東京都の約2倍の大きさで、37年間にわたって南極の海底に接地していた世界最大の氷山の一つである「A23a」が、2023年11月頃から移動していることが報告されています。

World’s biggest iceberg moving beyond Antarctic waters | Antarctica | The Guardian

https://www.theguardian.com/world/2023/nov/27/worlds-biggest-iceberg-moving-beyond-antarctic-waters

World's largest iceberg breaks free, heads toward Southern Ocean | Reuters

https://www.reuters.com/business/environment/worlds-largest-iceberg-breaks-free-heads-toward-southern-ocean-2023-11-24/

「A23a」は、1986年に南極のフィルヒナー・ロンネ棚氷から分離し、その後南極のウェッデル海の海底に接地していました。

A23aの面積は約4000平方キロメートルで、この大きさは2191平方キロメートルの面積を持つ東京都の約2倍、滋賀県や長崎県、徳島県などとほぼ同じサイズです。また、海外メディアのBBCによると、氷の厚さは約400メートルとのこと。

これまで30年以上にわたって南極の海底に接地していたA23aでしたが、2023年11月にイギリスの南極観測局が、A23aが海底から外れ、漂流を開始したことを観測しました。





イギリス南極観測局によると、漂流を始めたA23aは南極環流の影響で亜南極のサウスジョージア島方向に移動しているとのこと。記事作成時点での移動速度は1日当たり約5キロメートルです。





イギリス南極観測局の氷河学者であるオリバー・マーシュ氏は「これほどの大きさの氷山が移動するのは極めて珍しく、さまざまな科学者たちがその動向を注意深く見守ることになるでしょう」と述べています。また、リモートセンシング専門家のアンドリュー・フレミング氏は、37年間接地していたA23aが今になって移動を開始した理由について「時間経過によってA23aが次第に縮小した結果、海底から浮き上がり、海流に押されるようになったと考えられます」と報告しています。

移動を続けるA23aがサウスジョージア島に衝突する可能性も危惧されており、サウスジョージア島に衝突した場合、南極や島に住む野生生物にとって深刻な被害が発生する可能性があることが指摘されています。また、マーシュ氏は「これほどの規模の氷山は、海水温が上昇したとしてもかなり長い間規模を維持する可能性があり、北上して南アメリカ方向に向かった場合、付近の海運に影響が発生する可能性があります」と述べています。