2018年に麻雀のプロスポーツ化を目指し発足したMリーグ。今年1月の『アメトーーク!』ではMリーグ芸人が行われるなど、老若男女問わず、ますます注目度は高まっています。そんななか、現在は、8チーム32人のMリーガーたちがしのぎを削る、2022-2023シーズンが佳境を迎えています。今シーズンはどんなドラマが生まれるのか、3月末で決まるセミファイナル進出チーム、その後続くファイナルまで目が離せません。昨シーズン(2021-2022)、劇的な優勝を飾った「KADOKAWAサクラナイツ」。そのメンバーであるMリーガーの岡田紗佳さんは、プロ雀士としての顔のほか、モデル、タレント、グラビアアイドルとしても知られています。岡田さんのMリーグへの思いや、活動などを伺いながら、Mリーグの魅力を前後編でお届けします。

 

岡田紗佳●おかだ・さやか…1994年2月19日生まれ。東京都出身。O型。モデル、タレント、グラビアアイドルとして活動する中、2017年に日本プロ麻雀連盟所属のプロ雀士となる。2019年にKADOKAWAサクラナイツからドラフト指名を受け、Mリーガーとして活躍している。雀士としてのキャッチフレーズは「役満ボディ」「完全武装アフロディーテ」。Twitter/Instagram

 

【岡田紗佳さん撮り下ろし写真】

Mリーグができたことで今では憧れられる職業になったかなと思います

──『アメトーーク!』ではMリーグ芸人が放送され、岡田さんもご出演されましたが、放送後の反応や反響はいかがでしたか?

 

岡田 麻雀プロとして関わりがなかった関係者の方からたくさん連絡がきましたし、イベントでも親子連れの方が増えました。あと、Twitterのフォロワーが一気に増えました(笑)。一週間で、2〜3万ぐらいでしょうか。「今まで麻雀に興味なかったけど、これを機に覚えたくなった」という声は、やはり嬉しいですね。あと、Mリーグサイドの見解としては、「これまでマイナーだった存在が、地上波の番組で大きいトピックとして扱われるまでになった!」という感じで喜んでいました。

 

──岡田さんはモデルやタレントとして活躍されていましたが、そんな中で17年にプロ雀士になりました。きっかけは何だったのでしょうか?

 

岡田 大学生のとき(16年)に『大学対抗麻雀駅伝in箱根』という番組に呼ばれたんですが、そのときに、今所属している日本プロ麻雀連盟の方に「プロに興味はありませんか?」とお声掛けしていただいたのがきっかけです。それまでプロになろうと思ったことはありませんでしたが、何でも勉強したり、挑戦したくなるタイプなので、「やってみようかな?」と。それから半年から1年ぐらいかけて、滝沢和典さんや山田浩之さんの勉強会で、点数計算や役から打ち方までいろいろ教えていただき、プロテストに合格しました。

 

──今はプロ雀士としても活動されていますが、プロ雀士の主な活動とは具体的にはどういったことでしょうか。

 

岡田 主に参加費を払って、リーグ戦や大会に参加することです。全国で3000人ぐらいプロ雀士いますが、その中で実況解説をしたり、イベントにゲストとして呼ばれたり、観戦記を書いたり、何かしらのメディアに携わっている人が50人ぐらい。そのほかの人は会社員や雀荘の店員など、兼業しているかと思います。そんななか、Mリーグができたことはとても画期的なことだと思います。Mリーグでは最低年俸も保証されているので、プロとして麻雀で生活できるようになり、子供たちにも楽しんでもらえるようになり、今では憧れられる職業になったかなと思います。

 

──『熱闘!Mリーグ』(テレビ朝日)でも「Mリーガーになりたい」と憧れている子供たちの声が多くなっているような気がします。そんななかで、岡田さんがプロとしての意識していることはありますか?

 

岡田 私は何かを意識しているとかではなく、自分らしい麻雀をして、その試合を見て応援してくださる方が「明日も頑張ろう」と思ってもらえるために勝ちたいと、常日頃から思っていますね。

 

2022-2023シーズンは一からやり直す気持ちで臨んでいます

──2019-2020シーズンから「KADOKAWAサクラナイツ」がMリーグに加わり、岡田さんもサクラナイツのメンバーとして、Mリーガーデビューされました。Mリーガーになったことでの心境の変化はありましたか?

 

岡田 Mリーグはあくまでも団体戦なので、自分のミスがチームのマイナスになってしまうんです。そのプレッシャーは通常の大会とは違いますし、チーム全体のサポーターになっていただける方が多いので、家族感が強い一方、背負う緊張感や責任感も違いますね。あと、試合中に控室にあるモニターを通して、いろいろと意見交換や勉強ができるんです。そんなチームメイトがいることがとても心強いです。

 

──となると試合前の緊張感も普段とは異なると思うのですが、試合前のルーティンなどはあるのでしょうか。

 

岡田 ルーティンは特にありません。前日もしっかり寝て、しっかり食事をとって、とにかく健康に気を遣って、通常の生活を送るだけですね。ルーティンを作ってしまうと、「あれをやらなかったら、負けるんじゃないか……」と思うようになりそうで、それがメンタルに一番良くないと思いますし。食事で気をつけていることは……基本食べたいものを食べているのですが、タンパク質と野菜、あとは脳を働かせるため、お米で糖分をとることかな。試合当日も、ラムネなどでブドウ糖をとるようにします。

 

──現在、2022-2023シーズンも佳境を迎えていますが、昨シーンのことを振り返らせてください。昨シーズンはサクラナイツが優勝しましたが、その時の心境を教えてください。また、優勝したことで、今シーズンの気持ちの変化はありましたか?

