金属バット・友保がM-1を見て号泣した名シーン…和牛、錦鯉、ランジャタイ、ザ・パンチ、人生を狂わせるM-1グランプリの魔力とは

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人類みな兄弟、お笑いみなファミリー。「ただ子どもの笑顔が見たい」という金属バットと競技化が進む昨今のM-1グランプリ。残念ながらその両者が交わることはなく、2人の歴史は終わった。M-1に人生ごと歯車が狂わされる数々の芸人たちを彼らはどんな眼差しで見つめてきたのだろうか。そして、ラストに衝撃の決定がなされた。

3年連続M-1準優勝の和牛が解散

――ラストイヤーが終わって、少しM-1を客観的に見られるようになりましたか。

友保隼平(以下、友保) もう関係ないですからね。同期・後輩が出てたら頑張れぐらいで、はい。

――後輩からアドバイスを求められたりするんですか?

友保 たまにあります。

――(笑)

友保 何で笑ったんすか?? ありまっしゃろそりゃ!! セミファイナリストやぞ!!ベスト32ぐらいまで残ったんすよ!!

――そういうとき、お二人はどうやって答えるんですか?

友保 「ガツンとぶつかれ」。

――(笑)

友保 ベラベラしゃべったらなんも考えてないのバレるんで(笑)。そんなん聞くなっていうね、まずは。

――この流れでお伺いするのもどうかと思うのですが、和牛の解散について、お聞きしてもよろしいですか。

友保 あら、センシティブ。えらいこっちゃで。

小林圭輔(以下、小林) まじでそんなにかかわりなくて、挨拶ぐらいしか。

友保 ねえ、もったいない。まあ、嫌やったんでしょうね。もう億ぐらい稼いではるよ。無茶苦茶稼いでて、そんな嫌やってんな。そんな金もらえるなら別にええけどな。へらへらしてな。だって10分しゃべるだけでめっちゃ金もらえんのやろ。全然いいよな。

小林 うーん。

――和牛解散関連で、なぜかかつてM-1決勝で上沼恵美子さんが和牛を叱ったシーンが掘り返されていましたね。「上沼恵美子は和牛解散を予見していた」的な。

友保 そんなわけないやろ(笑)。さすがの上沼さんもそこまで見抜いてなかったよ。芸を見てちょっとよくないんじゃないって言っただけでね。

小林 本人も憶えてないで、たぶん(笑)。

友保 エスパーやん(笑)。

――からし蓮根がきょとんとしてましたね。

友保 「えみちゃんねる決定!」言われてね。でも、あっこからからし蓮根ちょっと不調ですね(笑)。ラップめちゃくちゃうまいですけどね。(ラッパー・)FORKと戦ってましたね。

M-1の煽りPVはイジったらあかん

――解散の原因は神のみぞ知るですが、M-1ってそれくらい人生を狂わせるものでもあるんだなと。

友保 マジでそうすね。錦鯉さんなんかいいほうに狂いましたもんね、ランジャ(タイ)もそうやし。ザ・パンチさんなんか悪いほうに狂ったもんな。M-1でネタした後、そっから 1 年マジで記憶ないらしいんですよ。なんも憶えてないっていう、ショックすぎて。

――審査員からも結構なこと言われてましたもんね。

友保 1回あったんが、田舎のほうのおばあちゃんから吉本に電話かかってきたと。「ザ・パンチっていう芸人いてるでしょ。あんたのとこのネタでね、『死んで~』って言うでしょう。うちの孫がね私に向かってそれ言うようになったんですよ」って。いや、それはおばあが悪いやろ。

小林 おばあか、おばあの子どもが悪いな(笑)。

――でも、M-1にはそれくらいの影響力がある。

友保 今ちょっとありすぎてアホみたいになってると思いますけどね。ちょっとダサくなってきましたね。あんななんかねえ、神格化したらバカみたいですけどね。4分嘘ついて帰るだけやねんから。だってみんな泣いたりしてるでしょ。
わしらが泣くんやったらギリ許せるんすけど、周りのお姉ちゃんとかが「よかった~」とか言って泣いて、アホかおまえ。なにをそんなお笑いに熱くなってんだよ。全員ゴミやねんから芸人なんか。

