古馬牝馬の「マイル女王決定戦」GIヴィクトリアマイル(東京・芝1600m)が5月14日に行なわれる。

 過去10年の結果を振り返ると、3連単では2015年に2000万円超えの激アツな高額配当が飛び出している他、10万円超えの高配当が4度もあって、先週のNHKマイルCと同じく"荒れる"GIの代表格のひとつだ。

 その要因のひとつとして、人気馬の不振が挙げられる。1番人気が3勝、2着2回と今ひとつの信頼度のうえ、2番人気が3着1回、3番人気も2着2回とさっぱり。おかげで、1〜3番人気のうち2頭が一緒に馬券に絡んだことがわずか1回しかないのだから、波乱が多いのも頷ける。

 はたして、今年はどうか。日刊スポーツの木南友輔記者はこう語る。

「戦前から混戦と見られていた先週のNHKマイルCは、実際に波乱の決着。当日の雨によって、展開が勝敗を左右するレースになったと思います。そして今週も、雨が降りそうな予報になっていて、予想するうえでは難解なレースになりそうです。

 それでも、人気がどの馬になるのかわからなかったNHKマイルCとは違って、今回はソダシ(牝5歳)、スターズオンアース(牝4歳)、ソングライン(牝5歳)といった、すばらしい実績を持つ有力馬がいて、人気になる存在がはっきりしています。そういう意味では、展開についてはある程度読みやすいレースになるのではないでしょうか」

 そうした状況のなか、激走が期待されるのはどういったタイプか。木南記者は2頭の穴馬候補をピックアップした。

「1頭目は、ルージュスティリア(牝4歳)です。2歳夏の新馬戦(新潟・芝1800m)では、のちの二冠馬で今回も人気が予想されるスターズオンアースに勝利。相手が脚を余した面もありますが、この馬の瞬発力も印象に残りました」


ヴィクトリアマイルでの一発が期待されるルージュスティリア

 その後、同馬はGIIチューリップ賞(6着。阪神・芝1600m)、GIIフローラS(15着。東京・芝2000m)とトライアルに挑むも、結果を出せずにクラシック出走には至らなかった。しかし、休養して仕切り直した3歳夏以降、3連勝してオープン入りを決めた。

「3連勝後、前走のGII阪神牝馬S(4月8日/阪神・芝1600m)では1番人気に推されましたが、6着。直線で他馬と接触してしまい、その分、伸びを欠いて不完全燃焼の競馬となりました。

 それでも、勝ち馬とはコンマ5秒差。巻き返しは十分に可能だと思います。1週前の追い切りでも、栗東坂路で好時計(51秒4−11秒7)をマーク。状態のよさも魅力です」

 木南記者が名前を挙げたもう1頭は、サブライムアンセム(牝4歳)。同馬もルージュスティリアと同じく藤原英昭厩舎(栗東トレセン)の管理馬だ。

「スターズオンアースが勝った昨年のGI桜花賞(阪神・芝1600m)を思い出すと、ゴール前は大混戦。ほとんど着差がなく、サブライムアンセムも9着でしたが、勝ち馬とはわずかコンマ2秒差でした。つまり、立ち回り次第では、人気のスターズオンアースと差のない競馬ができる、ということです」

 実際、サブライムアンセムはGIIフィリーズレビュー(阪神・芝1400m)の勝ち馬で、前走の阪神牝馬Sでも2着と好走。重賞で勝ち負けできる実力を秘めている。

「3走前のGIIIターコイズS(6着。12月17日/中山・芝1600m)、前走の阪神牝馬Sは、ともにインを狙って詰まるシーンがありました。しかしながら、いずれも勝ち馬とはコンマ2秒差。好位で運んで、最後もうまくさばけるようなら、アッと言わせるシーンがあってもおかしくありません。

 また、藤原厩舎はエイジアンウインズでウオッカを、ストレイトガールでヌーヴォレコルトやミッキークイーンといった名牝をこのレースで下しています。そんなヴィクトリアマイルの勝ち方を知っている厩舎の2頭出し。さすがに無視するわけにはいきませんし、一発の期待が膨らみます」

 今週も波乱必至の東京マイルのGI戦。名門厩舎が送り出す2頭の伏兵から目が離せない。