環境関連企業の中には売掛金増加で財務リスクが顕在化するところも(緑茵景観生態建設が手掛けた河北省唐山市の緑化事業。同社ウェブサイトから)

中国の環境関連企業の売掛金が増加を続けている。最近相次いで発表されている2023年中期決算で明らかになった。中国の環境関連企業は清掃事業など公的事業を請け負っており、収入のかなりの部分を直接または間接に中央政府や地方の財政に依存している。このため売掛金増加は地方政府の財政悪化が影響しているとみられる。

広発証券が9月4日に発表した調査レポートによれば、中国本土の証券取引所に上場している環境関連銘柄の売掛債権残高は6月末時点で1788億元(約3兆6075億円)と2022年末時点の1619億元(約3兆2665億円)から約1割増加し、総資産に占める比率は16.5%に達した。

この比率は2020年には12.6%だったのが、2021年に14.0%、2022年には15.3%と年を追うごとに上昇している。(訳注:ここで言う「環境関連企業」は省エネルギー、排ガス浄化、汚水処理、ごみ処理、緑化事業や森林管理などの多様な事業を請け負う企業を指す)

一部企業は財務リスク顕在化

深圳証券取引所に上場する緑茵景観生態建設(リューイン・ランドスケープ・エコロジー)が8月29日に発表した中期決算によると、6月末時点の売掛金残高は前年同期比58.4%増の10億4300万元(約210億円)に達した。この金額は同社の前年同期の売上高の7倍近い水準に相当し、財務リスクがすでに顕在化している。

環境関連企業の売掛金が増加し続けている背景には、業界で広く採用されている「PPP(官民パートナーシップ)」形式のビジネスの決済方法がある。元請けが事業を受注して、(複数の)下請けに再委託するビジネスモデルにおいて、個々の工事費用は通常、直接担当する企業が費用を立て替えておき、代金は後払いとするのが業界の慣行だ。


2014年ごろの北京市内。大気汚染対策など政府の環境予算積み増しを受け関連産業も拡大したものの……(写真:編集部撮影) 

経済情勢が悪化すると、発注元からの支払いは計画どおりには実行されなくなり、元請け企業も往々にして立て替え払いを嫌うので、多重的に未払いが発生、現場の企業であればあるほど工事代金の回収は難しくなる。

政府予算、コロナ対策のしわ寄せも


本記事は「財新」の提供記事です

華創証券は8月21日に発表した調査レポートの中で、2022年に広東省環境保護産業協会が発表した「広東省環境保護企業工事代金未払い状況調査報告」内のサンプル調査結果を紹介している。それによれば、未払い問題を起こした発注元は政府部門が全体の55.8%を占めた。未払いの原因は「政府の建設予算がおりてこなかったため」が最多で、次に「工事案件の延期」「工事の検収遅延」「財務審査の遅れ」などが続く。

2020年から2022年までの新型コロナウイルス流行期には、中国の中央政府と地方政府は財政面で防疫対策を優先したため、省エネ関連や環境関連の支出が大幅に削減された。その影響はいまだに続いている。

(財新記者:鄒露、王婧)
※原文の配信は9月7日

(財新 Biz&Tech)