住宅ローン金利速報|前月の引き上げから、今月は0.07ポイント引き下げに! 2023年6月の【フラット35】金利
いよいよ、アジサイの花が美しい雨の季節がやってきます。今年は例年よりも早く梅雨の訪れを迎える地域が多いようです。そんな中、2023年6月の【フラット35】金利はどうなったのでしょうか。動向をお伝えします。
2023年6月の【フラット35】金利
2023年6月の全期間固定金利型住宅ローン ARUHI フラット35の金利は融資率9割以下・返済期間21~35年、機構団信加入で1.76%となり前月から0.07ポイント引き下げに。融資比率9割以下・返済期間15~20年の金利は1.33%と、こちらも0.07ポイントの引き下げとなりました。融資比率9割以下・返済期間36~50年の金利は前月の2.26%から0.09ポイント下がり、2.17%となりました。
ARUHI 住宅ローンの実行金利一覧
建設費または購入価額(以下、物件価格)の1割~5割の頭金があれば、従来のARUHI フラット35よりさらに低金利で利用できる、ARUHI スーパーフラットの各種商品の金利は以下の通りです。
物件価格の5割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット5」(※団信込み。全疾病別途)は1.65%。
物件価格の4割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット6」(※団信込み)は1.66%。
物件価格の3.5割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット6.5」(※団信込み)は1.67%。
物件価格の3割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット7」(※団信込み)は1.67%。
物件価額の2.5割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット7.5」(※団信込み)は1.68%。
物件価格の2割以上の頭金があれば利用できる「ARUHI スーパーフラット8」(※団信込み)は1.68%。
物件価格の1.5割以上の頭金があり、年収に対する年間返済額「返済負担率」が20%以内であれば利用できる「ARUHI スーパーフラット8.5」(※団信込み)は1.75%となっています。
物件価格の1割以上の頭金があり、年収に対する年間返済額「返済負担率」が20%以内であれば利用できる「ARUHI スーパーフラット9」(※団信込み)は1.75%となっています。
最新の住宅ローン金利はこちら→【ARUHI フラット35】
まとめ
最後に今月の金利変動について、不動産や金融についてその業界の人に匹敵する知見をもつ、公認会計士ブロガー千日太郎さんにまとめていただきます。
植田日銀は金融緩和政策を継続、2023年6月の【フラット35】金利は引き下げに
米欧発の金融システム不安から一時は下がった長期金利ですが、日銀総裁に植田氏が就任すると、金融引き締めを警戒して再び上昇しました。しかし植田日銀が一貫して金融緩和政策の継続を行うことが認められると徐々に国債を買う投資家が増えてきており、債券価格が上がり長期金利は下がってきています。
2023年5月から6月にかけて長期金利が約0.09ポイント下がり、機構債の表面利率は0.08ポイントの低下と少し下がり幅が小さくなっています。そして【フラット35】の金利の下がり幅はさらに小さく、0.07ポイントとなっています。
【フラット35】(買取型)の資金調達の仕組みによると、住宅金融支援機構が機関投資家に機構債を販売して資金調達し住宅ローンを貸すという基本スキームとなっています。つまり機構債の表面利率はいわば資金の仕入値にあたり、【フラット35】の金利が売値にあたると考えてみれば理解しやすいと思います。
2023年4月から5月にかけて長期金利が0.19ポイントも上昇していますが、機構債の表面利率の上昇は約半分の0.09ポイントにとどまりました。そして【フラット35】の金利は長期金利の上昇幅はさらに小さく、0.07ポイントとなっています。
長期金利上昇の背景は、新たに日銀総裁に任命された植田氏が金融引き締めへ政策転換するだろうという見込みがあったためです。長期金利の上昇局面で、【フラット35】の金利上昇が比較的小さく抑えられた理由は、住宅金融支援機構が政府に代わって公共的な事業を行うために設立された独立行政法人であり、国民の円滑な住宅金融を目的とするからです。急激な金利上昇局面では、利用者が困ってしまわないように住宅ローンの金利上昇幅を緩やかにして、吸収する対応を行うのです。
そして5月から6月にかけては長期金利が低下。その背景には、植田氏による一貫した金融緩和継続の表明があります。さらに、海外投資家による空売り対策もあって、安定した国債価格がもう少し続きそうだという見込みから日本国債が買われ、債券価格は上昇し長期金利は低下の局面にあります。
4月から5月には政策的に【フラット35】の上昇を抑えたため、5月から6月の金利低下局面では【フラット35】の下がり幅を抑えたということもあるでしょう。2023年に入ってからは一時、長期金利の低下に反して【フラット35】の金利が上昇した月もありましたが、再び長期金利と連動して動くようになってきており、その長期金利が低下傾向にあるのは住宅ローンの借り入れや借り換えを検討中の人にとって喜ばしいことです。
加えて、現在は政府の少子化対策として子育て世帯向けに【フラット35】の金利を引き下げる具体的な施策について議論が始まっています。現に小さいお子さんがいる方や今後出産を予定している方には積極的に検討してほしい住宅ローンです。
※【フラット35】(買取型)の資金調達の仕組み
住宅ローンの【フラット35】(買取型)は、下図のように住宅金融支援機構が民間金融機関から債権を買い取って証券化し、機関投資家に債券市場を通じて機構債という形で販売するという仕組みになっています。機構債は毎月20日前後に表面利率を発表し募集します。投資家たちは機構債を国が取り扱う安全な債券という考えで購入しますので、機構債の表面利率は国が発行する債券=10年国債の利回り(長期金利)に連動する傾向があります。
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