人気格闘ゲームの最新作『ストリートファイター6』で、“ガイル”のステージの背景に異変が生じています。歴代シリーズでは戦闘機がバックにありましたが、その機体が、過去に見たことのないものになっているのです。

伝統のF-16ではなく謎の空母艦載機に

 人気格闘ゲームストリートファイターシリーズの最新作である『ストリートファイター6』(スト6)が発売し、2023年8月で早くも2か月が経過しました。


ガイルステージの背景にある見慣れない戦闘機(『ストリートファイター6』のゲーム画面をキャプチャー(c)CAPCOM)。

 同作はアメリカで現地時間の2023年8月4日から6日まで開催される世界最大の格闘ゲームのオープントーナメント「EVO 2023」のメインステージのタイトルに選ばれており、大会史上最多の7000人超えのエントリーがあり話題を集めています。

 ただ、歴代ストリートファイターシリーズを知る者として気になった点が。それは、シリーズの定番キャラといえる「ガイル」のステージ背景となっている戦闘機についてです。

 ガイルといえば、初登場作である『ストリートファイター2』で、ソニックブームとサマーソルトキックを活かした防御戦術である“待ちガイル”に苦しめられたという30代、40代の方も多いのではないでしょうか。このステージでトラウマと共に目に焼き付いているのが、背景のF-16戦闘機でした。

 その後、『ストリートファイター5』でもガイルステージは基地にF-16と思われる戦闘機が駐機された背景となっていました。ところが今回のスト6では、ガイルステージは空母の甲板上となり、艦上に置かれた戦闘機も見慣れないものになっていました。

「レガシーホーネット」っぽくはあるが…。

 艦上であるため、艦載機としての能力がないF-16が置かれていないのは仕方ないかもしれませんが、ガイルはアメリカ軍人であるという設定があるため、アメリカ海軍で艦載機と思いきや、同軍が運用しているF/A-18E/F「スーパーホーネット」やF-35Bとも形状が違う戦闘機が駐機されています。

 個人では判別不可だったため、乗りものニュースでミリタリーの記事を書いている他のライターさんにも聞いてみたところ「エアインテークの周りだけみると、湾曲しているのでF/A-18初期型の『レガシーホーネット』っぽい」との意見が。しかし、尾翼が一枚のためこれは違うという判断に。

 フランス軍の「ラファール」や台湾軍のF-CK-1「経国」のような構造もあるため、結局、オリジナル機体なのではという話に落ち着きました。そもそもアメリカ海軍の空母ならば右舷に艦橋があるはずなのに、カタパルトの方向から考えると左舷に艦橋があることになってしまうので、現存の艦艇や戦闘機は関係ないというアピールにも感じられます。


しゃがんだガイル…、蘇るトラウマ(『スーパーストリートファイターII X』のゲーム画面をキャプチャー(c)CAPCOM)。

 戦闘機は、外観に関しては商標権が発生しないようになっていますが、例えばボーイングは航空機の名称を商標として登録しています。兵器をめぐっては、ゲームや映画などで現実の兵器の名前を伏せたり、形状をあえて似せないものにしたりする流れもあります。今回のガイルステージの戦闘機に関しても、そうした業界の流れを受けてのことかもしれません。