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中古車販売大手ビッグモーターの店舗前で街路樹が枯れたり、撤去されたりしたとの疑惑が相次いだことから、東京都はじめ各地の自治体は土壌の検査を実施するなど調査に動きだした。

ビッグモーターも7月28日、公式サイトで「清掃活動の際に使用した除草剤等による影響により、街路樹や植え込みが枯れた可能性が高い」と発表した。

この発表では過失を認めたかたちとなるが、かつて従業員だったという男性は「店長の指示をうけ、従業員総出で街路樹を抜いた」と振り返り、「真っ当な会社に生まれ変わってほしい」と話した。

●「まずくないですか?」反対意見は受け入れられなかった

ビッグモーターでは複数の店舗前で、街路樹や植栽が枯れていたという指摘がなされ、7月25日の記者会見でも「除草剤をまき、街路樹に影響が出たことが10年以上前にあった」と明らかにし、28日になって改めて「除草剤の影響で枯れた」との調査結果を公表した。

国や自治体でも管理する道路の街路樹について調査を進めている。

群馬県太田市の太田店前では除草剤の成分が検出され、街路樹が枯れ死んだことから県が2022年11月に警察へ被害届を出した。

千葉県内にあるビッグモーターの元従業員だという会社員の男性は「今から10年以上前に、店から指示をうけて国道沿いに生えていた植物を抜いた」と話す。

男性含め数人から「まずくないですか」と反対の声もあがったが、その日の朝から総出で作業が始まったという。

「シャベルを足で踏み込んで植物を掘り返し、根っこを切ったり、なんでこんなことするんだろうと思いながら大変な作業になった。抜いたものはいわゆるゴミ収集車が回収に来たが、1台では足りなかった」(男性)

日常の環境整備(清掃活動)でも雑草は抜いていたが、そのときと同じく除草剤は使わなかったという。

男性は「環境整備はとにかく重要な位置付けで、兼重宏行社長(当時)による点検の前日は年末の大掃除をしているような徹底ぶりでした。店舗はとにかく光っていないといけない。そのくらい磨きこみます。和泉伸二専務(当時、現在は社長)もよく来ており、和泉専務は特にトイレを綺麗にする事に心血を注いでいました」と振り返る。

「ここからは推測ですが、おそらく上層部から、街路樹や植栽の撤去は他の店もやっているのに、なぜこの店だけやっていないのかと店長が指摘されたのではないでしょうか」(男性)

元従業員の証言について、道路を管理する国(千葉国道事務所)は記録が残っていないと回答した。

●「中古車事業は重要な商売。真っ当になってほしい」

男性はビッグモーターの姿勢に懐疑的になっていくなかで、ある「事故」をきっかけに退職を決意したと話す。

会社が扱う車を運転中に物損事故を起こしたところ、車両保険を使うことを許されず、30万円以上の修理費の自己負担を迫られたことから「このまま会社で働いても搾取されて終わる」と考えた。

5万円分は自腹を切ったという。

「お世話になった面もあり、恨みは感じていない。経済的に新車に手が届かない私のような人にとっても、中古車事業は重要な商売だと思う。街路樹の件だけではなく、保険金不正請求などの問題を正面から認めて、真っ当な会社になってほしい。ただ、オーナー企業なので、今のままでは変わらないだろう。表向きの新体制ではなく、本当に変わってほしい」