小林 あのかっこいい、毎年出てるPVみたいのあるよな。

友保 あれはね、まだイジったらあかん。泳がしとかなあかんねん。あれを狙っていいこと言うバカが出てくるから。それをどっかでイジんのよ。

――たしかに。あれがダサいという風潮が広まるとみなさん自重してしまいます。

友保 コットンの西村の「あーーー芸人やっててよかったーー!」ダサっていう(笑)。

小林 きっしょいあれ(笑)

――「クイックジャパン」の芸人インタビューとかもイジらないでほしいです。

友保 そうそう、みんなで大事にね、イジらんようにしないと。アホがね、大きい声で言うんですよ。「あれカッコつけてるやろ!」とか。シーシーシ、内緒内緒。おいとけおいとけ。里(大自然・ロジャー)の憶えてます? 「お笑いっていう仕事、なんていいんでしょう。そしてなんて残酷な仕事なのでしょう」みたいな。ロジャー狙いにきたやん(笑)。あれはよかったですね。

――声いいですからね。

友保 でも、ななまがりの森下さんが、ルミネに神棚があるんですけど、あっこで拝んでるとこ撮られてて、あれも「ちょっと残しにきたんかな?」思たんですけど、どうやら森下さんは全劇場であれをやるんですよ、普段から。大宮でもなんでも拝まはる。だからあれはイジるとことかではない。

金属バットの連載決定!

――あとPVのクライマックスで印象的な「俺たちが一番おもしろい」のシーンで誰が映るのか。

友保 あれなんであんな盛り上がってんでしょうね。ただ俺らも袖で見てたんすよ。敗者復活出たんで。そんとき「俺たちが一番おもしろい!」のときに、なんか知らんけどわしも「おおお、あいつか」ってなったけどな。

小林 1回フェイントかけてきたやん、スタッフ側もそれ盛り上がってんのわかってるから。オズワルド伊藤のふりして最後に(ゆにばーす)川瀬名人持ってきたとき、えらい盛り上がってた。

友保 あれちょっとしけたな(笑)。あとコロナ禍のときのM-1のPVで芸人がみんなマスク取るシーンいっぱい集めてるやつ。あれいらんかったな。

小林 マスクおもろかったな(笑)。

――感動に持っていきたい。

友保 あれ、見ました? ミルクボーイさんが優勝した時のアナザーストーリー。駒場さんの家行って奥さんがケロッグとモナカなんか置いてて、駒場さんのお母さんに電話してわーって泣いて。ねえ、なんやこれ思って、俺泣いてましたわ。

――(笑)。BGMは吉田拓郎の『流星』でした。

友保 悔しい。(マヂカルラブリー)野田さんのもよかったですね。お母さんに電話して 「ねえ、あんた家出る言うてね、死ぬんか思たわ」みたいな。あと錦鯉さんの北海道の実家帰るやつ。雅紀さんが最後お母さんのおにぎり食って、むっちゃ糸引いてた。
おにぎり腐ってるやん思たら納豆のおにぎりっていう。雅紀さんがボロボロ泣きながら糸引いてて(笑)。見たことない外国映画やったで(笑)。どこの国の映画やねん。あれは笑ってもうたな。

――あれを金属バットがやっていたら…。

友保 ちょっと俺ね、1個用意してたんすよ。今、大阪の西成に家あるんですけど、そこの向いに公園があるんですよ。そこにあのキャンプの用意だけしといて、後輩のしげみっていうやつにライフル持たしてね、俺ここ住んでるんすよっていう(笑)。スナフキンぶったろ思て。用意してたんですけどね。全然勝てなかった。

――アナザーストーリーは曲で泣かせにきますけど、それどんな音楽かければいいですかね。

友保 ムーミンのテーマっすわ。

――M-1決勝の舞台で金属バットを見ることは叶わなかったですけど、集英社オンラインで金属バットを見続けることは叶わないでしょうか?

友保 へ??

――いや、だから集英社オンラインで二人の連載を始めましょうって。2024年1月1日から。

小林 どんな連載ですか?

――まず連載1回目はそれから決めましょう。

二人 どないやねん!

取材・文/西澤千央 撮影/Peta Photo Studio