札幌2歳Sに出走予定のセットアップ(撮影:山中博喜)

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 1800mで行われるようになってからクラシックへの登竜門的レースへと成長した注目の2歳重賞。キャリアの浅い馬同士による中距離戦でコーナーを4回まわるのがポイント。小回りコースとはいえ瞬発力というよりも、長く良い脚を使えるタイプが有利にレースを運べるコースだ。過去10年の傾向を探れば、芝1400m以下を勝ち上がってきた馬は連対ゼロで、1600m以上の距離を使われてきた馬が9勝。距離経験は大切にしたい。

 ◎セットアップは札幌競馬場芝1800m未勝利戦優勝馬。函館競馬場芝1800mの新馬戦は前半の半マイル通過50.1秒で逃げて2着だったが、最後2ハロンのレースラップは11.4秒、11.5秒。これで負けてしまったのは相手を褒めるしかなく3着以下には3馬身半の差をつけた。前走は、同48.5秒で飛ばして大逃げのような格好に持ち込むと、そのまま危なげなく押し切った。さすが最後1ハロンは12.5秒とやや脚色が鈍り2着馬には0.3秒差まで迫られたが、3着以下には9馬身半差。1分48秒5の勝ちタイムは優秀で、いずれも長く良い脚を使って後続のスタミナを奪うような戦法だった。

 〇パワーホールは札幌競馬場芝1800m新馬戦優勝馬。半マイル通過51.3秒、前半1000m通過64.4秒のスローペースから12.7秒、12.2秒、11.2秒、11.1秒と、後半の半マイルを47.2秒の加速ラップでまとめる強い内容で2着以下を4馬身突き放した。ブレイク中の新種牡馬スワーヴリチャード産駒で、曾祖母ストームソングはBCジュベナイルフィリーズ優勝馬。スワーヴリチャードの祖母キャリアコレクションもBCジュベナイルフィリーズの2着馬だから血統表からは仕上がりの早さも伝わってくる。やや時計がかかる芝の中距離はベストの印象だ。

 ▲マーゴットソラーレは函館競馬場芝1800m新馬戦優勝馬。開催最終週のやや重馬場を考えれば半マイル通過49.6秒、前半1000m通過62.2秒はスローペースとは言い切れない部分もあるが最後4ハロンは12.6秒、11.9秒、12.2秒、12.1秒とハイラップを刻んで後続の追撃を封じ込めた。曾祖母デインスカヤはシックスセンスの母にして、シルバーステートの母シルヴァースカヤの半姉。活力ある牝馬にノヴェリスト×アグネスタキオンなら瞬発力というよりも粘着力を感じさせる配合だ。

 △カイコウはホッカイドウ競馬所属でクローバー賞2着。初モノ尽くしの前走は、前半にやや口を割りながらの追走で好位から。何とかなだめて4角から進出し、残り200m付近では抜け出そうかというシーンもあったが、最後は勝ち馬の決め手に屈したが、相手がコスモス賞2着馬なら仕方のないところか。スクリーンヒーロー×エンパイアメーカーと成長力に満ちた血統で2度目の芝なら侮れない

 △ガイアメンテは札幌競馬場芝1800m新馬戦優勝馬。重馬場だったために時計の比較はできないが、あおるようなスタートを1角までにリカバリー。力みながらの追走になったが、最後は気合を付けられる程度で相手を力でねじ伏せた。ドゥラメンテ産駒で、母は米国のチャンピオンスプリンター。まだ粗削りながら将来性は1番かもしれない。