アイリスオーヤマの家電といえばコスパが良いという印象がありますが、もうひとつの特徴が、ほかにはない「なるほど」機能の搭載です。直近では「低温調理器 ポケットシェフ」を発売。これは低温調理器なのに水が必要ないという画期的な製品。とはいえ、本当に水なしでも美味しい低温調理は可能なのでしょうか? そこで、アイリスオーヤマを訪問し、ポケットシェフを含めた「なるほど調理家電」3製品をチェックしてきました。

↑今回アイリスオーヤマにて試した3製品。左から低温調理器 ポケットシェフ PLTC-M01、IHジャー炊飯器 5.5合 RC-IGA50、ヨーグルトメーカー IYM-016

 

サラダチキンは驚くほどジューシー! 水を使わない低温調理器

↑10月4日に発売したポケットシェフ PLTC-M01。本体サイズは幅23×奥行24×高さ1cm、操作部は幅9×奥行6×高さ3.8cm。実売価格は9790円(税込)です

 

まずは低温調理器 ポケットシェフ PLTC-M01を使ってみます。低温調理器はその名の通り、沸騰しないくらいの低い温度で長時間食材を加熱する調理方法のこと。低温でじっくり火を通すことで、肉などはボイルするよりも格段に柔らかくジューシーに仕上がります。ただし、多くの低温調理器は水を張った鍋などに耐熱袋に入れた食材をいれる「湯せん」方式。このため、大きめの鍋が必要だったり、調理後に鍋を洗う必要があるなど少々手間がかかりました。ポケットシェフはこの手間を解消するため、水なしで調理ができるのが特徴です。

↑左がアイリスオーヤマの従来からあるスリム低温調理器 LTC-02。水を張った鍋などにいれると、設定温度に水を温めるというシンプルな仕組みでした。右は新発売のポケットシェフ

 

一般的な低温調理器が水を使う理由は、食材に均一に熱を伝えるため。その点を踏まえてポケットシェフは、本体にソフトバッグを採用。柔らかくしなる高密度ヒーターを採用することで、ヒーターがしっかりと食材に密着する仕組みです。

↑ポケット内部。模様のように見えるのが柔らかなフィルムヒーター。温度は5℃刻みで40〜80℃まで設定できます

 

今回は、低温調理の定番ともいえるサラダチキンを作ります。手順は簡単。密封袋に鶏胸肉と調味料(塩・レモン・砂糖・鶏ガラスープの素)を入れて揉み、袋から空気を抜いてポケットシェフに入れるだけです。「袋からできるだけ空気を抜く」「3cm以上の厚みの食材は入れない」といった注意点はありますが、準備はかなり手軽です。

↑調味料と肉を袋に入れて、ポケットシェフに投入。あとはジッパーを閉めれば準備OK。300gくらいまでの鶏胸肉が調理できます。コンビニに売っている一般的なサラダチキンの2倍くらいのサイズです

 

↑操作部で温度と加熱時間を設定します。レシピによると、サラダチキンは80℃で120分。あとはできあがるまで待つだけ

 

できあがったサラダチキンは驚くほどジューシー! 上から押さえるとジュワッと肉汁が出てくるほど。うれしいのが、自分で味を調整できることです。コンビニのサラダチキンは味が濃すぎる、あるいは味に飽きたという場合も、自宅で作れば自由に調整可能。味もカレー粉を使ったり、ラー油やニンニクを入れて中華風にしたりとアレンジし放題です。もちろん、サラダチキン以外にもローストビーフやチャーシュー、あるいは魚のコンフィ(低温の油で加熱する料理)なども作れます。

↑完成したサラダチキン。カットすると中心まで火が通っているのがわかります

 

パスタは少々柔らかいが…多彩な料理が調理できるIH式炊飯器

↑IHジャー炊飯器 5.5合 RC-IGA50。シンプルな形状とマットな質感という、まさに今トレンドのデザイン。本体サイズは幅25.7×奥行30.9×高さ21.4cmで、実売価格は1万8480円(税込)。左の2モデルはWEB販売限定カラー

 

アイリスオーヤマはさまざまな調理家電を発売していますが、炊飯器は特に人気のあるジャンルです。そんな人気の炊飯器のなかでも、今年8月に発売したIHジャー炊飯器 5.5合 RC-IGA50は「自動調理モード」を搭載。パンやケーキ、パスタまで自動調理できるといいます。パンやケーキを調理できる炊飯器は(数は少ないながら)他社にもありますが、パスタが作れる炊飯器というのはかなり珍しいのではないでしょうか?