 

岡田 昨シーズンはチームメイトの沢崎(誠)さんが病気療養をされ、入院されていたこともあり、チーム全体で優勝に懸ける思いがより一層強くなりました。沢崎さんには「俺が出ないことで負けてしまった」と思ってほしくなかったですし、残りの3人の結束力が高まったと思います。昨シーズン優勝したとはいえ、新たに渋川(難波)さんが入った今シーズンでは心機一転、もう一度チャレンジャーとしての気持ちで、一からやり直す気持ちで臨んでいますね。

 

ペットボトルのキャップは締められないわ、食べ散らかすわ…サクラナイツはそんな人ばかり(笑)

──そんなサクラナイツのメンバーを紹介してください。

 

岡田 内川(幸太郎)さんは、とても男気ある優しい方。沢崎さんの後、チームを引っ張るというよりは、まとめようとしてくれるリーダー的な存在です。堀(慎吾)さんは、月に2〜3回の勉強会で一緒に学ぶ機会が一番多いですが、とてもおちゃらけています(笑)。麻雀に関しては尊敬していますが、麻雀以外のことは何もできないんじゃないかと思っています(笑)。新しく入った渋川(難波)さんは堀さんと似ているところが結構あって、麻雀以外はどこか抜けている(笑)。あと、どこか柔らかさがあって、応援したくなるタイプの方ですね。森井(巧)監督はチームメイトと同じ目線で見てくれる仕事ができる方ですが、プライベートはやっぱり……(笑)。サクラナイツはそんな人ばかりで、ペットボトルのキャップは締められないわ、食べ散らかすわで……(笑)。誰も取り繕っている感じはないですね。

 

──そんな個性的なメンバーの中で岡田さんは、どのようなキャラクターですか?

 

岡田 私はツッコミがメインですね。試合中、森井さんがとにかく焦っていることが多くて、「もうダメだ!」とか「何でこんなツイてないんだ!」と言ったり、貧乏ゆすりが始まったりしてしまうんです。そこで私が「森井さん、大丈夫ですから!」と、できるだけチームの雰囲気をよくしようと思っています。あと、昨シーズン中に、堀さんが足首を骨折してしまったんですが、そのときは私がウーバーイーツで食べ物を送っていました。と言っても、内川さんが一番チームをまとめて面倒を見てくださっていて、私はその次だと思います。

 

沢崎さんからの言葉は今も大事にしています

──先ほどもお名前が上がりましたが、沢崎さんはデビュー時からチームメイトして戦ってきました。プロ雀士としても大ベテランでチームをけん引されていた沢崎さんからの教えで、特に印象に残っている言葉はありますか?

 

岡田 チームに入って、1年目のときはプレッシャーに押しつぶされることが多かったんです。そんなとき、沢崎さんから「おかぴーは他人の批判を気にせず、自分の麻雀を打ち続ければいいよ」「麻雀を楽しむことがいちばん大事」といった麻雀に対する心持ちを教えてくれました。その言葉は、今も大事にしています。沢崎さんの領域に行くには、まだまだ時間がかかりますが、いつかは沢崎さんのようなプロ雀士になりたいです。

 

──現在、「2022-2023シーズン」のレギュラーシーズンが佳境を迎えています。

 

岡田 レギュラーシーズンを突破できるか、この先どうなるか分からない状態なので、何とも言えないですが、私的にもチーム全体的にも、サクラナイツを常にファイナルに残るチームにしたいと思っているんです。なので、1ポイントでも多く稼いで、セミファイナル、ファイナルに行けるよう、常に先のことを見ていきたいですね。

 

サポーターが喜んでくれたり、Mリーグファンが増えたりすることの方が大事

──Mリーグのレギュラーシーズンの試合とは異なりますが、岡田さんは、昨年の「麻雀最強戦Mリーグスペシャルマッチ」で “国士無双十三面待ち(コクシムソウジュウサンメンマチ)”を上がられました。役満の中でもあまりお目にかかることのない役で、YouTubeでも多く切り抜き動画が上がっていてかなり見られていますが、テンパイしたときも、上がった際にもあまり表情が変わらなかったように見えました。内心はいかがでしたか?

 

岡田 普通のリーグ戦と違って、その半荘でトップを取らなきゃいけない決勝戦だったので、上がったときは逆にプレッシャーしかなかったです。私はネガティブな性格なので、“国士無双十三面待ち”で上がって嬉しい気持ちはあっても、「こんな幸運に恵まれたのに、もし優勝できなかったらプロとして恥ずかしい」とその時は思っていました(結果は優勝)。今となってはYouTubeで何回も見返していますが……(笑)。

 

──Mリーガーとしての岡田さんの今後の展望や目標を教えてください。

 

岡田 まだまだ若手ですが、これからチームを引っ張っていける存在になっていきたいです。私自身、個人で目立ちたいと気持ちは全然ないですし、サクラナイツが勝ってサポーターが喜んでくれたり、いい試合をすることでMリーグファンが増えたりすることの方が大事ですから。そのために、これまで以上にタレント活動をしていけたらいいな、と思っています。

 

※岡田紗佳さんへのインタビューは後編へ。後編では岡田さんのプライベートに迫ります。プレゼント企画も。

関連記事:二刀流Mリーガー・岡田紗佳を解剖! 役満ボディの秘訣は「お腹が空くまで食べない」(後編)

 

Mリーグ公式サイト:https://m-league.jp/

 

撮影/干川 修 取材・文/くれい響