50代。将来のお金を考えたときに心配なのが、「年金がちゃんと受け取れるのか?」ということ。うっかり払いもれていた、夫と離婚した…場合はどうなるの? お金のプロ、FPの塚越菜々子さんに素朴な疑問を聞いてみました。

死別、離婚、払いもれ…そのとき年金はどうなるの?

「遺族年金や年金分割などの制度があります」と塚越さん。それぞれのケースについて説明していきます。

●【死別】パートナーの加入状況によって遺族年金がもらえます

生計を同一にしている人が亡くなると、遺族に「遺族年金」が支給されます(残された妻または夫が年収850万円未満の場合)。亡くなった人が自営業など第1号被保険者の場合は「遺族基礎年金」。会社員など第2号被保険者なら、加えて「遺族厚生年金」ももらえます。ただ、遺族基礎年金が支払われるのは18歳未満の子どもがいる場合のみ。それに代わって子どもがいなくても支給されるのが「寡婦年金」ですが、「死亡一時金」との選択制です。

<遺族年金の種類>

亡くなった夫が第2号被保険者で、子がいなかったり18歳以上の場合、40〜64歳までの妻には「中高齢寡婦加算」が加わることも。複雑ですが、自分はどこに当たるのか、確認して申請しましょう。

 

【妻が50歳・子が15歳のとき会社員の夫と死別】

夫が会社員の場合、遺族厚生年金は死別後、生涯もらえます。それに加えて、遺族基礎年金を子が18歳になるまで受給し、その後64歳までは中高齢寡婦加算、65歳以降は自身の国民年金と、生涯2種類の年金を受給できます。

 

【妻が50歳・子が15歳のとき自営業の夫と死別】

夫が自営業の場合は、妻が生涯もらえる年金は1種類。子どもが18歳になるまでは遺族基礎年金がもらえ、60歳からは寡婦年金がもらえますが、その間は給付がない空白期間に。65歳以降は自身の国民年金を受給します。

●【離婚】年金分割ができます(2つ方法があります)

会社員や公務員の夫と離婚した場合、夫の厚生年金を分割して受け取れます。制度は「合意分割」と「3号分割」の2種類。

<合意分割と3号分割の違い>

まず、合意分割は婚姻期間中の〈厚生年金の報酬比例部分〉について調停のうえ、配偶者に50%を上限として分割割合を決定できます。3号分割は、妻が夫の扶養に入っている第3号被保険者だった期間で、かつ2008年4月以降の、夫の〈厚生年金の報酬比例部分〉を自動的に2分の1に分割し、受け取れます。

この2つは併用できるため、2008年4月までは合意分割、それ以降は3号分割という手も。どちらも請求期限は離婚した日の翌日から2年以内です。ただし、共働きの妻は3号分割の対象外です。

●【払いもれ】年金大幅減の可能性も。今からできることをやりましょう!

ありがちな払いもれの例をあげてみました。

<学生時代の未納がそのまま>

2年間未納があると、年額約4万円年金が減るのでぜひ対策を。在学中の保険料の納付を猶予される「学生納付特例制度」を申請し未納のままとなっている場合、10年以内なら追納可。過ぎている場合も60歳からの「任意加入」で補てんできます。

 

<夫の転職や退職時に、妻の登録もれが…>

会社員の夫の扶養に入っていて、第3号被保険者である妻は要注意。夫が脱サラしたり、退職して第1号被保険者になった場合、妻も第1号被保険者となり、自分で変更届を出して、国民保険料を納付する必要が。夫の転職時に妻の扶養の登録がもれるケースも。心配な場合は、年金手帳記載の基礎年金番号を持って、年金事務所で相談して。

 

<育休・病気・困窮などによる免除の穴埋めがまだ>

育休や病気・困窮などで年金保険料の支払い免除を申請していた場合、受給資格期間には算定されるものの、受け取れる年金額は減ります。こちらも学生時代の免除と同じく、60歳からの任意加入で補てんするのがおすすめ。

老後資金の基本となる年金。もらえるのはまだ先のこと、と思いがちですが、そのときになってあわてないように、今のうちから内容をきちんと確認しておきましょう。

『これからの暮らし by ESSE vol.04』では今回紹介した以外に、50代〜70代の暮らし達人が「買ってよかったもの、ずっと大切にしたいもの」や、老後のお金の不安まるごと解決、飛田和緒さんとめぐる「大人の湘南・鎌倉」、坂東眞理子さんの人生お悩み相談、糖質オフ2品献立、自律神経整え習慣など50代以上の暮らしに沿った情報が満載。