な姿勢を見せてきた本人が明言する通り、24年はスーパーバンタム級での戦いが濃厚視される。そうした状況下でもフェザー級転向が推されるのは、井上の圧倒的強さを物語っているとも言えよう。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]