気温も湿度も高くなるこの時季は、お弁当が傷まないかちょっと心配…。気をつけるべきコツを押さえ、安心して食べられるおいしいお弁当をつくりましょう! 管理栄養士で戸板女子短期大学食物栄養科准教授・井部奈生子さん監修です。

「洗浄」「冷却」「加熱」が基本のポイント

「1年をとおして食中毒の危険はありますが、やはりいちばん多いのは、気温や湿度が高くなる梅雨前から9月くらいまで」と話してくれたのは、戸板女子短期大学准教授の井部奈生子さん。傷みにくいお弁当づくりについて教えてもらいました。

「気をつけたいポイントは3つ。まずは細菌をつけないこと。手洗いを念入りにして、包丁やまな板、ふきんなどは清潔を保ちましょう。次に細菌を増やさないこと。手早く調理して、すぐに冷まします。そして最後に、しっかりと加熱することが大切です」

忙しい毎日のお弁当づくり。気をつけるべきポイントをきちんと押さえ、食中毒の危険から家族を守りましょう。

傷みにくいお弁当づくり調理のコツ

いくつかのポイントを押さえれば、ぐんと安全度がアップ! 暑い季節は、保冷剤や保冷バッグを使って保管し、3〜4時間以内に食べきるようにしましょう。

●下準備・調理のポイント

・まな板は毎日除菌する

包丁やまな板は1日の終わりに、ヤケドに気をつけながら60度以上の湯をかけて除菌する習慣を。まな板は傷に菌が入りやすいので、ときどき塩素系漂白剤※での除菌がおすすめ。

・指の間や先までしっかり手洗いする

調理の前にまずは手洗い! 石けんをよく泡立てて、指と指の間、爪の間、手首まで丁寧にしっかりと洗います。食材に直接触れるときは、ポリ手袋を着けるとより安心です。

・お弁当箱はよく洗い、乾燥させる

汚れが残りがちなお弁当箱は、毎回、細かい溝までよく洗って、しっかり乾燥させてから使います。数回に1回は、塩素系漂白剤※で除菌して、見えない菌を撃退して。

・食材はしっかり火をとおす

加熱が不十分だと、細菌が増殖する危険大! 肉や魚は中まできちんと火をとおします。卵はお弁当のときは半熟NG。野菜や加工品も加熱を。フルーツは水気をきって別容器に。

・つくりおきや冷凍したおかずは再加熱する

前日のおかずや冷凍おかずは、再加熱して、しっかり冷ましてからつめると安心。つくりおき保存するときも、冷めたらすぐに冷蔵・冷凍して、菌の繁殖を最小限に抑えます。

・肉や魚などの扱いに注意する

生の肉や魚を触った手でほかのものを触らないのはもちろん、気づかないうちに汁が飛ぶこともあるので注意を。まな板を替えたり、作業工程を工夫して二次感染を防いで。

・おにぎりはラップで包んで握る

手洗いをしているとはいえ、手で直接ご飯に触れるのは避けるのが正解。おにぎりは、ラップで包んで握るか、ポリ手袋を着けてつくりましょう。

●つめ方のポイント

・しっかり汁気をきる

汁気は細菌が増える原因に。汁気があるものは、つめる前にペーパータオルやザルにのせて余分な水分をきってからつめるようにします。汁気をきることで汁漏れ防止にも。

・菜箸は都度洗い、使い回しをしない

つめるときは、おかずごとに菜箸を替えることで、細菌がほかのものについたり、味が移るのを防ぐことができます。洗ったら、しっかりと水気をふくのも忘れずに!

・おかずもご飯もよく冷ます

温かいままお弁当箱につめると、内部に熱がこもり、水滴がついて菌が繁殖しやすくなります。つめてから冷ますのではなく、皿などに並べてきちんと冷ましてからつめて。

・おかずやご飯は仕切る

ご飯とおかずは汁が混ざらないように、カップなどで1種類ずつ仕切ります。レタスなどの生野菜を仕切りに使うのはNG! この時季はのっけご飯や混ぜご飯なども避けた方が安全。

塩素系漂白剤を使うときは表示に従い、必ずゴム手袋をはめ、換気扇を回しましょう。また、酢やクエン酸など酸性のものと混ざると有毒なガスが発生するので、絶対に混ぜないでください