巷にあふれる「よこすか海軍カレー」はどれが一番ウマい? 人気の4商品を食べ比べてみた
食楽web
●調査内容:横須賀名物「よこすか海軍カレー」。レトルトカレーはゆうに25ブランド以上とも言われるが、その味の特徴の違いとは? 気になる4商品を食べ比べ
横須賀名物「よこすか海軍カレー」。旧日本海軍で調理されていた軍隊食のレシピが記された「海軍割烹術参考書」をもとに復元したカレーのことで、1999年に横須賀市、横須賀商工会議所、海上自衛隊 横須賀地方総監部によって発足された「カレーの街宣言」と合わせて定義づけられたものです。
以来、横須賀市内には無数の「よこすか海軍カレー」の専門店やレストランが出始め、さらにレトルト商品は25ブランド以上もあります。当初は町おこし的な意味合いがあった「よこすか海軍カレー」ですが、ここまでの好例は他に例を見ません。
さて、その「よこすか海軍カレー」のレトルト商品ですが、今日ではスーパーマーケットでもよく見かけるようになった一方、どれがどんな味なのかがわからないのも正直なところです。そこで今回は、特に気になった4商品を実際に食べ比べ。それぞれの味の特徴に迫りたいと思います!
「よこすか海軍カレー」は牛乳とセットが基本。どうして?
「よこすか海軍カレー」の基本スタイル(『横須賀海軍カレー本舗』のメニュー)
本題に入る前に冒頭で触れた「よこすか海軍カレー」の定義にも触れておきましょう。「よこすか海軍カレー」は、牛肉または鶏肉、にんじん、たまねぎ、じゃがいも、塩、カレー粉、小麦粉を使ったもの。ご飯にかけて食べることを前提とし、サラダや漬物と合わせて、牛乳と一緒にいただくことが基本です。
「え? カレーに牛乳? 合うかなぁ」と思う人がいるかもしれませんが、これは海上自衛隊の隊員たちの栄養を考えて考案された食べ方。「よこすか海軍カレー」でも、それをそのまま継承しているというわけです。
というわけで、本記事の食べ比べでは、サラダ・漬物は省略しながらも、必ず牛乳をセットにしていただくことにしました!
20種類以上のスパイス香る「TSUNAMI よこすか海軍カレー」
「TSUNAMI よこすか海軍カレー」
まず最初にいただくのは、横須賀ドブ板通りの超人気レストラン『TSUNAMI』の「TUNAMIよこすか海軍カレー」です。リアルな軍艦の写真に金箔プリントのパッケージが、威風堂々としていますが、その味は果たしてどんなものでしょうか。
「TSUNAMI よこすか海軍カレー」をよそったところ
ルーはトロッとして深みのあるブラウン。20種類以上のスパイスを独自にブレンドした食欲をそそる上品な香りが特徴で、口にした瞬間わずかに野菜の甘味と酸味を感じ、その後に深いコクが染み渡ります。
程よく煮込まれた柔らかい牛肉が美味!
具はルーに溶け込んでおり、人参や玉ねぎなどの野菜の旨みがしっかり凝縮。牛肉は、やわらかく噛み応えがあり、もちろん肉自体の食感も十分楽しむことができます。さすがドブ板通りの人気店。複雑な味わいで、程よい辛さと合わせてかなり美味しくいただくことができました。
具沢山で素朴な味わい「魚藍亭 元祖よこすか海軍カレー」
「魚藍亭 元祖よこすか海軍カレー」
続いては、明治時代の横須賀の風景を彷彿とさせるレトロなパッケージの「魚藍亭 元祖よこすか海軍カレー」をいただきます。現在、横須賀の名飲み屋街、若松マーケットの中に店を構える『魚藍亭』は実は「よこすか海軍カレー」発祥の店として地元で知られている老舗。この老舗の矜持からか、「魚藍亭 元祖よこすか海軍カレー」が古き良き「カレイライス」の味を忠実に再現しているそうです。
「魚藍亭 元祖よこすか海軍カレー」をよそったところ
シンプルかつ素朴な味わいですが、一口食べるごとに身体全体にその味わいが広がるような滋味深い印象を受けます。まさしく和製カレーの真髄のような味で、なんだか泣けてきます。それでいて、具材はゴロゴロと大ぶりカットで残っているのも嬉しく食感・食べ応えも十分楽しむことができます。
素朴で滋味深い味わいが泣ける!
