都内で「2,000万円台の中古マンション」が買える鉄道路線はどこ? 価格重視派は東京西部の路線をチェック
新築・中古ともにマンション価格が上昇しており、特に「東京都は高すぎてとても…」と思い込んでいる人が多いのではないでしょうか。たしかに、平均すると高いことは間違いありませんが、路線を選べばリーズナブルな価格帯で取得できるエリアもあります。諦めずにまずは一度、検討エリアを広げてみるのも一案です。
JR東海道本線と新幹線沿線は1億円台に
東京都内を走る鉄道路線は数が多く、価格帯もさまざまです。言うまでもなく都心を走る路線は高価格帯が多く、平均的な会社員では簡単に手が出ないような路線もあります。
不動産情報サイトのアットホーム株式会社では、路線別の中古マンション価格のデータを集計しています。そのデータをもとに路線別の中古マンションの価格相場を見てみましょう。
図表1にあるように、東京都内を走る路線で最も価格相場が高いのは、JR東海道本線の1億680万円でした。JR東海道本線の列車が止まる都内の駅は東京駅、新橋駅、品川駅の3駅のみ。いずれも都心の高額物件の多いエリアですから、この価格帯になるのは当然のことでしょう。
2位は東海道新幹線の1億347万円ですが、こちらも停車駅は東京駅と品川駅だけなので、やはり高額になります。
人気の中央線でも2,000万円台の駅もある
3位はJR横須賀線の9,727万円。こちらも都内の停車駅は東京駅、新橋駅、品川駅、西大井駅と都心が中心になっていて、西大井駅以外は中古マンションの価格相場は1億円を超えています。
そのほか、10位までの各路線を見ても、多くは都心やその周辺を走る路線になっています。しかし、都内でも都心から西側に路線が伸びていて、路線が長く、駅数が多い路線の場合、路線全体の価格相場はさほど高くありません。
たとえば、JR中央線は都内でも人気の高い路線ですが、都心の東京駅から神田駅、新宿駅などを通って、吉祥寺駅、立川駅、八王子駅から高尾駅までつながっています。その中で最も高い東京駅の中古マンションの価格相場は1億円台ですが、人気の高い吉祥寺駅は5,000万円弱に下がり、立川駅で4,000万円を切り、八王子駅は3,000万円を下回って、終点の高尾駅は2,100万円台です。
JR青梅線の平均価格は2,329万円に
路線別の価格相場を見ても、東京都内でありながら2,000万円台とリーズナブルな価格帯の路線もあります。図表2は、東京都内を走る路線のなかで、価格相場が低い10路線です。
最も安いのは、JR青梅線の2,329万円です。JR青梅線は、JR中央線の立川駅から分岐して、奥多摩駅まで続きます。多摩川の源流に続く豊かな自然に囲まれた路線です。
始発駅である立川駅の価格相場は3,959万円と、4,000万円近い水準ですが、西立川駅以西は3,000万円を切って、2,000万円台になります。路線名になっている青梅駅の価格相場は1,631万円です。アットホームのデータによると、中古マンションの取引が盛んでデータとして扱えるのは青梅駅の次の宮ノ平駅までとなり、石神前駅以西のデータはありません。
JR青梅駅なら座って通勤・通学できる
青梅駅は東京駅まで向かう始発列車が多いので、早めに準備して出かければ、都心の駅まで座って通勤・通学できる可能性が高いでしょう。青梅駅から新宿駅までの乗車時間は、通勤時間帯の快速で1時間15分前後、東京駅までは1時間30分前後。少し長く感じる人も多そうですが、仮眠したり、スマホをチェックしたり、ゲームを楽しんだり、仕事の準備などに使うこともできそうです。
