「アホだなあ」が褒め言葉! パクリ、サメ、モンスター、ゾンビ…バカバカしくて香ばしい、U-NEXT映画部激オシ「タイパくそくらえムービー」

ディープな未公開洋画の世界には、「なぜこれを劇場公開しなかったの?」というレベルの高いものから、「なんじゃこりゃ!」と言いたくなる香ばしい映画も存在する。その奥深い魅力を、U-NEXT映画部の5人が解説する。

パクリ…ではなく愛あるオマージュ?

U-NEXT映画部の面々。左から小林哲雄さん(編成制作本部 映画部 担当部長 兼 国際部)、齊藤瑶さん(編成制作本部 映画部)、宮嶋僚子さん(編成制作本部 映画部)、君嶋裕樹さん(編成制作本部 映画部)林健太郎さん(編成制作本部 映画部長)

我々は大ヒット作品をパクった(オマージュした?)作品を“マリーシア映画”と名付けました。そもそも“マリーシア”とは、サッカーの世界で“相手や審判を出し抜く狡猾さ”のように使われる言葉。駆け引き自体を楽しむ成熟した“したたかさ”というニュアンスも含まれます。ヒット作の人気に乗っかった “マリーシア映画”のケレン味を、大人の余裕で楽しんでほしいですね。

齊藤 とはいえ、僕は事前アンケートで『イカスゲーム』(2021)を挙げましたけど、コンマビジョン(日本のDVDビデオソフトメーカー)作品は完全に18禁案件なので、ちょっとロードショーさんで語るのは厳しいような(笑)。『ハリー・ホッターとスケベな椅子』(2012)とかね、色々あるんですよ。それはそれで大特集を組めるぐらい。初投入したときから一部界隈からは熱い支持を得ています(笑)。

©️2022 Acme Holding Company, LLC. All Rights Reserved.

noteに記事を書いたときに取り上げているのは、全部去年売れたやつなんですよ。最近だと『シン・タイタニック』(2022)が売れ筋ですね。

SNSで大人気! 奥深いサメ映画の世界

ここはぜひ、サメ映画もアピールしたいところ。齊藤くんが頑張っています。

齊藤 サメ映画は、めちゃくちゃ人気ありますね。3~4年前に“35シャーク”と名付けてサメ映画35作品を集めた特集をやったんですが、ここ数年で50作品は超えました。また、近年はサメ以外のモンスターも続々映画に登場していてSNSでもバズっているのですが、直近だと『キラー・カブトガニ』(2021)という新作がイチオシですね。

©2021 RAVEN BANNER ENTERTAINMENT INC.
5月1日(月)より配信

特にサメ映画は知的風ハットさんなどのインフルエンサーの方の影響力も大きくて、Twitter界隈とのクラスターと親和性も高いんですよね。だからバズると「おもしろそう」とつられて見てしまう。で、「アホだなあ」とかSNS上でワイワイ突っ込むという楽しみ方ですね。

あとはサメ映画の楽しみどころは発想ですよね。砂漠を泳ぐとかトイレからサメが出てくる、空からサメが降ってくるなど、次はこう来るか! というネタとしての楽しみが一番大きいのかなと思います。

これもまた映画の深みだと思うんですよね。バカバカしさをみんなで笑い合って、お金を払うというのも作法かなと。

宮嶋 『エクソシスト・シャーク』(2015)とか『ウィジャ・シャーク』(2020)シリーズとか、なんだかすごいですよね(笑)。やばいですね。ダジャレの世界でもありますね。

僕は、これこそがレンタル店が生んだ文化だと思っていて。送り手と受け手の駆け引きを楽しむためには、騙されたと言って怒るんじゃなくて笑うという文化、作法が、まずベースにないといけない。

ちょっと真面目な話をすると、レンタル店から配信になると、このジャンルがぐっと減りつつあります。でも、僕らはそこも作り上げられたらいいなと思っていて、そういう会社さんとも一緒に契約してやっているわけです。U-NEXTはかなり充実していると思いますね。最近だと『シン・タイタニック』とか、タイトルはしょうもない感じですけど、中身はそれなりの作品もあります。

君嶋 いや、中身もそうでもなかったですけど(笑)。

ゾンビ映画は壮大な大喜利大会である!

© 2018 Realm Productions Inc. All Rights Reserved

君嶋 僕、ゾンビ映画がめちゃくちゃ好きなんですけど、結構わかりやすくちゃんと予算をかけたものと、邦題で『~オブ・ザ・デッド』さえつけておけば、僕みたいな物好きが見にいくタイプの映画が存在します。『インスタ・オブ・ザ・デッド』(2018)は間違いなく、僕のために作られたタイトルですね(笑)。ちなみに原題は『Anonymous Zombie』だから全然違う。

ゾンビ映画の醍醐味は、ゾンビと何を掛け合わせたらおもしろくなるかの大喜利大会みたいな感じ。それはサメ映画と通じる部分というか、サメよりもずっと前からゾンビはそれがやられていて、その中でもこの『インスタ・オブ・ザ・デッド』(2018)は、なるほどパリピと掛け合わせるのかと。これは見るしかないなと思ったんですけど、中身はひどかったですね(笑)。

内容的には別にインスタと関係なかったんですよ。でも本当にマリーシアの話とも通じますが、タイトルにつられて見て、仮に内容がアレだったとしても、笑い飛ばせる楽しさがあるのがこのジャンルのいいところですよね。

ユーザーのほうも作品評価の星が2個とか、ちゃんと低評価をつけてくださっているのがいい(笑)。

君嶋 でも、たまに本当におもしろい作品もあるんですよ。今は有名な監督が、実は最初は低予算のホラー映画を撮っていたという話はよくありますよね。なので、実は掘り出し物もあるという。

例えば今売れてる『ハッピー・デス・デイ』(2017)の監督のクリストファー・B・ランドンさん。2015年にゾンビ映画『ゾンビワールドへようこそ』(2015)を撮っています。当時はあまり知られていなかったんですけど、「この監督おもしろいな」と思ったんですよね。で、そのうちにどんどん売れていったので、ひそかに「俺が育てた」ぐらいな気持ちです(笑)。だからゾンビ映画がやめられないし、見逃せない部分もあるんですよね。

齊藤 トロマ(詳しくはU-NEXT映画部特集#4にて)だって、ジェームズ・ガンを輩出してますしね。

ビジネスという視点でも、日本のレンタル店の華とも言えるVシネマと共通するところがあるよね。

君嶋 僕思うんですけど、なんか近頃タイパとかよく聞くじゃないですか。でもタイパで考えたら、この手の映画は最悪じゃないですか(笑)?

タイパに囚われちゃった人は、もうこの辺をU-NEXTで根こそぎ見てほしいですね(笑)。

齊藤 「タイパくそくらえムービー」としてね(笑)。

取材・文/今祥枝

U-NEXT映画部

2023年4月現在は総勢5名。100社を超える映画会社と向き合いながらの作品調達、映画作品をテーマ別にキュレーションした特集の制作、「ONLY ON U-NEXT」として打ち出す独占先行作品の選定と交渉、映画作品への出資、映画祭との連携等々、映画に関することの全般を手掛ける。

U-NEXT

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U-NEXT映画部のnote

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