新型コロナウイルスの新たな感染対策「五つの基本」で生活様式がまた変わる
厚生労働省が提言した、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行した後の「五つの基本」という感染対策について、医師の中路先生に解説していただきました。
監修医師:
中路 幸之助(医師)
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
厚生労働省が提言した「五つの基本」とは?
厚生労働省の専門家会合が提言した新型コロナウイルスが5類に移行した後の感染対策の「五つの基本」について教えてください。
中路先生
今回、厚生労働省の専門家会合が提言した「五つの基本」は、国立感染症研究所長の脇田隆字氏ら専門家有志がまとめた内容になります。提言では5類移行の見直しがおこなわれた後に求められる感染症対策についての見解を、「新たな健康習慣」として下記のようにまとめました。
①体調不安や症状があるときは自宅で療養する、もしくは医療機関を受診する
②その場に応じたマスクの着用やせきエチケットの実施
③3密を避けることと換気
④手洗い
⑤適度な運動と食事
また、発熱などの症状がある場合には自宅療養や医療機関を受診することや、職場や学校などで休暇を取得しやすい環境整備についても言及しました。加えて、高齢者や持病のある人と会うときは、体調管理をしっかりとおこなうことも求められました。
2020年に示された「新しい生活様式」との違いは?
2020年5月に専門家会議が示した感染対策についての「新しい生活様式」と何が変わったのでしょうか?
中路先生
2020年に出された「新しい生活様式」と比較すると、大きく4つの点で違いが出ています。
まずは、マスクについてです。これまでは、外出時や屋内で会話するときは、人との間隔がとれない場合は症状がなくてもマスクを着用することが呼びかけられていました。しかし、今回出された見解では「その場に応じたマスクの着用」としていて、マスクの着用については適宜状況を判断しておこなうようになりました。外出時はマスクを常備しておき、着用が呼びかけられる場面では着けることが求められます。
次に変わったのは間隔についてです。これまでは2m以上の距離を取ることなどが求められていましたが、今回は人との間隔についての具体的な記載がなくなりました。
それから移動についても変化しています。これまでは新型コロナウイルスの流行地域からの移動や流行地域への移動を控えることが求められていましたが、今回は移動についての呼びかけがありませんでした。
日常生活への記載も変わっていて、これまでは食事やイベント参加などの場面ごとに対策が求められていました。しかし今回は、具体的な場面が示されることはありませんでした。
「五つの基本」への受け止めは?
今回、提言された「五つの基本」についての受け止めを教えてください。
中路先生
新型コロナウイルスが5類になったとしても、現在の感染状況が変わるわけではありません。医療機関の受診時や高齢者施設訪問時には、今までと変わらずマスク着用が必要です。TPOに合わせて服装を変えるように、メリハリのあるコロナ感染対策が求められます。
まとめ
今回は、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行した後の感染対策の「五つの基本」を厚生労働省が提言したことについてのニュースをご紹介しました。こうした内容をしっかり把握し、適切な感染対策をすることが重要となりそうです。
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