青梅は自然に恵まれたエリアであり、JR青梅線で奥多摩駅方面に向かえば、途中には有名な酒蔵や飲食店などがある沢井駅、御嶽山の登山口でケーブルカーのある御嶽駅もあります。登山のほか、多摩川にはラフティングやカヌー、カヤックなどを楽しめる場所もあり、終点の奥多摩湖駅にはキャンプ場や温泉も。アウトドア派にとってはたまらない立地と言えるでしょう。在宅勤務の人はもちろん、毎日都心へ通勤する必要のない人であれば、拠点を構える場所として一つの選択肢になり得るかもしれません。
JR五日市線も2,000万円台から購入可能に
東京都内を走る路線のなかで中古マンションの価格相場がJR青梅線に次いで安いのが、JR五日市線の2,411万円です。
JR五日市線は、先のJR青梅線拝島駅から分岐して、終点の武蔵五日市駅まで7駅の比較的短い路線です。アットホームのデータがそろっているのは拝島駅から熊川駅、東秋留駅、秋川駅までの4駅で、価格帯はいずれの駅も2,000万円台です。なかでも、東秋留駅、秋川駅は2,100万円台と低価格帯になっています。
JR五日市線は、新宿駅や東京駅などに出るには立川駅でJR中央線に乗り換える必要があります。秋川駅から新宿駅までの通勤時間帯の所要時間は1時間10分前後、東京駅までは1時間30分弱です。
JR中央線は混雑していますから、コロナ禍以前の混雑が戻ると通勤が大変かもしれません。しかし会社によっては、在宅勤務やフレックスタイム制などで時差通勤が可能な人もいるでしょう。そういう人であれば、多少の通勤時間の長さはさほど気にしないで探してみても良さそうです。
JR五日市線も自然に恵まれた路線です。多摩川の支流である秋川沿いに走っていて、秋川駅の近くには東京サマーランドがあり、ゴルフ場やキャンプ場、バーベキュー場なども充実しています。圏央道のあきる野ICも近く、車利用の多い人には便利な立地です。
秋川は多摩川最大の支流と言われ、秋川駅のあるあきる野市から檜原村に及ぶ20キロメートルほどの間は「秋川渓谷」と呼ばれています。新緑や紅葉など四季折々の自然を楽しむことができ、まさに風光明媚(ふうこうめいび)で、飽きさせない景色が広がります。JR青梅線と同様に、リーズナブルな価格帯で中古マンションを取得できるうえ、自然を満喫できます。
若い世代、特に子育て中の世帯にとっては自然に囲まれて、子どもたちをのびのびと育てられる環境に恵まれているので注目しておきたいところです。
意外に知られていないリーズナブルな路線もある
東京都内を走る路線でJR青梅線、JR五日市線に次いで中古マンションの価格相場が安いのは京王高尾線、西武拝島線です。どちらも比較的駅数が少ない、短い路線です。一般にはさほど知られていない路線かもしれませんが、価格面などで魅力的な路線と言っていいでしょう。
たとえば、京王高尾線は、京王八王子駅のひとつ手前の北野駅から分岐し、高尾山口駅までの7駅の路線です。終点の高尾山口駅は、世界一登山者数が多いと言われる高尾山の玄関口。マンションが少なくアットホームのデータはありませんが、北野駅から高尾駅までの6駅にはデータがあります。価格を見ると、京王片倉駅のみ3,000万円台ですが、そのほかの駅は2,000万円台となっています。特に狭間駅、高尾駅は2,000万円台、2,100万円台となっています(2023年9月25日時点)。
西武拝島線は西武新宿線の小平駅からJR八高線・JR青梅線が乗り入れる拝島駅までの8駅の路線です。小平駅、萩山駅、小川駅、東大和市駅までの4駅は2,000万円台後半で、玉川上水駅、西武立川駅は2,000万円台前半、拝島駅は2,000万円台半ばですが、武蔵砂川駅は2,000万円を切っています。
自分たちの家計や生活に合った路線はどこなのか
東京都内の中古マンションの価格相場は鉄道路線により価格帯が大きく異なり、生活環境なども違ってきます。自分たちの家計状況やライフスタイルにはどの路線が合っているのかをしっかり検討して、自分たちにふさわしい路線を探してみてはいかがでしょうか。今まで知らなかった路線もあって、意外な発見があるかもしれません。