「ドライアイ」を放置するリスクはご存知ですか?医師が監修!

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日常生活を送っているうえで、目が乾いたりゴロゴロしたりなどの経験はありませんか?

「ドライアイかもしれない」と感じていても、市販の目薬を使用し対処しているだけの方も多いでしょう。ドライアイはそのまま放置してしまうと、重症化するリスクも考えられる症状です。

この記事では、ドライアイの症状から原因・治療方法・検査・放置するリスクについてお伝えします。

とくに目に何かしらの異常をきたしている方は、ぜひ最後までご覧ください。

ドライアイの症状

ドライアイとは環境・加齢・生活習慣など、さまざまな原因により目の不快感や見えにくさなどが生じる症状です。ドライアイという概念は以前より存在しており、「乾性角結膜炎」という病名で呼ばれ、「涙液が減少し角結膜上皮が乾性のため障害を受ける疾患」であると考えられてきました。
しかし現代では上記のようなさまざまな原因とともに、「涙液の量は保たれているのに目の表面にとどまる力が弱い」と考えられ、自覚症状と視機能異常を訴える症状に変わってきました。時代とともにドライアイに関する理論や社会情勢が変化するとともに、ドライアイの概念も変わってきているのです。ドライアイの症状としてみられるものに以下のような症状が挙げられます。

乾く

ゴロゴロする

開けにくい

疲れる

充血

眩しい

このような自覚症状がある場合、ドライアイの可能性は高いでしょう。通常目の表面には涙液膜と呼ばれている膜が存在しており、目の表面を崩れずに1枚の膜のように覆っています。しかし何らかの原因でドライアイが引き起こってしまうと、涙液膜が崩れやすく目の表面に傷ができてしまうこともあります。
目は生活するうえで欠かせない機能の1つであり、ドライアイの症状によって生活の質が落ちたり、周りがよく見えず命の危険に陥ったりすることも十分考えられるでしょう。また、ドライアイは症状によって下記の3つに分けられます。

涙液が量的にも質的にも低下する涙液減少型ドライアイ

瞼の裏側にある涙液の油分を分泌している器官であるマイボーム腺の機能低下で起こる蒸発亢進型ドライアイ

涙液の分泌や角結膜上皮は正常だが涙液層の破壊時間が短いBUT短縮型ドライアイ

ドライアイの原因


ここからはドライアイの原因についてみていきましょう。大きく分けて4つの原因が挙げられます。原因を確認していくと分かるように、ドライアイは誰にでも起こり得る症状といえるでしょう。

加齢

年齢を重ねるごとに涙液の量や性質は低下していきます。性別関係なく起こりますが、男性よりも女性の方がドライアイになりやすい傾向にあります。シェーグレン症候群が原因で引き起こされる重度のドライアイも女性の割合が多いです。
女性の割合が多い理由は、女性ホルモンが関係しているのではないかといわれています。また、先述したマイボーム筋の機能低下も加齢が関係しています。

空調

時代の変化とともに電化製品の進化が進み、現代の生活は非常に豊かなものとなりました。自宅・職場・店舗など、どこの建物内にもエアコンが設置され常に動いている状態です。そのため体感していなくても常に空気は乾燥している状態となり、涙液の蒸発を促してしまいます。
エアコンが効き過ぎていたり送風を直接受けたりするような事態や、低湿度や低温の環境下はドライアイを悪化させてしまうのです。

生活習慣

電化製品の進化と同時にデジタル化も進んでいます。日常生活にスマートフォンやパソコンなどの電化製品は欠かせないものです。動画配信サービスもさまざまあり、日頃から目を酷使している方は多いでしょう。このようなパソコンやタブレットを用いた作業をVDT作業と呼び、長時間のVDT作業はドライアイの原因になり得ます。涙液は瞬きをすることで、安定的に目の表面にとどまっています。
しかし画面を見続けて目を酷使することで必然的に瞬きの回数が減り、目が乾きやすくなってしまうのです。

コンタクトレンズ

時代の変化とともに、便利で誰でも手に入りやすくなったものの1つにコンタクトレンズもあります。視力矯正のほかに、ファッションの一環としてカラーコンタクトレンズを使用している方もいるでしょう。コンタクトレンズを着用することで、目の表面を覆っている涙液膜をレンズの表と裏の2層に分けてしまいます。
涙液膜は元々薄いですが、コンタクトレンズを着用することでより薄くなってしまい、涙液は不安定となりドライアイの症状が引き起こされるのです。コンタクトレンズは比較的違和感なく使えるので長時間や長期間着用する方も多く、そのため目の表面が傷み涙液の安定性が損なわれてしまいます。