↑もちろんごはんの炊飯も美味しくできます。ご飯は4通りの食感(ふつう/もっちり/ふんわり/粒立ち)が選べるほか、50銘柄の炊き分け機能も搭載。アイリスオーヤマらしい炊飯に対するこだわりを感じます

 

今回は、気になるパスタ調理を試しました。作るのは自動調理モードのカルボナーラ。作り方はシンプルで、半分に割ったパスタにベーコンを散らし、水とコンソメ(顆粒)、オリーブオイルを投入するだけ。終了後に追加で味付けは必要ですが、鍋やフライパンでカルボナーラを作るよりかなり手軽です。ちなみに、パスタ自動調理メニューではカルボナーラだけではなくナポリタンや和風スパゲティも作れます。

↑調理終了後、生クリームに卵、チーズ、塩胡椒で味を調えたら完成。調味も炊飯器内でできるので、洗い物が少ないのもいいですね

 

試食してみると、パスタがかなり柔らかめ。「パスタは芯のあるアルデンテがいい」という人には向かないと思います。反面、柔らかいパスタを使うナポリタンのようなメニューや、小さな子どもがいる家庭には向いているでしょう。正直、パスタ料理を目当てに購入するのは個人的にオススメできませんが、RC-IGA50はカレーや角煮、ロールキャベツなどの自動メニューもあり、マニュアルで40〜75℃の低温調理や95℃の煮込み調理もできます。「普段は美味しいごはんを炊飯しつつ、多彩なおかず調理もできる」という炊飯器として優秀であることは間違いありません。

↑完成したカルボナーラ。パスタが柔らかいのをのぞけば美味でした

 

初めて「おかわりしたい!」と思った! 豆乳ヨーグルトも作れるヨーグルトメーカー

↑ヨーグルトメーカー IYM-016。本体サイズは幅15.6×奥行15.8×高さ27.6cmで、実売価格は5980円(税込)。紙パックで直接作らない場合に使う専用容器や、水切りヨーグルトを作るための水切りカップなどが付属します

 

アイリスオーヤマの隠れた人気家電のひとつがヨーグルトメーカー。同社のヨーグルトメーカーは牛乳パックを使ってそのままヨーグルトが作れるのが魅力。洗い物が少なくて済むうえ、衛生的です。今年発売された新製品ヨーグルトメーカー IYM-016は、人気のヨーグルトメーカーに「豆乳ヨーグルト」用の自動メニューを搭載。しかも、豆乳の紙パックでもそのままヨーグルトが作れるようになりました。

 

牛乳パックをそのままセットできるヨーグルトメーカーは他社からも発売されています。一方、豆乳は紙パックが横長形状なので専用容器に移し替える必要がありました。その点、新製品は一般的な豆乳パックにも対応しています。また、豆乳ヨーグルトは牛乳で作るよりも低い温度で発酵させるのですが、豆乳ヨーグルト用の専用メニューがあるのも魅力的。

 

ちなみに、このヨーグルトメーカーはマニュアル操作で25〜65℃まで1℃刻みで加熱温度を設定可能。このため、ローストビーフやサラダチキンなども作れます。

↑筆者はいままで、豆乳ヨーグルトの独特な香りがそこまで好きではなかったのですが、今回試食したものは人生で初めて「おかわりしたい!」と感じるほど美味しかったです

 

以上、アイリスオーヤマから発売された、ひとひねりある調理家電のファーストインプレッションでした。炊飯器はパスタの柔らかさこそ好みが分かれそうですが、おかずの調理機能が豊富な炊飯器と考えれば、どの家庭にとっても魅力的な調理家電として活躍しそう。低温調理機やヨーグルトメーカーは「サラダチキンが好き」「ヨーグルトを毎日食べる」など、ライフスタイルに合う人にとっては強力な味方になってくれそうです。