KRY山口放送

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走行中の新幹線の車内でナイフと包丁を所持していたとして、銃刀法違反の罪に問われている男の初公判が13日、山口地裁で開かれ、犯行動機について男は「人を殺して死刑になろうと考えた」と話しました。

 銃刀法違反の罪に問われているのは、住所不定・無職の男(27)です。起訴内容などによりますと、男はことし7月、JR熊本駅からJR博多駅を走っていた新幹線の車内で、包丁1本(刃体約15.5センチ)とナイフ1本(刃体約12センチ)を両手に所持していたとされています。男は、乗客からの通報を受けて緊急停車したJR新山口駅のホームにおいて、銃刀法違反の疑いで現行犯逮捕されていました。

 13日、山口地裁で開かれた初公判で、男は起訴内容を認めました。検察側は冒頭陳述の中で男の犯行動機について、「両親が嫌で家出をして自暴自棄になっていたところ、京王線“ジョーカー”刺傷事件 の公判を見て犯行を決意した」と説指摘。また男はその後の被告人質問のなかで、「4人以上殺せば死刑になると調べ、人を殺して死刑になりたいと思った」などと動機を話しました。

 最終的に、自身の好きな鉄道のなかでの犯行を決意したという男。しかし、動揺と緊張から、新幹線に乗ったときには無差別に殺害しようという思いはなくなったと振り返りました。それでも、「ここで諦めてもいいのか」「せっかく準備したので刃物を出して歩こう」という思いにかられ、刃物を両手に新幹線の1号車から8号車を往復。通路で男とすれ違い、泣き出す乗客もいたなかで、「普段人前に出るのが苦手なタイプなので、人に見られてたのしい気持ちもあった」と当時を振り返りました。

 検察側は、「極めて自己中心的な犯行で、動機に酌むべき点はない」と指摘。さらに、「両手にむき出しの鋭利な刃物を所持したうえで、新幹線の1号車から8号車までを移動しており、乗客に、殺害されるかもしれないという著しい恐怖を与えかねない悪質な犯行」などとして、男に懲役6ヶ月を求刑しました。

 一方、弁護側は、「男が車内で殺害する相手を探すなどの具体的な言動はなかった」「犯行を認め、顕著な反省が見られる」などとして、寛大な判決を求めました。

 判決は、10月2日に言い渡される予定です。