検査と治療


ドライアイの検査としてまずは問診を行います。そしてドライアイの診断に欠かせない検査としてフルオレセインと呼ばれる検査を行います。フルオレセインは、染色液を点眼しフルオレセイン試験紙を用いて目の縁にあて染色し、涙液がどのくらいで崩れるかなどを調べる方法です。
また、涙の分泌を調べる検査として、シルマーテストと呼ばれる検査をすることもあります。治療法としては大きく分けて2つに分けられます。

点眼液の使用

原因となっている悪循環を減らす

点眼液にもさまざまな種類があります。軽症の時によく使われるものとしては下記のとおりです。

生理食塩水をベースにした人工涙液

保湿効果の高いヒアルロン酸が配合されたヒアルロン酸製剤

副腎皮質ステロイド点眼液

また、涙液の成分にも含まれている糖とタンパク質が結合してできているムチンの分泌を促進する作用があるとして、ジクアホソルナトリウムやレパミピドが配合された点眼液も登場しています。市販の点眼液を使用する方もいますが、目に合わずドライアイを悪化させてしまう原因になっている場合もあるため、自己判断で買わずに眼科できちんと検査をしたうえで医師に適切な点眼液を処方してもらうことが望ましいでしょう。
原因となっている悪循環を減らすために、生活習慣を振り返ってみましょう。

冷暖房が効き過ぎている場合は加湿器を取り入れる

コンタクトレンズの使用時間や期間を減らし、メガネも活用する

VDT機器を使う場合は1時間に10分の休憩を挟み姿勢にも気をつける

日頃の行いのちょっとした改善で、ドライアイの原因要素を取り除くことに繋がるでしょう。

ドライアイを放置するリスク

「ドライアイかもしれない」と感じていても、忙しくて眼科に行けない・点眼液を使用していれば大丈夫などと解釈し、放置してしまう方もしばしばみられます。放置してしまうと徐々にドライアイの症状は深刻になり、目に更なる異常をきたす可能性が高くなってしまいます。では、放置するリスクについてみていきましょう。

視力低下

ドライアイの概念は年々変わってきており、視機能障害、いわゆる視力低下を生じる疾患にまで発展してきています。ただし、ドライアイの症状があるからといって急速に視力が低下するわけではありません。目を酷使するVDT作業・運転・読書など長時間細かい作業を行うことでドライアイが進行し、徐々に視力が低下する傾向があるのです。

角膜感染症

目には黒目と呼ばれている厚さ約0.5mm程度の透明な組織部分があり、これを角膜といいます。何らかの原因で病原性を持った微生物が黒目に付着し、炎症が起きている状態を角膜感染症と呼んでいます。角膜感染症が起こる要因はさまざまありますが、大きく関係しているといわれているのがドライアイの症状です。また、ドライアイを改善するために長期的にステロイド剤が配合された点眼液の使用した場合も原因となる可能性があります。さらにドライアイの原因にもなるコンタクトレンズの着用も、関連しているケースが少なくありません。角膜感染症を引き起こさないためにも、そもそもドライアイにならないことや、症状があっても悪化させないことが重要です。

すぐに病院に行った方が良い「ドライアイ」症状は?

目の見えづらさがある、充血している場合

頭痛や吐き気、眩しさなどがある場合

これらの症状の場合には、早めに病院受診を検討しましょう。

行くならどの診療科が良い?

主な受診科目は、眼科です。

問診、涙の量を調べるためのシルマーテスト、涙の質を調べるための涙液層破壊時間(BUT)検査、細隙灯顕微鏡検査、蛍光色素試験などが実施される可能性があります。

病院を受診する際の注意点は?

持病があって内服している薬がある際には、医師へ申告しましょう。
いつから症状があるのか、他に症状はあるのかなどを医師へ伝えましょう。

治療する場合の費用や注意事項は?

保険医療機関の診療であれば、保険診療の範囲内での負担となります。

まとめ


ドライアイは私たちの生活に身近に存在する症状です。加齢や生活習慣などが原因となり、誰にでも起こりやすく避けられない症状の1つでもあります。

しかし、日頃からドライアイの原因をなるべく避け意識的に気をつけることで、たとえドライアイの症状を感じても軽症で抑えられるでしょう。

症状に合った点眼液の使用も改善に繋がります。ドライアイを悪化させないために、まずは眼科できちんと検査をし、ご自身にあった点眼液を使用していきましょう。

参考文献

ドライアイに悩む方へ(日本眼科医会)

角膜感染症(日本眼科学会)