家財保険とは何のために加入する保険なのか? 保険料と保険金額の相場も解説!
火災保険の加入を検討する際、家財保険との違いや必要性がよくわからないという人もいるのではないでしょうか。火災保険の一種である家財保険は、いざというときに自身の財産を守ることにつながる保険です。
この記事では、家財保険の概要や加入する目的・必要性に加えて、加入によるメリットと注意点についても詳しく紹介していきます。
家財保険とは? 火災保険との違いは?
住まいを取得・借りる際に加入する火災保険は、大きく「建物」と「家財」の2つを補償対象としています。
●建物:居住用の建物本体、建物に付属している建具・設備など
● 家財:住まいに置かれている家具・家電、日用品、アート、自転車など
このうち、家財のみを補償対象とする保険を一般的に「家財保険」と呼びます。つまり、家財保険は火災保険の一種です。
火災保険を契約する際には、補償対象を「建物のみ」「建物+家財」「家財のみ」の3種類から選べます。住まいの状況や補償したい範囲に応じて、必要な内容をカバーできる火災保険を選ぶ必要があるのです。
家財保険に加入するのはどんな時?
住まいを購入・新築する場合、「建物のみ」「建物+家財」のいずれかを補償の対象とする火災保険に加入します。
一方、賃貸住宅は、オーナーが建物の火災保険に加入しているケースがほとんどです。そのため、賃貸住宅を借りる人は家財のみを補償対象とする保険=家財保険に加入します。賃貸住宅では契約時に家財保険への加入が義務付けられている物件が多く、賃借人は家賃・管理費などと別に家財保険の保険料を支払わなければなりません。
家財保険の補償の対象は?
賃貸住宅用の家財保険における補償対象は、大きく「借りる人自身の家財」「オーナーや他の入居者に対する損害賠償」の2つに分けられます。
まず、借りる人自身の家財として補償対象に含まれるのは、室内で所有している家具や家電、衣服、食器などです。絵画をはじめとするアートや骨董品、貴金属類、自転車といったものも補償対象となります。
一方、自動車やバイク、ペットや観葉植物、通貨類、小切手、印紙、クレジットカードなどは原則補償の対象外です。一定の金額を超えるアートや骨董品、貴金属類も対象外となる場合があります。
家財保険の補償対象として、もう一つ重要なのが「オーナーや第三者に対する損害賠償」です。
オーナーに対する損害賠償をカバーするものは「借家人賠償責任保険」と呼ばれます。借りている人の過失による火災や漏水等で建物に損害を与えてしまった場合、オーナーに対する損害賠償金を補償してくれるという内容です。
他の入居者をはじめとする第三者に対する損害賠償をカバーするものは「個人賠償責任保険」と呼ばれます。日常生活におけるトラブルで他の入居者に損害を与えてしまった場合などに、相手方に対する損害賠償責任を補償してくれるものです。
明記物件とは?
家財保険ではアート、骨董品、貴金属類といった家財も補償対象となりますが、1点あたりの金額が30万円を超えるようなとりわけ高価なものに関しては、契約時に保険会社へ申告したうえで保険証券に明記しておく必要があります。このような申告・明記が求められる物品が「明記物件」です。
美術品や骨董品などは価値を評価するのが難しいという性質があるため、多くの保険会社が補償対象としてあらかじめ申告するよう定めています。ただし、明記物件が何かしらの損害を受けたとしても、価値に相当する金額がすべて返ってくるとは限りません。
保険会社によって、補償の上限額が設けられていたり、申告が漏れていても一定金額まで補償が受けられたりします。会社ごとに対応が異なるので、気になる場合はあらかじめ確認しておきましょう。
家財保険に加入する必要性は?
先述のとおり賃貸住宅を契約する場合、入居条件として家財保険への加入を求められるケースが多くなっています。
なかには、「保険で補償してもらうほど高価な家財は持っていないので加入しなくてもいい」と考える人もいるかもしれません。ですが、条件として設定されている場合は、先ほど紹介した借家人賠償責任補償が必要となるため、保険に加入しないという選択はできません。
借家人賠償責任保険とは、入居者の過失によって部屋や建物に損害が生じた場合、入居者からオーナーに対する損害賠償の責任を補償してくれるという保険です。入居者の家財保険加入は、入居者自身だけでなくオーナーの資産保全としても大切なことなのです。
賃貸住宅では、契約時に不動産会社から特定の保険を勧められる場合が多いですが、必ずしもその保険に加入しなければならないわけではありません。不動産会社が特定の保険への加入を強制するのは禁じられており、前もって相談すれば別の保険会社を選ぶこともできます。
なお、マイホームを取得する場合には家財保険のみではなく、「建物+家財」セットの火災保険に加入するのが一般的です。
家財保険に加入するメリットと注意点とは?
続いては、家財保険に加入するメリットと注意点について見ていきましょう。
まず、メリットとしては個人賠償責任保険が付帯している場合が多い点が挙げられます。第三者に損害を与えてしまった際にも補償が受けられるので、たとえば自転車事故などにも備えられるのです。
加えて、火災保険の一種ではあるものの、火災のみでなく水災や風災といった各種自然災害、盗難、マンションにおける水漏れなどに幅広く備えられる点もメリットといえるでしょう。
一方、メリットの一つに挙げた個人賠償責任保険は、自動車保険・自転車保険・クレジットカードなど、他の保険商品に付帯している場合も多い点は注意しておきたいところです。仮に複数の保険に加入していても、損害額を超えての支払いは受けられないので、重複が生じないよう加入中の保険内容を一通り確認しておくとよいでしょう。
家財保険の保険料と保険金額の相場は?
家財保険の保険料は保険金額に応じて変わり、保険金額を高く設定するほど保険料も高くなります。
保険金額は所有している家財を再度購入するのに要する金額(再調達価格)で決まるので、家族の人数が多く部屋の面積が広いほど、保険金額・保険料は高くなるのが一般的です。また、補償対象として高価な家具や家電のある家も保険料は高くなります。
保険金額の相場としては、通常の単身者向けマンションで300万円程度です。この場合、保険料が年間5,000~1万円程度となる家財保険を勧められるケースが多くなっています。
在宅勤務中心で比較的価格の高いパソコンや事務用品がある部屋や2人暮らしの部屋では、保険金額400万~500万円程度というのが目安です。
まとめ
家財保険は火災保険の一種であり、家具・家電や日用品といった家財を補償の対象としています。
家財保険には、オーナーに対する損害賠償を補償する「借家人賠償責任保険」や第三者に対する損害賠償を補償する「個人賠償責任保険」がセットになっているため、賃貸住宅の契約時に加入を求められるケースが多くなっています。
保険金額や保険料の相場は家族構成や部屋の広さなどによって異なるので、自身の希望に合った補償を受けられる保険を選ぶようにしましょう。