スパイス感は控えめなので、刺激を求める人には物足りないかもしれませんが、スパイスが苦手な方や年配の方にとっては、この味わいが好まれることでしょう。優しくマイルドな味付けで、これもまた美味な一品でした。
甘口派にオススメ! 子どもから大人まで楽しめる「LAUNAよこすか海軍カレー」
「LAUNAよこすか海軍カレー」
続いては数多くある「よこすか海軍カレー」のレトルトの中でも、トロピカルでハワイアンなパッケージが目を引く「LAUNAよこすか海軍カレー」。横須賀市内にあるレストラン『LAUNA』によるもので、同店はハワイ料理のほか、横須賀市のご当地グルメをメニュー展開する店として地元では名が通っています。同店のコンセプトをそのまま反映させたのがこのトロピカルなパッケージというわけです。
「LAUNAよこすか海軍カレー」をよそったところ
味は、甘口寄りで優しい口当たりで、スパイシー感も程よく出汁感が強いです。まろやかな旨みが感じられます。
牛肉と鶏肉双方が使われていました!
また、具は人参、じゃがいも、鶏肉、牛肉などがゴロッと残っており、様々な具材の食感を楽しめるのも嬉しいところ。辛いものが苦手な子どもも楽しめる具沢山カレーですが、一方で舌の肥えた大人をも満足させるコク深さもあります。老若男女誰でも大満足の一品だと思いました。
具材大きく甘さとスパイスが絶妙な「ヤチヨ よこすか海軍カレー」
「ヤチヨ よこすか海軍カレー」
最後は、地元横須賀の業務用食材から、ご当地菓子などを数多く扱うメーカー『ヤチヨ』の「ヤチヨ よこすか海軍カレー」をいただきます。レトロなパッケージが目を引くことに加え、その黄色いカラーリングも美味しそうな雰囲気をプンプン漂わせています。
「ヤチヨ よこすか海軍カレー」をよそったところ
さっそくいただきます。牛肉、野菜のたっぷり入った懐かしい味でトロミが強く、ご飯にもよく絡みます。スパイスが効いていて、じゃがいもと牛肉が大きく柔らかいのが特徴的です。かなり本格的な味わいを表現しています。この辺は『ヤチヨ』の業務用食材による知見が反映されているからかもしれません。
マイルドな口当たりで、バランスに優れた味わい!
また、どちらかというと甘さが強くスパイス感は控えめです。クセがなく食べやすい王道の和風カレーで、マイルドな口当たりである一方、全体のバランスにも優れた優等生的な味わい。こちらもまた老若男女誰でも美味しくいただける一品だと思いました。
まとめ:「よこすか海軍カレー」のレトルトカレー4商品は、その定義を死守しながらも、ブランドごとに個性豊かな味わいだった!
というわけで、4種類の「よこすか海軍カレー」のレトルトを食べ比べましたが、それぞれルーの味や具材に大きな差を感じることができました。また、いずれも牛乳と一緒にいただくことで、より強いまろやかさを味わうことができ、なかなか面白い体験でした。そこでわかった各商品の個性とオススメポイントは大まかに以下の通りです。
「TSUNAMIよこすか海軍カレー」……ややスパイシーな刺激を求める中辛派の方にオススメ
「魚藍亭 元祖よこすか海軍カレー」……ノスタルジーな味わいを求めるマイルド派にオススメ
「LAUNAよこすか海軍カレー」……よりマイルドな味わいを求める方、コク深さを求める方にオススメ
「ヤチヨ よこすか海軍カレー」……「よこすか海軍カレー」の優等生的な味わいを求める方にオススメ
あくまでも個人の感想ではありますが、各商品ともに味の方向性は違えど、美味しかったことは間違いありません。また、今回食べ比べた4商品はいずれもレトルトカレーでは多めの200gパック。この食べ応えも嬉しく思いました。皆さんはどの「よこすか海軍カレー」が気になりましたか? 今回の4商品はもちろん、他のブランドも食べ比べてみると、面白いかもしれませんよ!
(撮影・文◎加賀ま波、松田義人)
●DATA
「よこすか海軍カレー」
https://yokosuka-curry.com/