日本だったらあり得ない!? 世界遺産・アマルフィの「おっぱい噴水」ってなんだ?
この噴水、女性のお乳から水が勢いよく流れ出ております。イタリアはナポリからほど近い世界遺産の町・アマルフィにある「聖アンドレアの泉」(フォンターナ・サンタンドレア)での光景です。通称は「おっぱい噴水」。そのものずばりの言い方ですが、世界にはいろんなものが存在するのですね。そんな不思議を訪ねてのイタリア旅からのレポートです。
世界遺産の町「アマルフィ」のど真ん中に鎮座する「おっぱい噴水」
いまでは、AIがなんでもつくってくれる世の中ですが、この「おっぱい噴水」は決してAI画像でもなければ、フェイク画像でもありません。別の角度からの写真もしっかり撮ってきました。もちろん動画もございます。
どうでしょう? 右から見ても、左から見ても、お乳から水があふれ出ております。実在することがおわかりいただけたかと思いますが、これ、いまの日本にあったならば、「セクハラ!」「性差別!」と、かなりな問題になっているのではないでしょうか。
しかし、ここはイタリア。なんと、260年ほど前からこの地(この乳ではなく……)に存在していたのです。
アマルフィは南イタリア屈指の人気観光地で、ティレニア海に突き出たソレント半島に位置します。リゾート地としても超人気で、その美しい海岸線はユネスコの世界文化遺産にも登録されています。
アマルフィの町は古代から海洋貿易で栄え、10世紀から14世紀にかけて建てられた大聖堂は、「聖人アンドレアの複合記念建造物」として、現在ではアマルフィ観光の中心的なスポットとなっています。はい、大階段があることでも有名なところです。
そんなアマルフィのど真ん中に、このおっぱい噴水はあるのです。いいえ、いいえ、ど真ん中どころか、アマルフィ大聖堂の目の前の広場に堂々と存在しているのです。
噴水はいくつかの大理石彫刻(たぶん……)で成り立ち、中央に立っている方こそが、聖人アンドレアさま。イエス・キリストの12人の使徒のひとりとされ、アマルフィの町の守護聖人。漁師や船乗りの守り神とされてきた存在だということです。
それほどのお方の足元にある泉こそが「聖アンドレアの泉」であり、地元の伝承によれば18世紀後半、1760年頃につくられたものとのことでした。
つまり、「おっぱい噴水」はじつに260年以上もの間、この地でお乳から水を泉に注いでいたのです。もはやあっぱれ!エロとは無縁の歴史的アートといえるのではないでしょうか。
ちなみに、この噴水からの水、なんと飲めるそうです。オイラが見ているときにも、お乳以外のところから出ている水を飲んでいらっしゃる方もいました。ただし、「お乳に口をつけて飲む方」は残念ながら現れませんでした。
「おっぱい噴水」は、アマルフィ以外にも!
余談ですが、こんな「おっぱい噴水」は、イタリアではアマルフィ以外にもあるそうです。水の都として知られるヴェネツィアのさらに北にあるヴェネト州の都市・トレヴィーゾ。かの地にも「おっぱい噴水」はあるらしく、その動画がYoutubeにもアップされていました。
動画の撮影者である「かぶりvlog / kaburi 旅動画」の管理者さまの了解を得ましたので、以下に動画を紹介させていただきます。
最後になりましたが、この記事を書いているジジイは、あの「食い意地のはったジジイ」でございます。2022年に四季折々の手づくりつまみを「週末手しごと 酒肴二十四節気」として連載させていただいておりました。いや、お懐かしい。アーカイブもまだ残っておりますので、よろしければ見てやってください。
週末手しごと 酒肴二十四節気
https://otonano-shumatsu.com/articles/series/shumatsuteshigoto
そんなジジイがなぜ、イタリアのことを書いたのか。はい。イタリアへ行ってきたのです。では、白菜漬けや、イカゲソを天ぷらにしていたジジイが、なぜイタリアなのか……理由はひとつです。ジジイは、じつは数年前からイタリア語を習っていたからです。
2018年、妻とともにヴェネツィア、フィレンツェ、ローマを旅行したのですが、「もう一度行ってみたい」との思いから、その願かけ的にイタリア文化会館(東京・千鳥ヶ淵)での週1レッスンに通い始めたのです。
ご承知のように、その後は新型コロナ禍もあり、海外旅行は封印となりましたが、コロナ禍の3年を経たわが身は堂々のジジイとなっていました。そこでジジイは、はたと気づいたのです。「オイラの健康寿命の消費期限も、そう長くはないだろうな……」と。
そんなことから、足腰の自由が効くうちに海外旅行を解禁し、2023年11月のイタリア旅となった次第です。
やはり、旅はいいですね。旅をすれば、日本ではありえないことや、予想もつかなかったことに出くわします。「おっぱい噴水」もそのひとつですが、ベルギーには「小便少女の像」もあるそうです。依然、戦争や紛争の絶えない世界の平和を願いつつ、これからも旅に出ようと思っております。
文と写真/沢田 浩