2023年11月末のある日のお昼休み、Jタウンネット記者はコンビニでこんな商品を見つけて、思わず二度見してしまった。

見覚えのある色味や写真。「甘栗むいちゃいました」かと思いきや、なんか違う。

甘栗「25年前あなたにむかれてよかった」(光とともに空へ消えゆく甘栗)

である。

ど、どういうこと? 甘栗どうしちゃいました? あと第23話ってナニ? 意味不明なパッケージに戸惑いが止まらない。

困惑した記者はそのまま、謎の『甘栗「25年前あなたにむかれてよかった」(光とともに空へ消えゆく甘栗)』を購入。頭に「?」を浮かべたまま帰社し、席についた。

デスクに置いて改めて眺めてみても、それはやはり『甘栗「25年前あなたにむかれてよかった」(光とともに空へ消えゆく甘栗)』。

とりあえず、裏返してみると......。

甘栗はなぜ、光とともに空へ消えたのか

裏面に書かれていた説明によると、「甘栗むいちゃいました」は25周年を記念し、全24話のドラマ「もう甘栗むきたくありません」をパッケージ上で展開しているらしい。その内容は、

「25年、栗をむき続けた男とむかれ続けた栗が本音でぶつかり合う、胸熱ドラマ」

というもの。『甘栗「25年前あなたにむかれてよかった」(光とともに空へ消えゆく甘栗)』は最終回直前だったというわけだ。

未だによくわからないが、Xで検索をかけてみると、25周年限定パッケージの「甘栗むいちゃいました」に遭遇した人からはこんな声が上がっていた。

「甘栗むいちゃいました。のパッケージが攻めてて好き」
「甘栗むいちゃいましたの25周年記念パッケージおもろすぎるやろwwユーモアに溢れてる」
「甘栗むいちゃいましたの限定パッケージが程よく狂ってて好き」
「甘栗むいちゃいました。この間お店でパッケージ見て大笑いしたw」

......好評のようだ。

果たして甘栗は、光とともに空へ消えゆく前、どんなドラマを繰り広げてきたのか。そして、どんな結末を迎えるのか。特設サイトにアクセスして、甘栗の歩んできた道のりを辿ってみた。

基本的に、全部おかしかった。1話は「もう甘栗むきたくありません」で、もう甘栗をむき疲れちゃってるところから始まる。そして、「甘栗作るの大変なんだもん」「どうせ甘栗むいてるだけだと思ってんでしょ」「でももう甘栗むくのあきちゃった」など、おいしい「甘栗むいちゃいました」ができるまでの苦労と、"栗をむき続けた男"(以下、栗むき男)の誇り、それでも蓄積されてきた疲労が語られていく。

急展開を迎えるのは、第13話。それまで栗むき男の一人語りだったパッケージに、別の人格が登場する。

甘栗「甘ったれてんじゃないわよ!」

甘栗がしゃべり出すのだ。そこからは、驚く栗むき男、栗むき男に初心を思い出させる甘栗、ウジウジする栗むき男、励ます甘栗。そんな2人(?)のやり取りが会話形式で続き、物語はクライマックスへ。

栗むき男は自信とやる気を取り戻し、甘栗は光とともに空へ消えゆく。そして迎える感動の最終話。

甘栗むいちゃいました〜これからもずっと〜

いや、うっかり感動している場合ではない。「甘栗むいちゃいました」は、25周年記念でどうしてこんなぶっ飛んじゃったのか。

Jタウンネット記者がクラシエ(本社:東京都港区)に取材を申し込むと、クラシエ本社で甘栗担当者が会ってくれるという。というわけで2023年12月7日、行ってきた。

甘栗は「結婚しちゃった」ことも、「旅に出ちゃった」こともある

沢山の「甘栗むいちゃいました」と共に記者を待っていたのは、クラシエ フーズカンパニー マーケティング室の柿本麻理さん。

「甘栗むいちゃいました」を担当して7年目だという彼女によると、実はユニークすぎるパッケージの企画は、今回が初めてではない。5年前の20周年の際にも「結婚しちゃいました」「成長しちゃいました」「お世話になっちゃいました」など、全20種類の「〇〇しちゃいました」パッケージを展開している。

「『甘栗むいちゃいました』の強みは、オリジナリティのあるネーミングとデザインだと考えています。そこで、そんなパッケージを活用して、お客様に楽しんでいただけるような企画を、と思い実施しました」(柿本さん)

20周年企画は、SNS上をはじめ話題となり、「面白い」「コレクションしたい」という声も多数寄せられ、一度に複数個購入する消費者もいた。また、課題となっていた若年層への訴求にもつながったという。

この成功を受け、25周年でもパッケージを使った企画を実施。2023年8月に発売し、全24話コンプリート版やクリアファイルが当たるキャンペーンも行った。

今回も好評で「全種類揃えた」「お気に入りの"話"を集めている」といった報告もあるそう。キャンペーンに至っては11月に2回目も行われた。

店によっては徐々に商品の入れ替わりが行われているものの、25周年限定パッケージは年内いっぱい流通している可能性があるとのこと。おかしなパッケージをゲットしたい人は、店頭で探してみて!