運転手がコントロールを失い、道路から約50メートル下のコーヒー農園に転落したバス。乗客45人が殺人蜂「アフリカナイズドミツバチ」に襲われた(画像は『La Nueva Radio YA 2023年5月8日付「Tragedia en Yalí」』のスクリーンショット)

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中央アメリカのニカラグアで今月8日、45人が乗っていたバスが車道から50メートル下の渓谷に転落、6人が死亡した。6人の死因は“殺人蜂(キラービー)”と呼ばれるミツバチに刺されたことによるもので、被害に遭った乗客の男性の写真が公開され、衝撃が広がっている。ニカラグアのニュースメディア『La Nueva Radio YA』などが伝えた。

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悲劇が起きたのは8日朝のことで、ニカラグア北部ヒノテガ県サン・セバスティアン・デ・ヤリのラ・リカに向かっていたバスが車道から外れ、コーヒー農園がある50メートル下の渓谷に転落した。

同農園には「アフリカナイズドミツバチ」の巣箱が多数設置されており、転落したバスから這い出した人々はたちまちミツバチの群れに取り囲まれ襲撃を受けた。

アフリカナイズドミツバチは防御本能が非常に強く、巣に近付くと集団で襲い何度も執拗に刺すことで知られており、攻撃性が高く凶暴なことから“殺人蜂”とも呼ばれている。そのため地元の人々は当時、バスに近付くことさえできず、しばらくして到着した救急隊や消防士らが救出作業を行った。

しかしながらこれまでに47歳と8歳の母娘、84歳、32歳、24歳、19歳の6人の死亡が確認されており、ミツバチに体中を刺された男性の写真が公開されると衝撃が広がった。Tシャツをめくった男性は、顔を含む上半身全体が紫色の斑点で覆われており、まるで重症の水疱瘡患者のようにも見えるのだった。

この事故を受け、バスの運転手サントス・イシュマエル・ヘレラさん(Santos Ismael Herrera、22)は「機械的な故障により、バスのコントロールができなくなった」と話しているようだが、当局は現在、事故原因を調査中で詳細については明らかにされていない。

なお米「スミソニアン博物館」のウェブサイトによると、アフリカナイズドミツバチは1957年にブラジルで研究用に飼育されていたアフリカミツバチが逃げ出し、現地で飼育されていたセイヨウミツバチと交雑した種で、今ではメキシコやアメリカ南部にも広がっているという。生命力が強く、良質なプロポリスを作り出すことから中央アメリカでは養蜂に利用されているが、このハチによる死者は後を絶たないようだ。

ちなみに昨年8月には米オハイオ州で、木の伐採をしていた20歳の男性がアフリカナイズドミツバチに約2万か所を刺され、昏睡状態に陥っていた。

画像は『La Nueva Radio YA 2023年5月8日付「Tragedia en Yalí」』『La Señal Azul y Blanco 2023年5月8日付「Fallecen 4 personas entre ellas una niña de 8 años por picadura de abejas」』『100% Noticias 2023年5月8日付「Cuatro muertos por picaduras de abejas al caer bus a barranco en Yalí, Jinotega」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 A.C.)