「老人ホーム」といっても、その種類はさまざまで、施設の種類や、サービスの内容によって費用は大きく異なります。だからこそ、急な対応で慌てることのないよう、親としっかりと話合っておくことが大切です。ここでは、ファイナンシャルプランナー・いちのせかつみさんに、介護にまつわるQ&Aも教えてもらいました。

高齢者向け住まいの費用の目安と特徴

高齢になると、転倒や急病などをきっかけに介護は急に始まります。元気なうちに親と話し合い、施設の種類を知って、親子で見学へ!

●公的:介護老人保健施設

・入居一時金:0円
・月額利用料:8〜14万円

要介護1以上で、症状は安定しているが、在宅生活が厳しい65歳以上の人が対象。在宅復帰を目的に、医療、介護サービスが受けられる。

●公的:特別養護老人ホーム

・入居一時金:0円
・月額利用料:8〜14万円

要介護3以上が対象。食事や排せつ介助などが受けられ、看取り看護を行う施設も。公共施設なので、収入や資産に応じて費用を軽減。

●公的:ケアハウス

・入居一時金:0〜数十万円
・月額利用料:6〜17万円

社会福祉法人や地方公共団体などが運営し、費用が安い老人ホーム。元気なうちに入れる「自立型」と要介護で入る「介護型」がある。

●公的:介護医療院

・入居一時金:0円
・月額利用料:10〜20万円

長期的に医療・介護サービスを必要とする人が対象。「日常的な医療管理」「看取りやターミナルケア」「生活施設」の機能を兼ね備える。

●民間:住宅型有料老人ホーム

・入居一時金:0〜数千万円
・月額利用料:11〜25万円

元気なうちから入居でき、食事などの生活支援サービスが受けられる。介護が必要になると、別契約で外部のサービスを利用。

●民間:介護付き有料老人ホーム

・入居一時金:0〜数千万円
・月額利用料:15〜30万円

特定施設入居者生活介護の指定を受け、24時間体制でスタッフが介護を行う。入居対象は65歳以上、要介護1以上が一般的。

●民間:グループホーム

・入居一時金:0〜数千万円
・月額利用料:10〜15万円

認知症の人が住み慣れた地域で、介助を受けながら共同生活をする地域密着型の施設。要介護1(一部要支援2)以上の人が対象。

●民間:サービス付き高齢者向け住宅

・入居一時金:0〜数千万円
・月額利用料:11〜25万円

安否確認や生活相談サービスが受けられる賃貸住宅。医療・介護は外部契約が一般的だが、施設スタッフによる24時間体制の施設も。

いい介護」のデータをもとに作成

介護の疑問Q&A

親の介護にまつわる疑問を、いちのせさんに答えてもらいました。

●Q:介護費用を軽減する方法はありますか?

→A:1か月の介護サービス費が自己負担額を超えると、「高額介護サービス費」で超えた分を払い戻してもらえます。自己負担額は課税所得で決まり、非課税世帯なら月2万4600円。

また、特別養護老人ホーム(特養)の居住費、社会福祉法人(※)が行うショートステイやデイケア、訪問介護などの費用も、収入や貯蓄が一定以下の人は軽減されます。自治体独自の補助制度もあるので、役所の窓口やケアマネジャーに相談してみましょう。

「利用者負担額軽減制度」を自治体に申告している社会福祉法人に限る

●Q:子ども同士でお金の面でもめそうです

→A:不足分の費用を兄弟姉妹で出し合う場合、経済的に余裕がない人は、親の死後、遺産の取り分から精算する方法などを話し合ってみましょう。また、近くに住んで物理的に負担が大きい人は経済面は軽く、遠くに住んでいる人は多めに、といった配慮も大切。

●Q:親に施設入りを納得してもらうには?

→A:施設に入りたくない理由をきちんと聞きましょう。親の世代には、高齢者施設=うば捨て山と考える人もいます。医師や施設関係者に話をしてもらうと、客観的に受け入れてくれることも。実際に施設を見学したり、体験入居を行えば、印象は変わるはず。