0~14歳の転入超過が多い街、1位はさいたま市! 子育てファミリーは都心から郊外へ
2020年からの新型コロナウイルス感染症拡大によって、テレワークが増えるなど生活の変化が起こりました。それに伴い、住まい選びのあり方も大きく変わってきています。コロナ禍当初は、東京から脱出し、郊外や地方に住まいを求める人が増えました。そして、ウイズコロナが定着してきた2022年には、再び東京への回帰が始まりました。ただし、年代によって、住まいの地域選びには大きな違いがあるようです。
東京への人口移動が再び増加傾向に
内閣府統計局の「住民基本台帳人口移動報告」によると、東京都への人口の転入超過数(転入者数から転出者数を差し引いた数。転入超過数がマイナスの場合は、転出超過を示す)は、コロナ禍によって2020年に大幅に減少。東京23区に限れば、2021年には2014年の同調査開始以降では初めて転入超過数がマイナスになりました。長く続いてきた東京一極集中の流れから、郊外や地方への移動が増えるなど、人口移動に大きな変化が起きたのです。
しかし、2022年にはコロナ禍も3年目を迎え、次第にウイズコロナの考え方が強まってきました。すると、やはり交通アクセスに恵まれ、生活利便施設のそろった都心やその周辺のエリアに住みたいと考える人が増加。2022年は東京都への転入超過数が回復しました。
そのなかで注目したいのが、転入超過数の多い市町村には、年代別に大きな違いがあるという点です。かつてのように、東京への一極集中だけではなく、年代によって考え方が異なり、多様化が進み始めているようです。
0~14歳の転入が一番多いのは埼玉県さいたま市
全世代でみると、2022年に全国の市町村のなかで最も転入超過数が多かったのは、東京都特別区部の2万1,420人。2021年のマイナス1万4,828人から3万6,248人の大幅増加となりました。
次いで、さいたま市の9,282人、大阪市の9,103人など、そもそも人口規模の大きい市町村で転入超過数の増加が目立っています。
しかし、年齢区分別にみると大きな違いがあります。図表1にあるように、0~14歳の子どもの転入超過数が一番多いのは埼玉県さいたま市の1,520人。以下、東京都町田市の948人、茨城県つくば市の766人、千葉県流山市の758人、千葉県印西市の713人など、都心やその周辺というよりは、準郊外、郊外と言えるエリアが上位を占めています。東京都特別区部、大阪市などは上位に入っていません。
0~14歳の子どもがいる世帯は、ファミリー層のなかでも比較的若い世代が多く、東京の都心や大阪市などの住宅価格の高いエリアではなかなか購入できないということも考えられます。小さな子どものいるファミリー世帯は、住宅価格が比較的安くて購入しやすく、子育て環境が整っている郊外や準郊外エリアの市町村を選ぶ傾向が強いとみていいのではないでしょうか。
さいたま市は7年連続転入超過数全国トップ
0~14歳の転入超過数が最も多いさいたま市は、人口130万人ほどの政令指定都市です。全国的に人口減少に悩む自治体が多いなかで、さいたま市では子育て支援施策などに力を入れており、市内に転入する若い世代が増えています。0~14歳の転入超過数が全国トップになるのは7年連続だそうです。
教育にも力を入れています。特に浦和区は教育環境が整った文教エリアとして知られていますが、小学校1年生から中学3年生までの9年間一貫して英語を学ぶ「グローバル・スタディ」を実施。文部科学省の令和3年度「英語教育実施状況調査」で、中学3年生の英語力が全国一になりました。
そのほか、2022年には原油価格・物価高騰の対策として「子育て世帯生活支援特別給付金」を実施し、児童1人当たり5万円を支給するなど、金銭的な支援も行っています。
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流山市民の9割以上が継続居住意向
0~14歳の転入超過数が4位の千葉県流山市も、子育てに力を入れている自治体として知られています。「母になるなら、流山市。」「父になるなら、流山市。」を合言葉に、市長が率先して子育て支援を積極的にバックアップしています。
たとえば、保育園数は2010年度には17園だったのが、2022年度には102園に。また、市内の保育園に子ども送迎する「送迎保育ステーション」を設置し、働きながら子育てする世帯を支援しています。
市内の小中学校では、ティーム・ティーチング、ALT(外国語指導助手)を導入した教育を行い、児童・生徒1人1台のタブレット端末の配布もいち早く実現しています。
こうした各種の施策が広く知られるようになり、子育て中の世帯だけではなく、将来の子育てを念頭に置いた若い世代の流入が増加。2022年には人口も20万人を超す規模になりました。しかも、注目したいのは、流山市のアンケート調査では、市民の91.4%が、「これからも流山市に住み続けたい」と答えている点です。
参考記事:【本当に住みやすい街大賞2023】第2位 流山おおたかの森:仕事をしながら子育てがしやすい「都心から一番近い森のまち」~流山市 井崎義治市長に聞く~
子育て世帯が増えれば、子どもの声が飛び交う活気のある街が形成され、それがまた次の人口を呼ぶという好循環が期待できます。子どもたちが増えている街というのが、住まいのエリア選びに当たっての重要な指標のひとつになりそうです。
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労働力人口の転入が一番多いのは東京都特別区部
住民基本台帳人口移動報告では、0~14歳のほか、15~64歳のいわゆる労働力人口、65歳以上の高齢者に分けて、自治体別の転入超過数の多い市町村のランキングを作成しています。
15~64歳の転入超過数が一番多いのは、図表2にあるように東京都特別区部の4万7,678人。次いで大阪市が1万3,188人、横浜市が8,814人など、大都市が上位に並んでいます。
やはり、この世代であれば、通勤や通学の便などを考えて、大都市圏のできるだけ中心部に近いエリアに住みたいと考える人が多く、そのため、大都市部へのこの世代の流入が増えているのではないでしょうか。
高齢者の転入が一番多いのは北海道札幌市
65歳以上の転入超過数が多かったのは、札幌市の2,278人がトップで、以下福岡市709人、さいたま市701人、千葉市697人、相模原市593人などとなっています。
札幌市の多さが突出していますが、上位5位までの都市に共通しているのはいずれも政令指定都市であり、地域の中心的な都市であるという点です。それだけ各種の都市機能が集中し、交通アクセスや生活利便施設などに恵まれ、特に高齢者にとって生活しやすい街と言えるでしょう。
なかでも、札幌市に関しては、冬場の積雪などを考慮すれば、郊外の戸建て住宅よりは中心部近くのマンションのほうが雪下ろしの心配がありません。また、室内も暖かく、基本的にフラットなバリアフリーで安心して暮らせるというメリットがあります。道内のほかの市町村からの流入が多く、それが飛び抜けた転入超過数の多さにつながっているようです。
それぞれの年代に応じて住みやすい、生活しやすい街は変わります。それは、人口移動調査による人の動きからもそれをうかがい知ることができます。ぜひエリア選びの参考にしてほしいところです。
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