那須町で2017年3月、登山講習中の大田原高校の生徒と教諭合わせて8人が雪崩に巻き込まれて死亡した事故で、業務上過失致死傷の罪に問われている講習会の責任者だった教諭3人の裁判が12日、宇都宮地方裁判所で開かれ、救助を行った山岳救助隊の男性が「雪崩の危険性が高かった」と当時の状況を証言しました。

 業務上過失致死傷の罪に問われているのは当時の講習会の責任者の猪瀬修一被告56歳と8人が亡くなった大田原高校の班を引率していた菅又久雄被告54歳、後続の班を引率していた渡辺浩典被告60歳の3人の教諭です。

 裁判では雪崩を予見できたかなどが争われています。今回の証人尋問で証言台に立った雪崩事故の当日に那須山岳救助隊の隊員として救助活動に入った植木孝さんは、雪に埋もれた生徒たちを救助していった詳細な様子を話しました。これを聞いた遺族は目に涙を浮かべていました。

 さらに植木さんは救助時の現場の様子について雪がたくさん降り新しい雪が積もったうえ、急な斜面だったので雪崩の危険性が高かったと指摘しました。そして、弁護側の教諭が再三引き返す指示を出したものの、生徒が従わなかったという主張については、中学校の教諭を務めていた経験も踏まえ「命に関わることなのでどんな方法を使ってでも止めなきゃいけないのが先生だと思う」と述べました。

 また、講習会の本部として使われていた旅館の経営者の男性は事故当日、玄関に積雪が30センチ以上から40センチあったと証言し弁護側の15センチの積雪だったとする主張と食い違いました。男性は猪瀬被告がこの玄関から生徒のいるスキー場に向かったとしています。

 次回の公判は、5月9日に開かれます。