『ONE PIECE』休載、原因は尾田栄一郎氏の「ひどい乱視」…40代から増える目の不調を専門医が解説
『ONE PIECE』のモンキー・D・ルフィ
大人気マンガ『ONE PIECE』の作者である尾田栄一郎氏(48)が、「週刊少年ジャンプ」の連載を休載することを、6月6日、「ONE PIECE スタッフ」公式ツイッターアカウントが発表した。
《【お知らせ】『ONE PIECE』は再来週発売となる週刊少年ジャンプ29号〜32号まで、尾田先生の目の手術に伴い休載いたします。なお、来週発売の28号には通常通り掲載いたします。読者の皆様をお待たせしてしまい、申し訳ございません。再開は7.18(火)発売の33号を予定しております。》
ツイートでは、6月19日発売号から4号にわたっての休載を発表。尾田氏の《ちょっと手術したいんですどうしても。目から…ビームを出す手術をする事になりました!!(中略)「最近双子の人多いよねー」なんつってたらひどい“乱視”でね、物がぶれて見えるんですよ。》という直筆のイラストとメッセージも寄せられている。
読者を心配させまいという配慮からか、軽妙な調子で病状が綴られているが、同誌の編集長には昨年から相談していたというから、長く症状に悩まされてきたことがうかがえる。眼科専門医で、「ルクスアイクリニック代々木上原」院長の河本立徳(こうもとたつのり)医師が、尾田氏の症状をこう推察する。
「尾田さんは『ひどい乱視』を訴えておられますが、一般的に乱視の原因は、角膜と水晶体の歪みによって引き起こされます。前者による歪みを『角膜乱視』、後者による歪みを『水晶体乱視』といいます。
角膜乱視は生まれつきの角膜の形が原因となるほか、円錐角膜などの角膜疾患や、翼状片などの結膜の疾患でも引き起こされます。一方、水晶体乱視は水晶体が一定方向に歪んだまま元に戻らなくなった状態のことをいい、眼の酷使が原因となるケースが多いといわれています」(河本医師、以下同)
漫画家という職業が、乱視を引き起こす原因となったことは考えられるのだろうか。
「漫画家のように、作画する際に長時間近くのものを見る必要があったり、ほかの職業でも、パソコンの画面などを長時間じっと見続けたりする職業の方は、毛様体筋の働きで水晶体が変形する際に、水晶体が引っ張られた状態で固定されてしまい、元に戻らなくなってしまうことがあります。
ただ、尾田さんは『目からビームを出す手術』という表現をされているので、目にレーザーを当てるレーシック手術を受けられるのではないかと推測されます。レーシック手術は、トーリックICL手術(乱視補正の眼内レンズを埋め込む手術)と並び、角膜乱視の治療によく採用されています」
術後は、漫画家の仕事に支障はないのか。
「手術によって乱視が補正されれば、支障はないと考えられます。乱視が軽減されれば、作業効率は上がるのではないでしょうか」
尾田氏は48歳。この年代は、目の不調が起こりやすいと河本医師は言う。
「40歳を超えると20人に1人は緑内障になるといわれていますし、老眼の自覚症状も出現しやすい年齢と言えます。特に近視の方は、緑内障になりやすい傾向にあるので、目の不調を感じたら早めに眼科を受診するようにしましょう」
連載は7月に26周年を迎え、最終章に突入している『ONE PIECE』。多くの読者が、再開を待ち望んでいる。
写真・Rodrigo Reyes Marin/アフロ(C)尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション (C)Amusequest Tokyo Tower LLP
取材協力・吉澤恵理(医療ジャーナリスト)